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<概要>
 放射線被ばく管理について実用発電用原子炉施設、試験研究用及び研究開発段階にある原子炉施設、核燃料施設の3種の施設ごとに、義務付け、出入管理、汚染管理、線量管理、健康管理、登録管理等を述べる。
<更新年月>
2002年02月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1.実用発電用原子炉施設の被ばく管理
(1)義務付け :原子炉設置者は、原子炉規制法及び労働安全衛生法に基づき、従事者の被ばく線量が、線量限度を超えないよう管理することが義務づけられている。
(2)出入管理:一定量以上放射線を受けるおそれのある場所を「管理区域」として、立入制限している。管理区域への立入に際しては、従事者に蛍光ガラス線量計や熱ルミネセンス線量計(TLD)などの個人線量測定器の着用を義務付けている。
(3)汚染管理:管理区域から退出する時、退出モニタ等により汚染の有無のチェックをしている。
(4)線量管理:TLD、蛍光ガラス線量計、全身カウンタ等により個人被ばく線量を管理している。
(5)健康管理:放射線業務従事者に対しては、施設に立ち入る前及び立ち入ってからは定期的に、血液検査や医者の診断を受けるなどの健康管理を実施している。
(6)設備(従事者等の不必要な被ばくをできるだけ低く抑えるための):各種の遮蔽設備、エリアモニタ等放射線監視設備が設置されている。
(7)登録管理:経済産業大臣の指定する(財)放射線影響協会の放射線従事者中央登録センターで、従事者の年間被ばく線量等が集中的に登録管理されている。
 法的な数量的基準は、平成13年経済産業省告示第187号(3月21日公布)「実用発電用原子炉の設置・運転等に関する規制の規定に基づく線量限度等を定める告示」に記載されている。
2.試験研究用及び研究開発段階にある原子炉施設の放射線被ばく管理
(1)規制:試験研究用及び研究開発段階にある原子炉施設の放射線被ばく管理についても、試験研究の用に供する原子炉施設等の設置、運転等に関する規則に規定されている基本的事項について規制が行われている。
(2)義務付け:原子炉設置者は、法令に基づき、放射線業務従事者の線量を管理するように義務づけられている。
(3)内閣総理大臣に対し定期的に放射線業務従事者の線量に関して報告を行うこととなっている。
3.核燃料施設の放射線被ばく管理
(1)対象:核燃料施設における放射線の管理は、原子炉施設における場合と同様に、施設 内の区域別の放射線管理及び施設内に立ち入る人の被ばく管理である。
(2)出入管理:放射線管理については、法令に基づき当該区域における滞在時間、予想される放射線量等から周辺監視区域及び管理区域を定め、当該区域の放射線量率等の監視、当該区域への出入管理等を行っている。
(3)汚染のチェック:各区域の放射線量率等は定期的に測定され記録が保存されることになっている。また、各区域の出入の際には、その都度汚染のチェックが行われている

(4)線量管理:管理区域に立入る際には、適切な個人被ばく線量計を装着し、定められた線量限度を超えないように被ばく管理を行うとともに、
(5)健康管理(健康診断に基づく)を行うこととなっている。
(6)記録、保管:放射線業務従事者については、一定期間の線量が記録、保管されているほか、
(7)登録管理:これらの記録は従事者の指定が解除された場合または保存している期間が5年を超えた場合において経済産業大臣が指定する(財)放射線影響協会の放射線従事者中央登録センターに引き渡され、被ばく記録の登録管理が行われている。
<関連タイトル>
原子力発電所における放射線被ばく管理 (09-04-01-13)
従事者の被ばく管理に関する安全確保関連施策 (09-04-01-14)

<参考文献>
(1) 科学技術庁原子力安全局(監修):1995年版原子力規制関係法令集、大成出版社(1994年12月)
(2) 辻本忠/草間朋子(著):放射線防護の基礎 第3版、 日刊工業社(2001年3月)
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