<大項目> 国際協力・原子力関連機関
<中項目> 国際条約・協定等
<小項目> 二国間協定・取決め
<タイトル>
日英原子力協定(1998年) (13-04-02-12)

<概要>
 新「日英原子力協定」は、1968年に締結・発効した旧協定が1998年10月で失効することから改定したもので、新たな枠組として(1)核物質等が平和的非爆発目的にのみ使用、(2)核物質に国際原子力機関(IAEA:International Atomic Energy Agency)の保障措置等が適用されること、(3)核物質等の防護措置、(4)核物質等の適用対象を事前通告する、などについて規定している。
 新協定の有効期間は25年で、両国の異議が無ければ自動延長される。
<更新年月>
2005年01月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1.新協定締結までの経緯
 1998年2月25日、日本は英国との間で「原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定」(Agreement Between The Government of Japan And The Government of The United Kingdom of Great Britain And Northern Ireland for Co-operation in The Peaceful Uses of Atomic Energy)を締結し、10月12日に発効した。この協定を「日英原子力協定」といい、1998年10月に失効した旧協定に対して「新日英原子力協定」という。
 新日英原子力協定は、1968年に締結・発効した協定が1998年10月で失効することから全面改訂したもので、新たな枠組として(1)核物質等が平和的非爆発目的にのみ使用、(2)核物質に国際原子力機関(IAEA:International Atomic Energy Agency)の保障措置等が適用されること、(3)核物質等の防護措置、(4)核物質等の適用対象を事前通告する、などについて規定している。
 日英両国は、日本初の商業用原子力発電所としてコールダーホール型原子炉を英国から導入するため、1958年に協定を締結し、その後相互主義に基づく協定に1968年に改正した。
 今度の改訂では、包括的核実験禁止条約(CTBT:Comprehensive nuclear Test-Ban Treaty)の国連採択(1996年9月10日)および核物質防護条約などの新たな動向も踏まえている。協定では、核物質等の使用は、旧協定の「平和目的にのみ使用」を、「平和的非爆発目的のみに使用」と改めた。また、1968年改正時には無かったIAEAの保障措置協定が既に発効していることから、核物質等はIAEAとの保障措置協定が適用されるとしている。
 新たに追加された事項は、「核物質等を、この協定の適用対象とするためには供給する側の政府が受領する側の政府に対して事前通告を行う」と定めている。
 協定の有効期間は25年で、両国の異議が無ければ自動延長される。
2.日英原子力協定の意義と概要
 1968年10月15日に発効した日英協定(旧協定)が1998年10月15日に失効することになっていたため、日英間の原子力の平和的利用における協力を維持・促進するための法的枠組みとして、本件協定を締結した。協定の前文及び本文を表1−1表1−2表1−3表1−4及び表1−5に示す。
2.1 意義
 本協定は、日英間における原子力の平和的利用協力のための法的枠組みを提供するものであり、これにより、わが国の原子力利用の円滑な実施にとって不可欠な英国との長期的かつ安定的な協力が確保される他、国際的な核不拡散及び原子力の平和的利用の促進に資する。
2.2 概要
 本協定は、前文、本文14箇条、末文及び3附属書から成り、原子力の平和的利用における両国間の協力のための両政府間の協力の方法を定めるとともに、両国間で原子力資機材(資材、核物質及び設備)が移転される場合の当該原子力資機材の平和的利用を確保するための具体的措置を義務付けるものであり、その概要は次のとおりである。
第1条(協力の方法)
 専門家の交換を助長する、公開情報の交換を容易にする、認められた者の間における原子力資機材の移転及び役務の授受が行われるようにする、等の方法により両政府が協力することを規定している。
第2条(協力の前提条件)
 第1条に定める協力を行う要件として、この協定の規定及びそれぞれの国において効力を有する法令に従うこと、さらに、当該協力のうち原子力資機材の移転の際に従うべき要件を規定している。
第3条(原子力資機材の平和的非爆発目的利用)
 この協定に基づいて移転された原子力資機材及び当該原子力資機材の使用・利用により回収され又は副産物として生産された核物質は、平和的非爆発目的にのみ使用される。
第4条(保障措置の適用)
 この協定の適用を受ける原子力資機材が、平和的非爆発目的にのみ使用されることを検認するための保障措置の適用等について規定している。
第5条(核物質防護措置の適用)
 この協定の適用を受ける核物質の盗難、不法な奪取等を事前に防止するため、適切な防護措置を、最小限附属書Bに定める水準においてとることを規定している。
第6条(管轄外移転の規制)
 この協定に基づき移転された原子力資機材及び回収され又は副産物として生産された核物質が両国からその管轄外(供給国の管轄内を除く)へ移転される場合、原則として移転先より一定の保証を得る必要があることを規定し、更に、核不拡散上機微なものについては、供給政府の事前同意がある場合に限り、管轄外に移転できることを規定している。
第7条(協定の運用の開始及び終了)
 両国間で移転される原子力資機材をこの協定の適用対象とするための手続き、この協定の適用対象原子力資機材がその適用を受けなくなる場合を規定している。
第8条(現行協定との関係)
 旧協定をこの協定の発効日に終了させること及びこの協定に定義される原子力資機材であって、旧協定の終了の時にいずれかの政府の管轄の下にあり旧協定の適用を受けていたものについて、この協定の規定が適用されることを規定している。
第9条(他の国際協定に基づく義務との関係)
 両政府が既に締結している原子力の平和的利用に関する他の国際協定及び関連の国際協定に基づいて負っている義務に影響を及ぼすものでないことを確認。
第10条(協議及び紛争の解決等)
 この協定の解釈又は適用から問題が生じた場合の紛争解決手続きの一つとしての協議や仲裁裁判所への付託を規定している。
第11条(協定違反の場合の権利)
 この協定の停止又は終了させる権利等について規定している。
第12条(定義条項)
 「締約国政府」、「者」、「設備」等の定義を規定している。
第13条(附属書の修正)
 この協定の附属書は、協定の改正手続きをとらずに、両政府の文書による合意により修正できる旨規定している。
第14条(発効及び終了)
 この協定の発効及び終了について規定している。
 協定本文での規定事項を、整理して表2−1及び表2−2に示す。
 附属書A(表3)はこの協定の適用対象である「設備」を具体的に列挙し、附属書B(表4−1及び表4−2)はこの協定の適用対象である核物質についての防護の水準を3群に分けて掲げ、附属書C(表5)は、第6条において言及される管轄外移転に際して取り付けるべき保証内容を具体的に規定している。
 協定に関して合意された議事録を表6に、効力発生に関する外務省告示を表7に示す。
<図/表>
表1−1 日英原子力協定(1/5)
表1−2 日英原子力協定(2/5)
表1−3 日英原子力協定(3/5)
表1−4 日英原子力協定(4/5)
表1−5 日英原子力協定(5/5)
表2−1 日英原子力協定での規定事項(1/2)
表2−2 日英原子力協定での規定事項(2/2)
表3 日英原子力協定附属書A
表4−1 日英原子力協定附属書B(1/2)
表4−2 日英原子力協定附属書B(2/2)
表5 日英原子力協定附属書C
表6 日英原子力協定に関する合意された議事録
表7 日英原子力協定の効力発生に関する外務省告示

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<関連タイトル>
日英原子力協定(1968年) (13-04-02-02)
保障措置のあらまし (13-05-02-01)
核物質防護条約 (13-04-01-02)

<参考文献>
(1)(社)日本原子力産業会議新聞編集室:日英原子力協力協定が改定―「非爆発目的」も明記―、原子力産業新聞第1929号(1998年3月5日)第1面
(2)(社)日本原子力産業会議新聞編集室:新日英原子力協定が12日に発効、原子力産業新聞第1961号(1998年10月29日)第1面
(3)(財)核物質管理センター開発部(編):日英原子力協力協定、核物質管理ハンドブック2001年版、(財)核物質管理センター(2001年6月15日)p.159-166
(4)(社)日本原子力産業会議(編集発行):原子力平和利用に関する二国間協力、第11章国際協力の推進、原子力ポケットブック2004年版(2004年8月9日)p.380-384,388
(5)科学技術庁原子力局・原子力安全局(監修):第2巻条約等、加除式「原子力関係法規集」全5巻、(株)大成出版社(内容現在:2001年10月1日)p.4431-4440
(6)原子力委員会(編):二国間原子力協定に基づく協力の推進、原子力安全と研究開発に関する国際協力、国際社会と原子力の調和、国内外の原子力利用開発の状況、第1部本編、原子力白書平成15年版、独立行政法人国立印刷局(2003年12月25日)p.218-219,223
(7)科学技術庁(編集協力)、(財)科学技術広報財団(編集発行):STA TODAY、VOL.10,No.4、1998年4月号(1998年4月15日)p.11
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