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<概要>
 フランスでは1997年にLodeve鉱山が、2001年にBernardan鉱山が閉鎖し、近い将来フランス国内で新たなウラン生産センターの開設計画はなく、ウラン生産は終了している。2001年に閉鎖されたBernardan鉱山に関する資源量について、2009年に再評価を行い、確認資源量11,451tU、推定資源量139tUと算定し、このうち9,000tUは露天採掘で回収可能とされたが、生産コストがUSD130/kgUを上回ると見られることから、現在、手付かずの状態にある。
 一方、2000年以降、フランス国外におけるウランの探鉱または開発活動が活発である。原子力事業全般を手がけているAREVA(アレバ)の鉱山部門を担当するAREVA NC(旧、COGEMA)社は、カナダ、ナミビア、南アフリカ、中央アフリカ、ニジェール、カザフスタンにおいて、ウランの採掘やプロジェクト活動に関与している。
<更新年月>
2014年11月   

<本文>
 フランス国内のウラン資源は1946年から1987年頃まで盛んに採掘され、30ほどの鉱山が操業していたが、次第に生産量が落ち、相次いで閉山していった。最後まで残ったLodeve(ロデーヴ)鉱山は1997年に、Bernardan(ベルナルダン)鉱山は2001年に閉山し、現在フランス国内で操業を続けている鉱山はない。2001年に閉鎖されたBernardan鉱山に関する資源量について、2009年に再評価を行い、確認資源量11,451tU、推定資源量139tUと算定し、このうち9,000tUは露天採掘で回収可能とされたが、生産コストがUSD130/kgUを上回ると見られることから、現在、手付かずの状態にある。未発見の資源に関しては、系統的な見積りはしていない。フランス国内の主なウラン生産センターの概要を表1に、また、主なウラン鉱床を図1に示す。
 なお、フランス国内でのウラン探鉱は既知のウラン鉱床とラジウムの探鉱時に発見された数少ない鉱微地に焦点を合わせて、1946年に始まり1948年にはLa Crouzille(ラ・クルジーユ)鉱床が発見された。1955年までにLimousin(リムーザン)、Forez(フォーレ)、Vendee(バンデー)及びMorvan(モルヴァン)の花崗岩分布で鉱床が確認された。探査活動はその後、主に中央山塊(Massif Central)の北部と南部に位置している小規模な花崗岩分布地域盆地の堆積層や陸生堆積層にも拡大された。しかし、1999年以降、国内での探査活動は行われていない。
 フランス国内の1997年までのウラン生産量は72,500tUであったが、1998年にLodeve鉱山が、2001年にBernardan鉱山(いずれもAREVA NC(旧、COGEMA)社所有)が閉山し、2002年にはウラン生産量は18tUに減少した(表2参照)。閉山後、鉱石処理プラントは解体され、用地は埋め戻された。また、鉱山からの流出水の水浄化処理時に使用した樹脂から、毎年数トンのウランが回収されている。
 フランスは、国内で近い将来に新たなウラン生産センターの開設計画がなく、ウランの純輸入国であることから、燃料のリサイクル処理を進める一方、ウラン調達政策を活発に展開している。ウラン供給源の多様化を図るため、事業者であるAREVA NC社は、海外の規制の枠内で、ウランの探鉱と開発を行うと同時に、株式を保有する鉱山や第三者が運営する鉱山から、短期または長期のウラン購入契約を結び、安定したウランの供給を行っている。長期購入に関する契約は、カナダから4500tU/年、ニジェールから3200tU/年のほか、オーストラリア、カザフスタン、ロシアと締結している。AREVA NC社によるウランの探鉱と開発活動は、2007年6月に南アフリカ共和国、ナミビアなどでウラン鉱山を所有する南アフリカ共和国のウラン生産企業UraMin(ウラミン、現Areva Resources South Africa)を買収するなど、子会社を通じて直接的、あるいは間接的にカナダ、ナミビア、南アフリカ、中央アフリカ、ニジェール、カザフスタンなどのウランの採掘事業やプロジェクトにも関与している(表3及び図2参照)。
(前回更新:2005年1月)
<図/表>
表1 フランス国内の主なウラン生産センターの概要
表1  フランス国内の主なウラン生産センターの概要
表2 フランス国内におけるウラン生産量の推移
表2  フランス国内におけるウラン生産量の推移
表3 フランスの国外における主なウラン生産センターの概要
表3  フランスの国外における主なウラン生産センターの概要
図1 フランス国内の主なウラン鉱床
図1  フランス国内の主なウラン鉱床
図2 フランスの国外におけるウラン資源探査状況
図2  フランスの国外におけるウラン資源探査状況

<関連タイトル>
ウラン生産国と資源状況 (04-02-01-06)

<参考文献>
(1)OECD/NEA,IAEA:URANIUM 2014:RESOURCES,PRODUCTION AND DEMAND,OECD(2014)
(2)OECD/NEA,IAEA:URANIUM 1999:RESOURCES,PRODUCTION AND DEMAND,OECD(2000)ほか、URANIUM2001 (2002)、URANIUM2003 (2004)、URANIUM2005 (2006)、URANIUM2007 (2008)、URANIUM2009 (2010)、URANIUM2011 (2012)
(3)世界原子力協会(WNA):Nuclear Power in France(2014年11月)、
http://www.world-nuclear.org/info/Country-Profiles/Countries-A-F/France/
(4)IAEA:NUCLEAR FUEL CYCLE INFORMATION SYSTEM(INFCIS)、List of Nuclear Fuel Cycle Facilities、https://infcis.iaea.org/NFCIS/Facilities/Facilities
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