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<概要>
 汚染検査室(更衣室)は、管理区域からの退出者および持出し物品等の汚染検査を行う施設で、各種の放射線測定器を備えるとともに身体汚染があった場合にはこれを除去するための洗浄設備ならびに汚染除去用器材を備える。また、管理区域立ち入り者の身体汚染を防護するため専用の作業衣、靴等の保護具を常備し、立入り者はここで装着および脱衣を行う。
<更新年月>
2007年07月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1)管理区域に入室する場合は、放射性物質による汚染から身体を保護するため専用の作業衣、靴、手袋等を着用する。退出する場合は作業者の身体表面に付着している放射性物質の有無を検査し、法令に定められている基準値(α:0.4Bq/cm2、β(γ):4Bq/cm2)以下であることを確認する。
 汚染検査室(更衣室)は、これらの検査を行うのに適した放射線レベルの低い場所、通常は管理区域の出入口付近に設ける。図1に汚染検査室(更衣室)の配置例を示す。
2)汚染検査室(更衣室)には、更衣設備および身体洗浄設備を設けるとともに、放射線測定器および汚染除去用器材を備え、その付近には図2に示す汚染検査室の標識を掲示する。
 また、汚染検査室の壁、床その他放射性物質によって汚染されるおそれのある部分は、突起物、くぼみおよび仕上げ材の目地等のすきまの少ない構造とし、かつ、腐食しにくい材料で仕上げることが法令で義務付けられている。
3)更衣設備には、汚染の拡大を防止するため、汚染した作業衣と清浄な作業衣が別々に収納できるロッカー、整理棚、靴箱などを設ける。
4)洗浄設備および汚染除去用器材は、放射線作業によって万一身体に汚染が生じた場合、その汚染を速やかに除去するためのものである。
 洗浄設備としては手洗い用流し(肘か膝で水栓が開閉できるもの)、身体除染用シャワー室などがあり、汚染除去にあたっては、除去効果を高めるため温水を用いる。また、汚染除去用洗浄剤として液体中性洗剤、オレンジオイル、汚染除去用器材としてハンドブラシ、爪ブラシなどが常備される。
5)汚染検査室には、管理区域からの退出者の表面汚染を測定するため放射線測定器を備える。放射線測定器には、表面汚染検査用サーベイメータ、ハンドフットモニタ、ゲートモニタ兼用体表面汚染検査計などがある。
 表面汚染検査用サーベイメータには、アルファ線測定用、ベータ線測定用および両者を一度に測定できるものがあり、退出者または搬出物品などの表面密度を測定する。
 ハンドフットモニタは、退出者の手足の表面汚染を自動的に測定し、その結果を表示する。ハンドフットモニタには、表面汚染検査用サーベイメータと同様、アルファ線測定用、ベータ線測定用および両者を一度に測定できるものがある。
 ゲートモニタ兼用体表面汚染検査計は、退出者の手、足はもちろん頭部など全ての身体表面の汚染を自動的に測定する。その結果、表面汚染が基準値を超えているときは体表面汚染検査計の出口扉がロックされ、管理区域から退出できない構造となっているのが一般的である。
(前回更新:1996年3月)
<図/表>
図1 汚染検査室(更衣室)の配置例
図1  汚染検査室(更衣室)の配置例
図2 汚染検査室の標識
図2  汚染検査室の標識

<関連タイトル>
ハンドフットクロスモニタ (09-04-03-07)
表面汚染検査計 (09-04-03-08)
放射線管理基準 (09-04-05-01)
管理区域 (09-04-05-03)
表面汚染モニタリング (09-04-06-04)
固体廃棄物の搬出モニタリング (09-04-06-06)
搬出入物品の検査 (09-04-06-08)
除染設備 (09-04-10-07)
放射性物質の除染剤 (09-04-10-10)

<参考文献>
(1)(財)原子力安全技術センター:放射性表面汚染の測定・評価マニアル(1988)
(2)日本アイソトープ協会:新ラジオアイソトープ講義と実習(1989)
(3)飯田博美:放射線管理技術(1985)
(4)日本規格協会:JISZ9104-2005 安全標識
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