<大項目> バックエンド対策
<中項目> 放射性廃棄物の処理、処分
<小項目> 放射性廃棄物の処分方法
<タイトル>
わが国における高レベル放射性廃棄物の処分についてのシナリオ (05-01-03-06)

<概要>
 使用済燃料再処理によって発生する高レベル放射性廃棄物の処分対策は、原子力の研究開発、利用を推進する上で重要な課題の一つである。わが国では、1976年に原子力委員会地層処分の方向性を示して以来、所要の研究開発が進められ、1999年11月に核燃料サイクル開発機構(現日本原子力研究開発機構)により「わが国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性」が取りまとめられた。高レベル放射性廃棄物は安定な形態に固化した後、30年間から50年間程度冷却のための貯蔵を行い、その後、地下の深い地層中に処分することになっている。2000年6月には高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する法律「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」が制定され、実施主体「原子力発電環境整備機構」が設立されるとともに、最終処分積立金が設けられた。原子力発電環境整備機構は、平成40年代後半を目途に最終処分の開始を目指して立地調査を進めている。
<更新年月>
2009年01月   

<本文>
1.わが国における高レベル放射性廃棄物処分の検討経緯
(1)わが国における高レベル放射性廃棄物の処分対策については、1962年の原子力委員会廃棄物処理専門部会中間報告および1973年の原子力委員会環境・安全専門部会放射性固体廃棄物分科会報告書において、管理を要しない最終処分方式の必要性等の検討が行われた。
(2)1976年に原子力委員会は「放射性廃棄物対策について」を取りまとめ、当面地層処分に重点をおいて研究開発を進めるという基本的な方針を示した。これを受けて動力炉・核燃料開発事業団(後に核燃料サイクル開発機構、現在日本原子力研究開発機構。以下同)を中核とする地層処分研究開発が開始された。
(3)1980年に原子力委員会放射性廃棄物対策専門部会は、地層処分研究開発の5段階の手順(可能性ある地層の調査/有効な地層の調査/模擬固化体現地試験/実固化体現地試験/試験的処分)を示し、これを受けて動力炉・核燃料開発事業団は、その第1段階の「可能性ある地層の調査」を進め、1984年に同部会に報告した。同専門部会は、この結果を踏まえて、有効な地層としては、未固結岩等を除いて広く考え得るとの評価結果を取りまとめた。
(4)1985年に同専門部会は今後の研究開発手順を見直し、第2段階;処分予定地の選定、第3段階;処分予定地における処分技術の実証、第4段階;処分場の建設・操業、の段階を踏むこととなった。
(5)実施体制については、1987年の原子力開発利用長期計画で、高レベル放射性廃棄物処分が適切かつ確実に行われることに関しては、国が責任を負うこととし、処分事業の実施主体を適切な時期に具体的に決定することとされた。
(6)1991年に当時の科学技術庁、通商産業省、電気事業連合会、動力炉・核燃料開発事業団の4者からなる「放射性廃棄物対策推進協議会」が設立され、実施体制等の検討が行われ、1993年に高レベル放射性廃棄物処分の実施主体の設立準備組織「高レベル廃棄物事業推進準備会」が発足した。
(7)1994年の原子力開発利用長期計画において、高レベル放射性廃棄物の処分の実施主体は2000年を目処に設立し、処分事業は2030年から40年代半ば頃に開始するとの方針が示された。
(8)1995年、原子力委員会は、原子力バックエンド対策専門部会および高レベル放射性廃棄物処分懇談会を設置し、地層処分の技術的な側面と社会的な側面に関する検討を開始し、「高レベル放射性廃棄物の地層処分研究開発等の今後の進め方」(1997年:専門部会報告書)および「高レベル放射性廃棄物処分に向けた基本的な考え方」(1998年:懇談会報告書)を取りまとめ、わが国の処分事業計画および研究開発計画の指針を与えた。
(9)これを受け、1999年11月には核燃料サイクル開発機構によりこれまでの地層処分研究開発の成果を基に「わが国の高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性」が取りまとめられ、地層処分の安全性やサイト調査技術等の技術的拠り所が示された。
(10)2000年6月には「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」が制定され、実施主体「原子力発電環境整備機構」が設立されると共に、最終処分積立金が制度化された。
 原子力発電環境整備機構は、平成40年度後半を目処に最終処分の開始を目指して、現在立地調査を進めている。また、日本原子力研究開発機構等はこれを支援するために必要な研究開発を引き続き進めるとともに、深地層の研究施設計画を進めている。
2.わが国における高レベル放射性廃棄物の処分計画
 わが国においては、高レベル放射性廃棄物は安定な形態に固化したのち、30年間から50年間程度冷却のため貯蔵を行った後、地下の深い地層中に処分することを基本的な方針としている。1998年の高レベル放射性廃棄物懇談会報告書に示された地層処分計画を図1に示す。
 これに沿って、1999年に核燃料サイクル開発機構により「わが国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性」が取りまとめられ、地層処分の安全性やサイト調査技術等の技術的拠り所が示された。一方、実施体制については、2000年6月に「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」が制定され、実施主体「原子力発電環境整備機構」が設立されると共に、最終処分積立金が制度化された。
 特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律に基づき、経済産業省が定めた告示「特定放射性廃棄物の最終処分に関する計画」では、
・特定放射性廃棄物(ガラス固化体)の最終処分は平成40年代後半(2030年代半ば)を目途として開始する。
・最終処分施設の規模は、4万本以上の特定放射性廃棄物を最終処分することができる規模とする。
・原子力発電環境整備機構は、設立後、文献調査を実施した後、概要調査を実施し、平成20年代前半(2010年前後)を目途に精密調査地区を選定し、平成30年代後半(2020年代半ば)を目途に最終処分施設建設地を選定する
・原子力発電環境整備機構は、最終処分施設建設地において、別に法律で定める安全の確保のための規制に従い、最終処分施設を建設し、平成40年代後半(2030年代半ば)を目途に最終処分を開始するものとする
こととなっている。原子力発電環境整備機構は、この告示に従い、最終処分に関する実施計画を定め、現在、立地調査を進めている。
 地層処分の研究開発については、2000年の原子力開発利用長期計画に基づき、日本原子力研究開発機構等がこれまでの研究開発成果を踏まえ、今後とも深地層の研究施設や地層処分放射化学研究施設等を活用しつつ、地層処分技術の信頼性の確認や安全評価手法の確立に向けて引き続き研究開発を進めている。
 深地層の研究施設は学術的な研究の場であり、また、国民の地層処分に関する研究開発の理解を得る場としての意義を有しており、この計画は処分場の計画とは明確に区別して進めることとしており、現在、日本原子力研究開発機構の「瑞浪超深地層研究所」と「幌延深地層研究センター」において進められている。
 なお、高レベル放射性廃棄物の資源化と処分に伴う環境への負荷の低減の観点から将来の技術として注目されている核種分離・消滅処理技術に係る研究開発については、日本原子力研究開発機構等が協力して基礎的な研究開発を進めている。
(前回更新:2003年1月)
<図/表>
図1 高レベル放射性廃棄物の地層処分計画

・図表を一括してダウンロードする場合は ここをクリックして下さい。


<関連タイトル>
放射性廃棄物の処理処分についての総括的シナリオ (05-01-01-02)
六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センターの現状 (05-01-03-21)
再処理プロセスと安全性についての基本的考え方 (11-02-04-01)
再処理プロセスにおける放射性廃棄物の発生源 (11-02-04-02)
高レベル放射性廃棄物の処理対策の概要 (11-02-04-03)
わが国における低レベル放射性廃棄物の処分についての概要(制度化の観点から) (11-02-05-02)
原子力発電環境整備機構 (13-02-01-10)

<参考文献>
(1)下川純一:日本原子力事業NAIG特報,1987年11月号
(2)原子力委員会(編):原子力の研究、開発および利用に関する長期計画(1994年8月)
(3)日本原子力産業会議(編・刊):放射性廃棄物管理ガイドブック(1994年7月)
(4)火力原子力発電技術協会(編・刊):原子燃料サイクルと廃棄物管理(1986年6月)
(5)原子力安全委員会(編):原子力安全白書 平成6年版,大蔵省印刷局(1995年3月)
(6)科学技術庁原子力局(監):原子力ポケットブック1995年版,日本原子力産業会議(1995年6月)
(7)核燃料サイクル開発機構:わが国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性、JNC TN1400−024(1999年11月)
(8)原子力委員会 高レベル放射性廃棄物処分懇談会:高レベル放射性廃棄物処分に向けての基本的考え方(1998年5月)
(9)原子力委員会 原子力バックエンド対策専門部会:高レベル放射性廃棄物の地層処分研究開発等の今後の進め方(1997年)、http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo97/siryo26/siryo32.htm
(10)原子力委員会:原子力の研究、開発および利用に関する長期計画(平成12年11月24日)、http://www.rwmc.or.jp/law/file/2−14.pdf
(11)通商産業省:特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律、法律第117号(平成12年6月7日)(最終改正:平成19年6月13日法律第84号)、http://law.e−gov.go.jp/cgi−bin/idxrefer.cgi?H_FILE=%95%bd%88%ea%93%f1%96%40%88%ea%88%ea%8e%b5&REF_NAME=%93%c1%92%e8%95%fa%8e%cb%90%ab%94%70%8a%fc%95%a8%82%cc%8d%c5%8f%49%8f%88%95%aa%82%c9%8a%d6%82%b7%82%e9%96%40%97%a5&ANCHOR_F=&ANCHOR_T=
RIST RISTトップページへ ATOMICA ATOMICAトップページへ