「RSICCユーザ会」設立趣意書

平成13年7月25日

財団法人 高度情報科学技術研究機構

 原子力の分野における研究・開発を推進していく上で原子力ソフトウェア、データベースの利用は不可欠のものである。

 財団法人・高度情報科学技術研究機構(以下、当財団)は、昭和56年8月、前身を財団法人原子力データセンターとして、原子力研究・開発の促進を目的として原子力ソフトウェアの普及のため設立されたものである。

 以来、当財団は財団内に原子力コードセンターを設置し、日本原子力研究所(当時)との協力の下に経済協力開発機構 原子力機関・データバンク(OECD/NEA Data Bank, Paris,フランス)、オークリッジ国立研究所 放射線遮蔽情報センター(ORNL/RSIC, オークリッジ,米国,その後RSICCと改称。以後RSICCと呼ぶ(注))との間で相互互恵による協力を推進し、国内外で開発された原子力ソフトウェア、データベースの普及に努めてきた。

 とくに、放射線安全、遮蔽および核計算用ライブラリーの分野では、米国におけるこれらのソフトウェア等の公開元であるRSICCとの協力を推進し、同機関で公開された種々のソフトウェア等の迅速な導入、国内機関への提供を行ってきた。

 ところが近年、RSICCが米国エネルギー省(DOE)および原子力規制委員会(NRC)の下で開発された原子力ソフトウェアの公開機関としての役割が与えられ、また、運営費の独立採算の方針が立てられたことから、これまでの相互互恵によるソフトウェア提供からコスト・リカバリー政策に基づく有料化の方針が打ち出され、我が国に対しても代表機関によるRSICCソフトウェア利用者の集約と、運営費の一部負担が要請された。

 上述したように、同機関は我が国の原子力研究・開発の草創期より数多くの原子力ソフトウェア、核計算用ライブラリーを我が国に提供し、我が国の原子力の開発、発展に果たした役割は計り知れないものがある。このため、上記の要請を無視することは将来における我が国とRSICCの関係、ひいてはわが国における原子力の研究・開発に悪影響を及ぼすことが懸念される。

 以上のような背景を踏まえ、米国・DOEとの間で原子力研究分野の科学技術情報の交換を推進している日本原子力研究所(当時)からの要請に基づき、原子力の分野におけるソフトウェア交換を科学技術情報交換の一環として位置づけ、当財団が我が国における利用者を組織してRSICCユーザ会を設立しその運営にあたることとした。

 当財団は、この設立の趣意に賛同する我が国のすべての機関に呼びかけ、ユーザ会への参加を募るものである。

(注) RSICはその後1996年放射線安全情報計算センター(Radiation Safety Information Computational Center, RSICC)と改称された。