<大項目> 放射線影響と放射線防護
<中項目> 原子力施設に係わる放射線防護
<小項目> 作業環境モニタリング
<タイトル>
表面汚染モニタリング (09-04-06-04)

<概要>
 表面汚染のモニタリング作業環境モニタリングの一項目であり、管理区域内の作業環境、作業者の身体、あるいは管理区域から搬出される物品の表面に存在する放射性物質の量を、被ばく防護の観点から一定の限度以下に保つことを目的として行う測定および評価をいう。
<更新年月>
2005年02月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
(1)放射性物質を含んだ溶液や粉末を飛散させたり、あるいは、それらによる空気汚染物質の一部が沈着したりして、身体または物体の表面が汚染されている状態を表面汚染という。そのレベルは、単位表面積に存在する放射能(Bq/cm2)で表す。これを表面密度という。
(2)表面汚染モニタリングの目的は、(a)放射能汚染の拡大を防止する (b)放射性物質の封じ込めの失敗または良好な作業手順からの逸脱を検知する (c)作業環境、皮膚の汚染を管理基準値以下に制限する (d)個人モニタリング、空気汚染モニタリングの計画および作業手順決定のための情報を提供することである。
(3)表面汚染モニタリングは目的により次の3つに分類することができる。
 日常モニタリングは、連続して行われる作業に対し、作業環境が適切な状態にあるか、汚染の封じ込めが良好かなどを管理基準と比較して確認するものである。
 作業モニタリングは、汚染の発生する可能性のある特定の作業を対象として行われるものであり、その結果をもとに、作業方法の検討、呼吸用保護具など防護手段の決定、空気汚染モニタリングの必要性を判断する。
 特殊モニタリングは、日常モニタリングなどによって異常に高いレベルの汚染を発見したときや、予期しない場所から汚染が検出されたときなどに、原因の究明および対策の決定に必要な情報を得ることを目的として行うものである。
(4)表面汚染のモニタリングを効果的、かつ、確実に行うためには、管理のための基準が必要となる。法令では、放射線施設内の人が常時立ち入る場所における物の表面密度限度が、α線を放出する核種について4Bq/cm2、α線を放出しない核種について40Bq/cm2と定められている。また、管理区域から持ち出される物品は、放射線管理の手を離れ、一般公衆と直接接触する恐れがあることなどから、表面密度限度の1/10(α線を放出する核種は0.4Bq/cm2、α線を放出しない核種は4Bq/cm2)を越えているものはみだりに持ち出さないこととされている。
 日常モニタリングにおいては、法令に定められているこれらの限度よりさらに小さい値を実際の管理基準値として設定し、適用している例が多い。
(5)表面汚染の形態には、放射性物質が固着して取れにくい固着性汚染(fixed contamination)と、比較的取れやすい遊離性汚染(loose contamination)とがあるが、この区分に定量的な境界はない。便宜上、ろ紙等で拭き取ることのできる汚染を遊離性汚染と定義しているが、固着性汚染であっても時間の経過とともに遊離性汚染に移行することがある。
 遊離性汚染は、舞い上がって空気汚染の原因となり、体内へ摂取される恐れがある。また、皮膚汚染の原因となる可能性もある。さらに、遊離、移行しやすいため、汚染拡大の原因となる。また、表面密度が高い場合には外部被ばくの原因にもなる。
(6)表面密度の測定法には、汚染の形態をふまえ、直接測定法と間接測定法とがある。
 直接測定法はサーベイ法ともいい、対象物表面を直接、汚染検査用サーベイメータで走査しながら測定する方法であり、遊離性と固着性汚染の和、すなわち全汚染量の測定ができる。表面汚染検査用サーベイメータとその性能の例を表1に示す。この方法は、点状の汚染の検出や汚染の広がりの程度を調べるのに効果的であるが、外部放射線の影響を受けやすく、検出できる最小の表面密度(検出限界)が検出器の窓面積で制限されるなどの欠点もある。
 間接測定法は、対象物表面の一定面積(通常100cm2 )を、ろ紙、化学雑巾などでふき取り、付着した放射能を測定することによって間接的に遊離性汚染の程度を評価する方法(スミヤ法)である。スミヤ法に用いるろ紙の例を図1に示す。試料の測定には、通常、GM計数管式、ガスフロー式あるいはシンチレーション式計数装置を用いる。この方法は、試料の採取と測定を分離して行えるため外部放射線の影響を受けることはないが、局部的な汚染を見落とす可能性があるなどの欠点がある。スミヤ法で表面密度を評価する場合には、ふき取り効率を考慮する必要がある。その値は、試料採取前の遊離性汚染の放射能に対する1回のふき取りで試料に付着する放射能の割合で表され、種々の因子によって異なるが、非浸透性の材料については50%、浸透性の材料については5%、両者の区分を設けないときには10%が用いられる。
<図/表>
表1 表面汚染検査用サーベイメータとその性能の例
図1 ふき取り(スミヤ)用ろ紙の例

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<関連タイトル>
放射線管理基準 (09-04-05-01)
モニタリングの種類 (09-04-05-02)
管理区域 (09-04-05-03)
空気汚染モニタリング (09-04-06-03)
搬出入物品の検査 (09-04-06-08)
内部被ばくモニタリング (09-04-07-05)
皮膚放射能汚染モニタリング (09-04-07-08)
表面汚染検査計 (09-04-03-08)
ハンドフットクロスモニタ (09-04-03-07)
放射線防護機材(マスク、手袋、衣服等) (09-04-10-02)

<参考文献>
(1)「作業者の放射線防護のためのモニタリングの一般原則」ICRP Publ.35(1982年発表)、訳本:日本アイソトープ協会(1984年)
(2)「放射性表面汚染の測定・評価マニュアル」原子力安全技術センター、(1988年)
(3)「JISZ4504−1974 ふきとり式放射性表面汚染測定方法」日本規格協会
(4)「原子力工学講座2−放射線防護」石森富太郎編、培風館(1971年)
(5)「作業環境の放射線モニタリング−計画から立案まで−」日本アイソトープ協会編、丸善(1978年)
(6)「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」
(7)「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」
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