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<概要>
 平成17年度(2005年度)の実用発電用原子炉(原子力発電所)および研究開発段階にある発電の用に供する原子炉施設(発電用研究開発段階炉)における放射性廃棄物管理の状況を、放射性気体廃棄物放射性液体廃棄物および放射性固体廃棄物についてまとめた。
 原子力発電所における気体、液体廃棄物の放出量は、全ての原子力発電所において放出管理目標値を下回っている。また、「ふげん発電所」および「もんじゅ」の両施設についても同様である。
 固体廃棄物貯蔵庫における保管量は、全ての原子力発電所の貯蔵設備容量(200リットルドラム缶換算)879,600本相当に対し、約567,500本相当となっている。また、発電用研究開発段階炉(「ふげん発電所」および「もんじゅ」)の保管量は、ドラム缶換算で貯蔵設備容量44,500本相当に対し約22,500本相当となっている。
<更新年月>
2007年01月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1.気体、液体廃棄物の放出量
(1)実用発電用原子炉施設(原子力発電所)
 放射性気体廃棄物および放射性液体廃棄物の放出量は、全ての原子力発電所において「発電用軽水型原子炉施設周辺の線量目標値に関する指針」に従い、施設周辺の公衆の受ける線量目標値(年間50マイクロシーベルト)を達成するために安全審査の段階で評価され、そのときの放出量を年間放出管理目標値として保安規定に定め、これを超えないように管理されている。
 平成17年度の放出量は、全ての発電所において放出管理目標値を下回っている(表1-1および表1-2)。
 なお、一般公衆の実効線量については、「発電用軽水型原子炉施設周辺の線量目標値に対する評価指針」等に基づき評価を行った結果、年間1マイクロシーベルト未満であった。
(2)発電用研究開発段階炉
 研究開発段階にある発電の用に供する原子炉施設(発電用研究開発段階炉)における放射性気体廃棄物および放射性液体廃棄物の放出量は、原子炉設置許可時の審査の際に用いられた放出量を年間放出管理目標値として保安規定に定め、これを超えないように管理されている。
 平成17年度の放出量は、「ふげん発電所」および「もんじゅ」の両施設について、いずれも放出管理目標値を下回っている(表2)。
 なお、一般公衆の実効線量については、「発電用軽水型原子炉施設周辺の線量目標値に対する評価指針」等に基づき評価を行った結果、年間1マイクロシーベルト未満であった。
2.固体廃棄物の管理状況
 平成17年度の放射性固体廃棄物の管理状況は以下のとおりで、全ての原子炉施設において放射性固体廃棄物を貯蔵設備容量を超えて保管している施設はない。
(1)実用発電用原子炉施設(原子力発電所)
 実用発電用原子炉施設の平成17年度の低レベル放射性固体廃棄物の発生量は、200リットルドラム缶換算で約67,200本相当であった。一方、累積保管量は低レベル放射性廃棄物埋設センターへの搬出および焼却等の減容の効果から、約27,700本相当の増加にとどまった。これにより、平成17年度末の実用発電用原子炉施設における固体廃棄物貯蔵庫での保管量は、200リットルドラム缶換算で貯蔵設備容量879,600本相当に対し約567,500本相当となり、貯蔵設備容量に対する貯蔵割合は、64.5%となった(表3-1表3-2および表3-3)。
 蒸気発生器保管庫は、加圧水型原子力発電所における蒸気発生器取替および原子炉容器上部ふたの取替等により発生した放射性固体廃棄物を保管する専用の保管庫である。平成17年度には、四国電力(株)伊方発電所2号機での炉内構造物の取替および九州電力(株)玄海発電所1号機での炉内構造物の取替に伴い発生した廃棄物により、保管容器計216m3が発生した(表4)。
 使用済燃料プール、サイトバンカ、タンク等には、使用済制御棒、チャンネルボックス、使用済樹脂、シュラウド取替により発生した廃棄物の一部等が保管されている(表5-1表5-2)。
 固体廃棄物貯蔵庫では放射性固体廃棄物をドラム缶等に封入し保管管理されている。
 放射性固体廃棄物のドラム缶本数は、200リットルのドラム缶換算本数である。その他の種類の放射性固体廃棄物は、ドラム缶に詰められない大型機材等であり、その発生量および累積保管量等は200リットルのドラム缶換算本数で示した。
 発電所内減量とは、可燃物の焼却および圧縮によるドラム缶詰め等の減量を合算したものであり、発電所外減量とは、低レベル放射性廃棄物埋設センターへの搬出による減量を示す。
 蒸気発生器保管庫の放射性固体廃棄物については、取り外した蒸気発生器の保管基数および保管容器の容量で示した。
(2)発電用研究開発段階炉
 「ふげん発電所」における平成17年度の低レベル放射性固体廃棄物の発生量は、200リットルドラム缶換算で約300本相当であった。一方、累積保管量は焼却等の減容の効果から、約100本相当の増加にとどまった。これにより、平成17年度末における固体廃棄物貯蔵庫への保管量は、200リットルドラム缶換算で貯蔵設備容量21,500本相当に対し約19,400本相当となっている(表6)。また、タンク等には、イオン交換樹脂フィルタスラッジが、使用済燃料プールには使用済制御棒、中性子検出器がそれぞれ保管されている(表6)。
 「もんじゅ」における平成17年度低レベル放射性固体廃棄物の発生量は、200リットルドラム缶換算で約300本相当であった。これにより、平成17年度末における固体廃棄物貯蔵庫への保管量は、200リットルドラム缶換算で貯蔵設備容量23,000本相当に対し約3,100本相当となっている(表6)。
 平成17年度末における発電用研究開発段階炉(「ふげん発電所」および「もんじゅ」)の固体廃棄物貯蔵庫への保管量は、200リットルドラム缶換算で貯蔵設備容量44,500本相当に対し約22,500本相当となっている(表6)。
<図/表>
表1-1 平成17年度気体、液体廃棄物の管理状況(実用発電用原子炉施設)(1/2)
表1-1  平成17年度気体、液体廃棄物の管理状況(実用発電用原子炉施設)(1/2)
表1-2 平成17年度気体、液体廃棄物の管理状況(実用発電用原子炉施設)(2/2)
表1-2  平成17年度気体、液体廃棄物の管理状況(実用発電用原子炉施設)(2/2)
表2 平成17年度気体、液体廃棄物の管理状況(発電の用に供する研究開発段階炉)
表2  平成17年度気体、液体廃棄物の管理状況(発電の用に供する研究開発段階炉)
表3-1 平成17年度固体廃棄物の管理状況(実用発電用原子炉施設の固体廃棄物貯蔵庫)(1/3)
表3-1  平成17年度固体廃棄物の管理状況(実用発電用原子炉施設の固体廃棄物貯蔵庫)(1/3)
表3-2 平成17年度固体廃棄物の管理状況(実用発電用原子炉施設の固体廃棄物貯蔵庫)(2/3)
表3-2  平成17年度固体廃棄物の管理状況(実用発電用原子炉施設の固体廃棄物貯蔵庫)(2/3)
表3-3 平成17年度固体廃棄物の管理状況(実用発電用原子炉施設の固体廃棄物貯蔵庫)(3/3)
表3-3  平成17年度固体廃棄物の管理状況(実用発電用原子炉施設の固体廃棄物貯蔵庫)(3/3)
表4 平成17年度固体廃棄物の管理状況(実用発電用原子炉施設の蒸気発生器保管庫)
表4  平成17年度固体廃棄物の管理状況(実用発電用原子炉施設の蒸気発生器保管庫)
表5-1 平成17年度固体廃棄物の管理状況(実用発電用原子炉施設の使用済燃料プール、サイトバンカ、タンク等)(1/2)
表5-1  平成17年度固体廃棄物の管理状況(実用発電用原子炉施設の使用済燃料プール、サイトバンカ、タンク等)(1/2)
表5-2 平成17年度固体廃棄物の管理状況(実用発電用原子炉施設の使用済燃料プール、サイトバンカ、タンク等)(2/2)
表5-2  平成17年度固体廃棄物の管理状況(実用発電用原子炉施設の使用済燃料プール、サイトバンカ、タンク等)(2/2)
表6 平成17年度固体廃棄物の管理状況(発電の用に供する研究開発段階炉)
表6  平成17年度固体廃棄物の管理状況(発電の用に供する研究開発段階炉)

<関連タイトル>
原子力発電所における放射性廃棄物管理の動向(2005年度まで) (02-05-03-01)
平成16年度実用発電用原子炉および発電用研究開発段階炉における放射性廃棄物管理の状況 (12-01-03-47)

<参考文献>
(1)(独)原子力安全基盤機構:原子力施設運転管理年報、平成18年版(平成17年度実績)(平成18年9月)、p.665-668、p.676-684
(2)(独)原子力安全基盤機構:原子力施設運転管理年報、平成17年版(平成16年度実績)(平成17年9月)
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