<大項目> 海外情勢
<中項目> アジア各国
<小項目> 台湾
<タイトル>
台湾のエネルギー資源、エネルギー需給、エネルギー政策 (14-02-04-01)

<概要>
 台湾は国内エネルギー資源に乏しく、石炭は1970年代半ばに石油換算216万klを生産したのがピークで、以後減少の一途にある。天然ガスと石油は、徐々に減少の方向にあり、これらの合計国内生産の最も多かった1970年代後半でも、全供給量2,266万kl(石油換算)の20%弱、544万klを賄ったに過ぎない。2010年のエネルギー源構成は、石炭32.1%、石油49.0%、LNG(液化天然ガス)10.2%、水力0.3%、原子力8.3%であり、輸入依存度は99.4%に達している。エネルギー消費量は1990年には石油換算で5,205万klであったが、2010年には1億2,031万klに増加し、年平均増加率は4.28%となっている。
 「台湾地区能源政策」として策定されている台湾のエネルギー政策は、1973年の策定以来、エネルギー安定供給、利用効率化、市場開放、環境対策、研究開発強化、広報活動を推進している。環境を保護しながら経済成長を達成していくため、電力消費量の抑制や再生可能エネルギー導入の促進、石油から天然ガスへの転換を方針としている。
<更新年月>
2011年10月   

<本文>
1.はじめに
 台湾の人口は2314.6万人、面積は35,980m2(九州より若干小さい面積)で、人口密度は668人/km2で、2010年の国内総生産(GDP)は4,289億ドル、1人当たりGDPは18,603ドルに達している。台湾は1970年代から繊維産業など軽工業を中心に経済開発を実施してきた。近年には電気・電子機器の輸出の拡大や海外投資などを積極的に行い、2000年代は年平均5%と高い経済成長を遂げた。こうした経済の発展に加え、インフラ等の整備に伴う内需拡大や中国を含めたアジア市場の堅調な需要に対応した輸出増大から、2010年の実質経済成長率は10.9%に達している。
 エネルギー消費量も著しく増加し、最終エネルギー消費量は1990年には石油換算で5,205万klであったが、2010年には1億2,031万klへ、年平均増加率は4.28%である。一方、エネルギー供給は、天然エネルギー資源が乏しいため、その殆どを輸入に依存している。エネルギー消費量が年々増加するにつれ、エネルギー輸入率はいっそう高まり、2003年以降のエネルギー輸入率は99%を超えている(図1参照)。
2.台湾のエネルギー需給動向
2.1 国内エネルギー資源の動向
 台湾は国内に石油・天然ガス・石炭のエネルギー資源を有しているが、その量は極めて少なく、包蔵水力も少ない。また、原子力による発電電力量はウラン濃縮役務を米国とフランスに任せていることから、エネルギー統計上国内エネルギー生産に含めず、その全量を輸入として扱っている。しかし、原子力を国内エネルギーとした場合でも、生産量は一次エネルギー総供給量の10%を占める程度であり、日本や韓国と同様、エネルギー供給の殆どを輸入に頼っている。
 2010年時点、石炭生産量はなく、石油生産量は石油換算約1.42万kl、液化天然ガスは約26.3万kl、水力による発電電力量は約40.1万kl、エネルギー自給率は0.6%である。原子力は、3発電所、計6基(出力514.4万kW)の原子炉を有し、2010年における発電電力量は石油換算1,205.6万klであった。
 なお、国内生産量の最も多かった1970年代後半でも、全供給量2,266万klの20%弱の544万klを賄ったに過ぎず、以後、国内のエネルギー生産の比率は急速に低下している。表1にエネルギー資源別供給量の推移を示す。
2.2 エネルギー資源別の需給動向
 台湾は輸入燃料の安定供給を確保するため、化石燃料の輸入多角化と、電源の多様化が求められている。以下に各エネルギー資源の現状と見通しを示す。
(1)石炭:1960年半ばに年産500万トン以上の生産量があったが、1970年代には浅い炭層を全て掘り尽くした結果、採炭コストが上昇、生産量が減少した。このため、2001年には最後に残っていた4炭鉱が閉鎖され、全面的に海外炭に切り替わった。以降、国内生産は行われていない。石炭は77.6%が発電用に使用されており、景気とともに需要も拡大するとみられている。供給源は輸送コストの低いアジア・太平洋圏が中心であり、オーストラリアが43.3%、インドネシアが40.4%となっている。
(2)石油:台湾中油(CPC)の国内原油生産は減少の一途を辿り、現在は1.6万kl/日程度しかないが、石油製品消費の増加、精製能力の拡大、市場自由化に伴う精製量や製品輸出量の拡大により、原油輸入量は2007年まで大幅に増加した。
 国内の石油ガス資源は台湾西岸の大陸棚に広がる堆積層に存在し、出礦坑、青草湖、錦水、鐵砧山などが主要油ガス田である。1972年から探鉱が行われているが、原油の生産量が伸びる可能性は殆どない。2009年の輸入は、サウジアラビア34.1%、クウェート20.2%、イラン7.8%など、中東が80%を超えている。中東依存度は1980年時点で87%あったが、ベネズエラなどの中南米、アンゴラなどのアフリカ、豪州へと分散化を進め、1997-2000年は中東原油の比率は60%程度に抑えられた。しかし、輸入増加とインドネシア原油の減少などで供給能力の高い中東のシェアが再び上昇、2003年以降は80%に達している。
(3)天然ガス:台湾政府は第2次オイルショックを機に、石油依存率の高いエネルギー構造から脱し、天然ガスへのシフトを推進してきた。国内ガス需要の増加に伴い、供給量は上昇傾向にあるが、国内生産量が殆んどないため、供給量の97.4%は輸入LNGが占める。インドネシア、マレーシア、カタール、オーストラリアやパプアニューギニアと輸入の長期契約を交わしている。従来、天然ガスの60%が民生用に使用されていたが、1990年のLNG輸入拡大で発電用が増加、2009年は78.4%が発電用で、民生用は7.2%であった。今後、ガス火力発電所の新設で、2020年まで年率7%で需要拡大が見込まれる。
(4)原子力:台湾のエネルギー供給源の多様化、量的確保、価格の安定のため1980年に70%に達した石油依存率を他のエネルギーへ転換する努力として、風力、太陽熱、地熱などの新エネルギーの開発とともに、原子力開発が積極的に進められてきた(表2参照)。
 1980年前半に原子力発電所が続々と営業運転を開始したのに伴い、原子力の総発電電力量のシェアは1987年には約48%、一次エネルギー自給率は約30%に達した。しかし、人口密度の高い島国での原子力事故は深刻な事態をもたらす危険性があり、放射性廃棄物問題も難航していることから、2002年10月には再生可能エネルギーに力点を置くという非核国家推進基本法案を閣議が承認し、2011年から2017年までに既存の3基の原子炉を停止するとともに、環境負荷の低いLNGと再生可能エネルギーで代替するという方針を打ち出した。
 2008年に誕生した国民党政権はエネルギーの安定供給と低炭素社会の実現には原子力も選択肢の1つという見解を示し、非核国家構想が見直されていたが、2011年3月に起きたINESレベル7の福島原子力発電所事故を受け、原子力リスクへの関心が一気に高まっている。現在建設中の第4原子力発電所(龍門1、2号機)の建設は続行されるものの、更なる原子力発電所の建設計画は撤回され、既存原子力発電所の運転延長には慎重な態度が示されている。表3に台湾の原子力発電所の一覧を示す。
2.3 エネルギー消費
 1990年には石油換算で5,205万klであったが、2009年には1億1,307万kl、2010年1億2,031万klに増加し、年平均増加率は4.28%である。最終エネルギー消費量の消費構造を見ると、最も主要なエネルギー消費は電力で、その割合は1990年に41.68%であったが、年々増加し、2010年には48.6%となった。台湾の最終エネルギー消費を部門別にみると、工業部門(53.8%)がトップで、運輸(12.9%)、サービス業(11.0%)、住宅(10.7%)が続き、農業部門(0.8%)が最下位である(図2参照)。1995年からの経年変化としては経済成長に伴い工業部門が徐々に上昇する傾向が見られる。
3.台湾のエネルギー政策
3.1 エネルギー行政機関
 台湾のエネルギー行政機関は行政院(日本の内閣に相当する)の下におかれている。その主要機関は経済部能源局(Bureau of Energy)で、能源局は台湾のエネルギーの需給予測・政策・発展計画を策定する役割を担当している。能源局は、(1)エネルギー政策、エネルギー管理法、電力法、原油と石油製品輸出入及び生産・販売に関する許可管理方法、ガス事業の管理規定等に関する法規の策定・実施、(2)エネルギー事業における経営に対する指導、(3)エネルギー需給の予測、(4)エネルギーに関する情報ネットワークの構築、省エネルギー政策・措置の実施及びエネルギー分野における研究と開発、応用への推進、(5)エネルギー分野における国際的提携への促進が主な責務である。また、能源局は、石油・天然ガス事業の全般を管理しているが、台湾の主力エネルギー会社である国営石油会社の中国石油(CPC:Chinese Ptroleum Corpration)と、原子力発電所を保有する国営の台湾電力(Taipower:Taiwan Power Coporation)はその監督下にある。
3.2 エネルギーの基本政策
 「台湾地区能源政策」として策定されている台湾のエネルギー政策は、1973年4月の策
定以後、1979年、1984年、1990年、1996年の修正を経て、エネルギー安定供給、利用効率化、市場開放、環境対策、研究開発強化、広報推進の主要6項目からなる。1998年の全国エネルギー会議で、環境を保護しながら経済成長を達成するという方針が採択され、電力消費抑制や再生可能エネルギーの導入促進、石油から天然ガスへの転換が方針化された。
 2008年6月には「永続的エネルギー政策綱領」が策定され、エネルギーの安定供給・環境保護・経済発展の3項目を目指すエネルギー分野の基本政策が打ち出された。同年8月には「エネルギー利用戦略」として再生可能エネルギーと原子力エネルギーの比率を2007年の9%から2025年には18%まで引き上げるとした。同年9月には2009年からの4年計画「永続的エネルギー政策綱領 省エネ・炭素削減行動法案」を可決。2009年4月に「全国エネルギー会議の結論行動法案」を統合して「永続的エネルギー政策行動法案」を策定した。
 具体的政策は、(1)2008年からの8年間でエネルギー効率を年2%以上引き上げ、エネルギー消費原単位を2015年には2005年より20%以上、2025年には50%以上引き下げる、(2)炭酸ガス排出量を2016-2020年までに2008年の排出水準に戻し、2025年には2000年の水準にまで削減。発電における低炭素エネルギーの比率を40%から、2025年には55%以上に引き上げる、(3)4年間の経済成長を6%、2015年における1人当たり年平均所得3万米ドルという経済発展目標を達成できるエネルギー安全供給システムを確立する、(4)発電システムの中で低炭素エネルギーの占める割合を2025年には55%以上に増加させるため、再生可能エネルギーの発電比率を8%以上、天然ガスを25%以上とし、原子力の利用は1つの選択肢とする、(5)発電効率を世界最高水準に引き上る、(6)クリーンコール技術導入や二酸化炭素貯留技術、発電分野での炭酸ガスを削減、(7)エネルギー価格の合理化等が示された。発電設備の拡張概要を表4及び図3に示す。
(前回更新:2005年2月)
<図/表>
表1 台湾のエネルギー資源別供給量の推移
表2 台湾の燃料別発電電力量の推移
表3 台湾の原子力発電所の概要
表4 2010〜2019年における台湾電力システムの新規増設容量の概要
図1 台湾のエネルギー供給量と最終消費量の推移と自給率
図2 台湾の部門別電力消費量の推移
図3 2010〜2019年における発電設備容量の電源別比率

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<関連タイトル>
台湾の電力事情、発電計画、原子力発電 (14-02-04-02)
台湾の原子力研究開発体制、原子力安全規制体制および原子力産業 (14-02-04-03)
台湾のPA動向 (14-02-04-04)
台湾の原子力国際協力、保障措置 (14-02-04-05)

<参考文献>
(1)(社)日本原子力産業協会:原子力年鑑2011年版、p.130-139(2010年10月)
(2)(社)海外電力調査会:海外諸国の電気事業 第1編 2008年、p.733-p.767(2008年10月)
(3)(社)日本原子力産業協会:世界の原子力発電開発の動向 2011年版(2011年5月)
(4)(社)日本原子力産業会議:台湾における第4原子力発電所の建設状況、原産マンスリー No.50(2)、p.22-p.36(2000)
(5)(社)日本原子力産業会議:台湾のエネルギー事情と原子力開発、原産マンスリー No.22(8)、p.24-p.29(1997)
(6)経済部能源局:99-108年長期負載預測與電源開發規劃摘要報告(2011年1月)
(7)経済部能源局:2010能源統計手冊(2011年5月)、p.82-83
經濟部能源局(BOE、 Bureau of Energy ):Energy Statistical annual Reports ,
http://www.moeaboe.gov.tw/opengovinfo/Plan/all/energy_year/main_en/
EnEnergyYearMain.aspx?pageid=EnEnergyYear
(9)国際エネルギー機関(IEA):Electricity generation by fuel,
http://www.iea.org/stats/pdf_graphs/TWELEC.pdf
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