<解説記事ダウンロード>PDFダウンロード

<概要>
 わが国における環境放射能に関する安全研究は、原子力施設等の周辺を含めた環境中における放射線の分布、放射性核種の挙動及びその影響を把握し、国民の健康の確保及び環境の安全確保に関する知識及び技術のより一層の充実を図ることを目的として従来より実施されているが、環境放射能安全研究専門部会において、これらの安全研究を計画的かつ体系的に推進することを目的として、昭和52年度より5年毎に「環境放射能安全研究年次計画」を策定してきた。
 平成12年4月に、本専門部会によって今期(平成13年度〜平成17年度)の安全研究年次計画がとりまとめられた。とりまとめに当たっては、当該5年間で緊急かつ重要となると考えられる安全研究及び今後とも継続的に行う必要があると考えられる安全研究に加えて、JCO事故を踏まえ、原子力緊急時対応のための研究の重要性が改めて認識されたことから、中性子の生物影響や緊急時被ばく医療のための研究課題等が盛り込まれている。
<更新年月>
2002年02月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1.本年次計画策定の経緯
 現在、原子力発電はわが国の総発電量の約三分の一を占めるに至っている。放射線利用の分野では、放射線の医学、工業分野等、多方面での利用が進んでおり、原子力は国民生活にとって極めて身近なものとなってきている。その一方で、放射線の有用性及び有害性に関する国民の理解が広く社会に浸透しているとは言い難く、特に2000年9月30日にウラン加工工場で臨界事故(JCO事故)が発生し、3名の作業員が高線量の放射線被ばくをし、周辺住民が避難あるいは屋内退避するなど、国内初の臨界事故によって、放射線に対して負のイメージのみが増大している。
 このような状況下において、環境中に自然に存在しているものも含め、放射能及び放射線の公衆及び環境に与える影響等について研究データを収集・構築し、それに基づいて公衆に対し正しい知識の普及を図ることが、原子力に対する国民の安心感を醸成する観点から重要な課題となっている。
 わが国における環境放射能に関する安全研究は、原子力施設等の周辺を含めた環境中における放射線の分布、放射性核種の挙動及びその影響を把握し、国民の健康の確保及び環境の安全確保に関する知識及び技術のより一層の充実を図ることを目的として従来より実施されているが、旧環境放射能安全研究専門部会(平成12年9月の専門部会再編により「原子力安全研究専門部会」に再編された)において、これらの安全研究を計画的かつ体系的に推進することを目的として、昭和52年度より5年毎に「環境放射能安全研究年次計画」を策定してきた。
2.本年次計画
 平成12年4月に、本専門部会によって今期(平成13年度〜平成17年度)の安全研究年次計画がとりまとめられた。とりまとめに当たっては、当該5年間で緊急かつ重要となると考えられる安全研究及び今後とも継続的に行う必要があると考えられる安全研究について、わが国の研究の全般を把握した上での計画となるよう努めるとともに、平成11年9月のJCO事故を踏まえ、原子力緊急時対応のための研究の重要性が改めて認識されたことから、中性子の生物影響や緊急時被ばく医療のための研究課題等が盛り込まれている。また、従来「安全評価研究」と呼んでいた研究分野が、より研究内容に即した名称として「リスク評価研究」と改められた。
  表1-1表1-2 に本年次計画に基づく安全研究課題を示す。紙面の都合で総てを紹介できないので、詳しくは参考文献1を参照されたい。
<図/表>
表1-1 環境放射能安全研究年次計画に基づく安全研究課題(1/2)
表1-1  環境放射能安全研究年次計画に基づく安全研究課題(1/2)
表1-2 環境放射能安全研究年次計画に基づく安全研究課題(2/2)
表1-2  環境放射能安全研究年次計画に基づく安全研究課題(2/2)

<関連タイトル>
環境放射能安全研究年次計画(平成8年度〜平成12年度)生物影響研究 (10-03-01-12)
環境放射能安全研究年次計画(平成8年度〜平成12年度)特定核種の内部被ばく研究 (10-03-01-13)
環境放射能安全研究年次計画(平成8年度〜平成12年度)緊急時被ばく医療対策の研究 (10-03-01-14)
環境放射能安全研究年次計画(平成8年度〜平成12年度)安全評価研究 (10-03-01-15)
環境放射能安全研究年次計画(平成8年度〜平成12年度)環境・線量研究及び被ばく低減化研究 (10-03-01-16)

<参考文献>
(1) 原子力安全委員会・環境放射能安全研究専門部会:環境放射能安全研究年次計画(平成12年4月21日)、URL:
(2) 原子力安全委員会(編集):原子力安全白書 平成12年版、財務省印刷局(2001年4月),p.164-166
JAEA JAEAトップページへ ATOMICA ATOMICAトップページへ