チェレンコフ効果

チェレンコフ効果 ちぇれんこふこうか

 高エネルギーの荷電粒子が水などの透明な物質を通過する際に、その粒子の電磁場によって物質中の原子・分子が分極して励起状態となり、その後元の安定状態に戻る際に青白い可視光線を放出する現象をいう。この光をチェレンコフ放射光又は単にチェレンコフ光と呼ぶ。1934年に旧ソ連のチェレンコフが発見したのでこのように命名された。チェレンコフ現象が起きるためには、物質が誘電体で、また、荷電粒子(主に電子)がその物質中における光の速度(真空中の光の速度をその物質の屈折率で割った値)より速いことが条件となる。すなわち、誘電体でなければ放射光は出さずに安定状態に戻る。また、荷電粒子が光速より遅い場合には放射光は干渉して消滅するため観測されないが、光速よりも速いと放射光は増幅し観測できる輝度に達する。この点では空気中を超音速で飛行する物体が衝撃波を形成する現象に類似している。チェレンコフ光は使用済燃料の貯蔵プールやプール型原子炉の炉心など非常に強い放射線を出す物質の周囲で見ることができる。


<登録年月> 2010年11月

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