<大項目> 放射線影響と放射線防護
<中項目> 原子力施設に係わる放射線防護
<小項目> 放射線防護用の測定
<タイトル>
標準線源 (09-04-03-02)

<概要>
 標準線源は、放射線の測定において、放射線測定器の校正に用いられる基準となる線源である。標準線源により与えられる基準量には、放射線のエネルギー、放射能(または放射線の放出率)、線量率等が挙げられる。これらの量は、絶対測定手法により決定される国家標準との相対関係が直接または間接に確立されていることが必要である。また、標準線源は、国家標準とのトレーサビリティが確保されてることが必要である。
<更新年月>
2002年01月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 一般的に放射線の測定において、放射線測定器の出力は単なる相対値にすぎないため、目的とする測定量を得るにはその測定量に関して適切に目盛り付けを行なうこと(校正)が必要となる。標準線源は、この目盛り付けの際の物差しの役目を果たすものである。標準線源そのものは、適切な仲介手段により国家標準(日本では電子技術総合研究所において供給される)あるいはそれと同等なレベルの標準と結びつけられること(トレーサビリティーの確保)が必要である。トレーサビリティが確保されているということは、その検出器は国家標準と直接または間接的に比較校正されているとこである。従って、その検出器で測った測定結果は統一的な保証があるということになる。トレーサビリティを持つ測定器同士なら、どの測定器で測っても定められた制度で整合性が得られるので、第三者(社会的)にも容易にその信頼性を理解できる。
 国家標準線源は絶対測定法、あるいは絶対測定により決定された量に精度よく置き換えられる測定法に基づいて決定されている。
 標準線源は、放射線のエネルギー、放射能、線量率等の基準量を与える。標準線源は、放射線の種類(α線、β線、γ線、x線、中性子線等)、線源の構造や組成、校正される放射線測定器の種類などにより様々に異なる。
(1)エネルギー校正用標準線源
 半導体検出器等を用いたα線、β線、γ線等のスペクトロメトリーにおいては、エネルギーの指標を与えるためにエネルギー校正用標準線源が使用される。この標準線源としては、その性格上、一般的に単色エネルギーの放射線源が利用される。
 α線源としては、210Po、241Am等の核種が一般に使用される。α線は、薄い吸収層でもエネルギー損失が大きいため、こうした標準線源の作製には自己吸収の小さい線源作製法が用いられる。β線スペクトロメトリーにおいては、β壊変において発生するβ線は連続エネルギーを有するため、内部転換電子109Cd、137Cs)が利用される。γ線スペクトロメトリーにおいては、代表的なγ線を放出する複数の核種(241Am、57Co、60Co、137Cs、51Cr、54Mn、22Na、85Sr、88Y等)やエネルギーの異なる多数のγ線を放出する単一核種(152Eu、133Ba等)が用いられる。また、X線については、55Fe、109Cd等の壊変に伴う特性X線が使用される。
(2)放射能測定器校正用標準線源
 放射能測定器を用いて試料の放射能を決定する際、絶対測定と比較測定の二種類の方法がある。絶対測定では、検出器と測定試料との幾何学的関係に基づく効率、検出器と測定試料との間の吸収体による吸収、測定試料自体による吸収等の様々な補正因子の値を求めることが必要となる。比較測定では、測定試料と同一の構造及び組成を持つ放射線が既知な線源(標準線源)を用いて放射能測定器の校正をあらかじめ行うので、煩雑な補正因子を求めることなく放射能を決定することができる。
 標準線源の物理的性状は、気体状、液体状、固体状に分類される。また、基準量としては、放射能のかわりに2π放出率、4π放出率が与えられる場合もある。
 放射線管理用試料の放射能測定におけるγ線スペクトロメータの検出効率の決定には、種々の容積線源が用いられる。また、α線、β線放出核種のグロス測定における検出効率の決定、表面汚染検査計の校正等においては、一般的に均一放射能分布の面線源が用いられる。
 使用される放射性核種としては、γ線放出核種については、(1)に示されるものと同様な核種が、β線放出核種については、3H、14C、147Pm、204TI、90Sr、90Y、106Ru、106Rh等の核種が、α線放出核種については、241Am、238U等が一般的に用いられる。また、気体状の標準線源としては、3H、14C、85Kr、133Xe等が利用されている。
(3)線量測定器校正用標準線源
 線量計の校正に使用される標準線源は、その線源から一定の距離が離れた位置における線量率について値付けされている。γ線の照射場を与える標準線源としては60Co、137Cs等が用いられる。線量に関するトレーサビリティーの確保においては、検出器のエネルギー特性が問題となる場合が多く、標準線源の使用よりも、線量率測定上のトレーサビリティーが確保された仲介測定器を用いる場合の方が一般的である。
<関連タイトル>
放射線の分類とその成因 (08-01-01-02)
放射能 (08-01-01-03)
標準測定と校正 (09-04-03-01)
サーベイメータ(α線、β線、γ線、中性子等) (09-04-03-04)
ハンドフットクロスモニタ (09-04-03-07)
表面汚染検査計 (09-04-03-08)
放射線管理基準 (09-04-05-01)

<参考文献>
(1) 日本アイソトープ協会(編):放射能標準体・標準線源とその使用法、日本アイソトープ協会(1981)
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