<大項目> 放射線影響と放射線防護
<中項目> 原子力施設に係わる放射線防護
<小項目> 放射線防護の諸量
<タイトル>
預託線量 (09-04-02-09)

<概要>
 預託線量とは、放射性物質を摂取した後、その物質の体内における壊変によって放射される線量率を時間積分した値である。積分の期間は職業被ばく及び公衆の成人に対して摂取後の50年間、子供や乳幼児に対しては摂取時から70歳までとする。預託等価線量は、体内の臓器または組織が摂取後同様の期間に受ける等価線量をいう。
 預託実効線量は、放射性物質の体内摂取から受ける臓器または組織の等価線量のおのおのにその臓器または組織の組織荷重係数を乗じて加え合わせたものである。
<更新年月>
2002年02月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 体内に摂取された放射性核種の壊変によって体内の臓器及び組織が照射される内部被ばくの場合、それら臓器及び組織への線量の与えられ方は、時間的に分布することになる。線量率のこの時間的分布は、放射性核種の種類、物理的・化学的形態、摂取の仕方、及び核種が取り込まれる組織に依存する。内部被ばくの場合は、放射性核種の代謝や排泄の速度をコントロールできないのがふつうである。したがって、摂取したときにその後の線量率分布及びその時間積分値である線量は決まってしまうと考えられる。臓器または組織Tの受ける預託等価線量は次の数式で表される。
    H(τ,T)=∫h(t)dt
 ただし、時間についての積分は、toからto+τまでとする。
 ここに、h(t)は臓器または組織Tの摂取後の時間tにおける線量率であり、τの値としては、職業被ばく及び公衆の成人に対して50年、子供や乳幼児に対しては摂取から70歳までの期間をとる。放射性物質の臓器・組織中の実効半減期の長いものと、短いものについて上式のh(t)を例示したものが 図1 である。
 預託実効線量E(τ)は、放射性物質の体内摂取から受ける臓器または組織の等価線量にその臓器または組織の組織荷重係数W(T)を乗じて加え合わせたものである。すなわち、
    E(τ)=ΣW(T)・H(τ,T)
ただし、合計は全身の臓器または組織Tについて行なうものとする。
 預託実効線量は、摂取した年の1年間に受けたものと見なして、その年の外部被ばくの実効線量と合計し、その合計値が線量限度を超えないように個人の被ばくを管理する。
<図/表>
図1 放射性物質を摂取したのちの臓器または組織中の等価線量率の時間変化

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<関連タイトル>
内部被ばくの評価 (09-04-04-04)
線量預託 (09-04-02-11)

<参考文献>
(1) 日本アイソトープ協会(編):ICRP Publication 42、ICRPが使用しているおもな概念と量の用語解説、丸善(1986年6月)
(2) 日本アイソトープ協会(翻訳):ICRP Publication 60. 国際放射線防護委員会1990年勧告、丸善(1991年7月)
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