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<概要>
 濃縮ウラン工場からでてくる製品は、六フッ化ウランである。軽水炉の燃料は二酸化ウランの化合物として使用するので、燃料加工の第一工程は六フッ化ウランから二酸化ウランへの再転換である。再転換法には湿式法と乾式法があり、5種類の転換法と、それぞれの特性をについて述べる。
<更新年月>
1998年05月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 六フッ化ウランから二酸化ウランへの再転換法には湿式法と乾式法がある。湿式法には重ウラン酸アンモニウム(Ammonium Diuranate:ADU)法と 炭酸ウラニルアンモニウム (Ammonium Uranyl Carbonate:AUC )法があり、 ADU法にはさらに従来法と溶媒抽出法がある。乾式法には総合乾式法(Integrated Dry Route:IDR)とフレームリアクタ法がある。 表1 に二酸化ウラン粉末製造工程の比較を示す。
1.ADU 法(従来法)
 再転換技術の開発において最も古い歴史を持ち、大きな実用実績がある。六フッ化ウランは鉄鋼製ボンベに入って入荷する。このボンベを 120℃以下の水蒸気で加熱しながら六フッ化ウランを気化して取り出す。六フッ化ウランのガスを水と反応させると加水分解してフッ化ウラニル水溶液となる。これにアンモニア水を加えると重ウラン酸アンモニウムの沈殿ができる。さらに濾過し、500-800 ℃でばい焼・水素還元すると二酸化ウラン粉末となる。特徴としては、工程はやや複雑であるが、各反応毎に独立しているため反応条件をコントロールし易く、得られる二酸化ウラン粉末は特性が安定している。
2.溶媒抽出−ADU 法
 六フッ化ウランのガスを硝酸アルミニウム水溶液と反応させる。ウランは硝酸ウラニル水溶液、フッ素はフッ化アルミニウム水溶液となり、溶媒抽出によりフッ化アルミニウムを分離する。次に硝酸ウラニル水溶液にアンモニアガスを添加して重ウラン酸アンモニウムを沈澱させる。以降は上記の ADU法と同じである。この転換法の特徴は、工程が多くやや複雑であるが、二酸化ウラン粉末は不純物が少なく、物性が安定している。
3.AUC 法
 ドイツの NUKEM社が開発した方法である。六フッ化ウランのガスを水、炭酸ガス、アンモニアガスと同時に反応させ、炭酸ウラニルアンモニウムを沈澱させる。これを濾過、ばい焼、還元して二酸化ウラン粉末とする。特徴としては、工程が多くやや複雑であるが、粉末の流動性がよい。またペレット成形前の造粒工程が省略できる。
4.IDR 法
 イギリス核燃料公社(BNFL)で開発した乾式法である。六フッ化ウランのガスと水蒸気を反応させてフッ化ウラニルの粒子とし、つづいて水素ガスにより還元して二酸化ウラン粉末とする。特徴としては、装置がコンパクトで占める容積が小さく、廃液量が少ない。二酸化ウラン粉末は化学的活性度が高く、焼結性が良い。
5.フレームリアクタ法
 六フッ化ウランのガスと酸素含有ガス、水素ガス、遮蔽用窒素ガスを混合して火炎内転換を行い、八三酸化ウランの粒子とする。これを水素ガスで還元して二酸化ウラン粉末を得る。特徴としては、工程が短く、廃液量が少ない。また二酸化ウラン粉末の焼結性が良い。
<図/表>
表1 二酸化ウラン粉末製造工程の比較
表1  二酸化ウラン粉末製造工程の比較

<関連タイトル>
ペレット製造工程 (04-06-02-03)
燃料棒加工工程 (04-06-02-04)
集合体組立工程 (04-06-02-05)
燃料加工における検査工程及び品質保証 (04-06-02-06)

<参考文献>
(1)火力原子力発電技術協会(編):原子燃料サイクルと廃棄物処理、火力原子力発電技術協会(昭和61年6月)
(2)原子力安全研究協会(編):軽水炉燃料のふるまい(改定新版)、原子力安全研究協会(平成2年7月)
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