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<概要>
 カールスルーエ原子力研究所のKKN炉(Kernkraftwerk Niederaichbach:ニーダーライヒバッハ原子力発電所)は、重水減速炭酸ガス冷却型原子炉で出力は100MWeである。1972年に初臨界に達したが、2台の蒸気発生器に漏えいが発見されたため、1974年7月に運転を停止した。蒸気発生器の修理が技術的に困難なこと、また軽水炉を発電炉の中心とする方針が確定したことなどの理由により、廃止措置を行うことが決まった。解体は1987年に開始し、1995年8月に原子炉及び建家の解体まで終了した。その後、原子力法による規制解除のためサイト解放宣言が1997年11月に行われた。ドイツでは最初に更地に変わり、緑地化された。
<更新年月>
2010年12月   

<本文>
 カールスルーエ原子力研究所のKKN炉(ニーダーライヒバッハ原子力発電所)は、重水減速炭酸ガス冷却型原子炉で出力は100MWeである。運転期間は1972年から1974年までであるが、運転出力は定格出力の最大40%までであり、全負荷日数換算の運転日数は18.3日相当である。冷却材に炭酸ガスを使用し、また、減速材には重水を使用する。特徴としては稼働中に燃料を交換することが可能なことである。1986年に解体撤去の許可を取得し、1987年より工事を開始し、1993年11月に原子炉解体を終了した。運転期間が短かったため、放射能量は2000Ci程度である。KKN炉(ニーダーライヒバッハ原子力発電所)の概要を図1に、また、解体撤去スケジュールを表1に示す。
 KKN炉の解体手順としては、まず在来工法により非放射化装置及び汚染装置の解体を行い、次に減速材タンク及び熱遮へい体の解体、生体遮へい体内部放射化部分の解体を実施した。解体工法の特徴として原子炉部分である減速材タンク及び熱遮へい体の解体が大気中で行われた。解体装置に遠隔操作型回転マニピュレータが用いられた(ATOMICAデータ「ロボットによる遠隔解体技術 <05-02-02-03>」参照のこと)。生体遮蔽体は、油圧堀削機、制御爆破、手動式空気ハンマー等を適宜使用し解体された。
 1993年から1994年にかけて建屋の除染及び管理区域解体除染のための測定が行われ、さらに建家の解体が1995年8月終了し、制限エリアが解除され、緑地回復式典が行われた。
 ドイツでは、放射性廃棄物発生量を少なくするよう法律で規定されており、KKN炉の解体により発生した金属廃棄物も一部金属溶融装置により溶融し、再利用された。解体費用は、開発費を含めて280百万ドイツマルク(185億円;1DM=¥66、1997年8月末現在為替相場)と見積もられている。
(前回更新:1998年3月)
<図/表>
表1 KKN炉(ニーダーライヒバッハ原子力発電所)の解体撤去スケジュール
表1  KKN炉(ニーダーライヒバッハ原子力発電所)の解体撤去スケジュール
図1 KKN炉(ニーダーライヒバッハ原子力発電所)の概要
図1  KKN炉(ニーダーライヒバッハ原子力発電所)の概要

<関連タイトル>
廃止方法 (05-02-01-03)
ロボットによる遠隔解体技術 (05-02-02-03)
ドイツにおける原子力発電所廃止措置計画 (05-02-03-03)

<参考文献>
(1)U. Loeschhorn:The Total Dismantlement of the NiederaichbachNuclear Power Plant, Proc. of the Institution Engineers, Inter. Conf. Decommissioning of Major Radioactive, London(Oct.1989)
(2)The NEA CO-OPERATIVE PROGRAMME ON DECOMMISSIONING, The First Ten Years 1985-1995, OECD/NEA(1996)
(3)Bernhard Kuczera:The Decommissioning Project of the Karlsruhe Research Center, German in atomwirtschaft, 42(1997), 2, pp.105-9.
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