バルカン症候群

バルカン症候群 ばるかんしょうこうぐん

 近年、バルカン半島、特にボスニア・ヘルツェゴビナやコソボを中心とした民族紛争の地域に展開したNATO(北大西洋条約機構)軍の兵士達に帰還後、がん、白血病、免疫不全、慢性疲労など様々な体調不良を訴えるものが続出した。戦後の現地住民にも同様な状況が認められた。これは「バルカン症候群」と呼ばれ、戦闘に使った劣化ウラン弾が原因ではないかと疑われている。使用された劣化ウラン弾は、ボスニア・ヘルツェゴビナで3トン(1万発)、コソボ紛争で10トン(3万1千発)と推定されているが、正確な総量は不明である。ウランは毒性の強い放射性物質であり、劣化ウランのもつ放射線毒性や化学毒性から、その危険性を強く訴える人々がいる一方で、世界保健機構(WHO)や米国国防省などは、「帰還兵や紛争周辺の住民の変調が劣化ウランによるものである、という科学的な証明がない」と否定的立場をとっている。


<登録年月> 2005年01月

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