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<概要>
 カーマは、放射線が人体や物体に与える影響の指標となる量で、γ線中性子線等の非荷電粒子に適用される概念である。非荷電粒子が物質内で反応を起こし生じる2次荷電粒子の初期運動エネルギーの和を、物質の質量で割った量でカーマは定義される。
荷電粒子平衡が成り立ち、かつ、再び非荷電粒子が生ずる反応(制動放射等)を無視できる場合、カーマは吸収線量に等しい。また、制動放射が無視できる場合、照射線量は単位変換により空気カーマに置き換えることができる。
<更新年月>
1998年03月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 放射線が人体や物体に与える影響の指標には一般に放射線量が用いられる。カーマも放射線量の一種で、γ線、中性子線等、電荷を持たない放射線に適用される( 図1 参照)。
 γ線や中性子線が物質内で反応を起こすと、電荷を持つ粒子(電子、陽子等のことで総称して荷電粒子と呼ばれる)が生成され、γ線や中性子線のエネルギーを受け取り運動を開始する。
これらの粒子は2次粒子と呼ばれ、その飛跡に沿って多くの電離励起を引き起こしエネルギーを失い、これが放射線が物質に与える影響の原因となる。
 カーマKは2次粒子に与えられるエネルギーに関連した量で、次式で定義される。

 K = dEtr/dm
 dEtr : 1次放射線によりある物質の微小質量dm内に生じた、全ての
     荷電粒子の初期運動エネルギーの合計(図1参照)

dEtrは2次粒子が生じた時点で持っている運動エネルギーの和であり、2次粒子を生成するのに用いられたエネルギーと2次粒子の静止質量は含まない。
カーマは統計的な量であるため、微小質量dmは十分な統計精度を得られるだけの大きさが必要である。さらに、1次放射線の場所による変化を無視できる程度に小さいことが必要である。
 カーマは、SI単位系では、吸収線量と同じくグレイ (Gy:J/kg)で表される。
 2次粒子に与えられたエネルギーは、粒子の移動に伴い微小質量dmの外へ流出する。また、微小質量の外部で生じた2次粒子が逆に入り込むことによりエネルギーの流入がある。これらによるエネルギーの流入と流出が等しい時、荷電粒子平衡 (Charged particle  equilibrium)が成り立っているという。この場合、2次荷電粒子が再び非荷電粒子を生み出す現象(制動放射等)の影響が無視できることを前提に、カーマと吸収線量は等しくなる。
 放射線の強度を表わすのに空気カーマがよく使用される。従来から、γ線、X線の強度を表わすのに用いられてきた照射線量は、制動放射を無視できる場合、単に単位変換により空気カーマに置き換えることができる。
<図/表>
図1 カーマの概念図
図1  カーマの概念図

<関連タイトル>
国際放射線単位測定委員会(ICRU) (13-01-03-11)
放射能と放射線の単位 (18-04-02-01)
線量に関する単位 (18-04-02-02)
照射線量に関する単位 (18-04-02-03)
吸収線量に関する単位 (18-04-02-04)

<参考文献>
(1) 国際放射線単位測定委員会(ICRU)レポート33
(2) Radiation Dosimetry,Second edition,Vol.I,F.H.Attix and W.C. Roesch,Academic Press Inc.
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