<大項目> 放射線影響と放射線防護
<中項目> 原子力施設に係わる放射線防護
<小項目> 放射線防護用の測定
<タイトル>
実効線量のための測定 (09-04-03-17)

<概要>
 実効線量を直接測定することは、研究を目的とした場合を除いて、ほとんど不可能である。そこで外部被ばくについては、実効線量の代わりに、同一被ばく条件では実効線量より常に大きな値を示す1cm線量当量が、放射線防護を目的とした測定のために用いられている。また、内部被ばくについては、体内に摂取した放射性同位元素の量を測定し、年摂取限度と比較して実効線量を評価する方法が行われる。
<更新年月>
2005年02月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 実効線量は、人体の各臓器・組織の平均線量の加重和で定義されている。そのため、実効線量を定義どおり求めるためには、生殖腺甲状腺、肺、乳房、赤色骨髄、胃、小腸、大腸などの種々の臓器、組織の線量を測定する必要がある。この測定を実際に行うためには、人体を詳細に模擬した人体模型を用意し、その人体模型中の各臓器位置に小さな測定器を多数埋め込み放射線を照射した後、各臓器、組織の平均線量を求めるということが行われる。この測定は、実効線量そのものを研究対象としている場合に行われることもある。しかし、このような複雑で時間のかかる測定方法を、日常的に行われる放射線管理で実施することは不可能である。そこで、放射線管理のために、外部被ばくモニタリングでは測定器等で現実に測定可能な量を、内部被ばくモニタリングでは体内に摂取した放射性同位元素の量を測定し、評価する方法が採用されている。
(1)外部被ばくモニタリング
 外部被ばくモニタリングの観点から、なぜ実効線量の測定ができないかというと、実効線量を測定するためには生殖腺、甲状腺、肺などの臓器中の非常に多数の点を同時に測定しなくてはならないためである。そこで、測定を合理的に行うため、一点のみで線量を決められ、かつ、同一被ばく条件では実効線量より常に大きな値を示す外部被ばく管理のための実用的な測定量が採用されている。それが1cm線量当量(周辺線量当量)である。光子および中性子について、1cm線量当量と実効線量とを比較したものを図1及び図2に示す。この図より1cm線量当量は、どのエネルギーに対しても実効線量を下回ることはないことがわかる。そこで、放射線防護を目的とした外部被ばくモニタリングでは、実効線量の代わりに1cm線量当量を測定しておけば良い。
(2)内部被ばくモニタリング
 内部被ばくモニタリングでは、外部被ばくモニタリングにおける1cm線量当量のように実効線量の代用となる測定量はない。そこで、内部被ばくモニタリングの場合には、あくまでも実効線量の評価を目指すことになる。しかし、実効線量は、内部被ばくの場合でも直接測定することはできず、測定できる量は、吸入空気中の濃度または全身カウンタやバイオアッセイによる、体内に摂取した放射性同位元素の量(摂取量)である。そのため、内部被ばくの場合には、線量限度に相当する摂取量が国際放射線防護委員会により年摂取限度としてすでに計算されており、この量との比較により実効線量を評価している。
<図/表>
図1 1cm線量当量に対する実効線量の比と光子エネルギーとの関係
図2 1cm線量当量に対する実効線量の比と中性子エネルギーとの関係

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<関連タイトル>
放射線の分類とその成因 (08-01-01-02)
被ばく管理のための種々の線量 (09-04-02-05)
1センチメートル線量当量 (09-04-02-06)
外部被ばくモニタリング (09-04-07-02)
年摂取限度(ALI) (09-04-02-14)
全身カウンタ (09-04-03-11)
バイオアッセイ(排泄物等分析による体内放射能評価) (09-04-03-13)
国際放射線防護委員会(ICRP) (13-01-03-12)
実効線量 (09-04-02-03)

<参考文献>
(1)国際放射線単位測定委員会レポート、ICRU REPORT 39(1985)
(2)国際放射線単位測定委員会レポート、ICRU REPORT 43(1988)
(3)原子力安全技術センター:外部被ばくにおける線量当量の測定・評価マニュアル、(1988)
(4)原子力安全技術センター:内部被ばくにおける線量当量の測定・評価マニュアル、(1988)
(5)日本アイソトープ協会:アイソトープ法令集1、(2003)
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