<大項目> 核燃料リサイクル施設
<中項目> 採鉱
<小項目> 採鉱法とその実施
<タイトル>
オーストラリアのウラン鉱山 (04-03-01-07)

<概要>
 オーストラリアのウラン生産量は、従来推進していた「三鉱山政策」の見直しを契機に、1995年時の4,377tU3O8から、1999年に8,199tU3O8、2003年に9,533tU3O8、2008年に10,278tU3O8と増加した。
 現在、オーストラリア国内では、北部準州のレンジャー(Ranger)鉱山、南オーストラリア州のオリンピック・ダム(Olympic Dam)鉱山、ビバリー(Beverley)鉱山のほか、2011年にハネムーン(Honeymoon)鉱山が、2014年にフォー・マイル(Four Mile)鉱山が開発され、合計5箇所で操業を行っている。なお、Beverley鉱山は2000年からオーストラリアで最初の商業規模のインシチュリーチングISL)採鉱法により生産を行っている。今後、ウラン鉱山の開発は西オーストラリア州やニュー・サウス・ウェールズ州、クイーンズランド州へと拡大していくものと見られている。
<更新年月>
2014年12月   

<本文>
1.ウラン鉱山の概要
 オーストラリアのウラン埋蔵量は1,706,100トンで世界1位(世界シェア29%)であり、2位カザフスタンの679,300トン(世界シェア12%)を大きく引き離している(2013年時点、OECD NEA & IAEA発行の Uranium 2014(Resources, Production and Demand(レッドブック)、既知資源(確認資源+推定資源)コスト区分US$130/kgU以下)。また、ウラン生産量は6,350トン、世界シェア10.7%であり、カザフスタンの22,451トン、カナダの9,331トンに次ぎ、世界第3位である(2014年10月時点、世界ウラン協会(WNA:World Nuclear Association))。
 オーストラリア国内には研究開発以外に原子力発電施設がないため、採掘されたウランは、ほぼ全量が国外へ輸出されている。主な輸出先は、米国、EU、日本で、この3か国が約90%を占める。なお、オーストラリアは1974年のインドの核実験後、核不拡散強化の流れや国内におけるウラン生産や輸出に対する反対運動の高まりから、1977年に非核兵器国に対するウラン輸出は、包括的保障措置協定の締結を条件とすることや、濃縮・再処理に関する事前同意権の確保を規定するなど、米国の核不拡散法に準拠した国に限定してきた。しかし、核不拡散防止条約(NPT)非加盟国のインドに対して、2005年に米印原子力協定に関する合意がなされると、2011年12月の与党労働党の党大会で、核兵器に転用しないことを条件にウラン禁輸措置解除が決定された。2014年9月には豪印原子力協力協定を締結。原子力発電所の導入を強化しているインドに対して、ウランの輸出が解禁される見通しである。
 オーストラリア国内には、北部準州にレンジャー(Ranger)1箇所、南オーストラリア州にオリンピック・ダム(Olympic Dam)、ビバリー(Beverley)、ハネムーン(Honeymoon)、フォー・マイル(Four Mile)の4箇所、合計5つのウラン鉱山があるが、生産の大部分はOlympic DamとRangerで行われている(図1参照)。オーストラリアのウラン資源開発は、1983年に新規のウラン鉱山の開発を禁止するという所謂「三鉱山政策」が推進され、北部準州のナバレク(Nabarlek)、Ranger、南オーストラリア州のOlympic Dam鉱山の3箇所に開発が限られてきたが、1988年にNabarlekが閉山して2鉱山のみとなった。
 2000年に入り、各国の原子力政策が見直され、ウランの需要が高まると、ウラン価格が高騰し、「三鉱山政策」の見直しが進められた(図2参照)。2007年4月、労働党は連邦レベルでの新規ウラン鉱山の開発禁止の方針を破棄し、ウラン鉱山開発是非の判断を各州・準州の労働党政権に委ねるとした。南オーストラリア州では2011年にHoneymoon鉱山が操業を開始、2014年には新たにFour Mile鉱山が生産を開始している(表1参照)。西オーストラリア州やニュー・サウス・ウェールズ州、クイーンズランド州でもウラン開発の解禁が発表されるなど、今後、ウラン開発は拡大していくものと見られている。オーストラリアのウラン鉱山における生産量の推移を図3に示す。
2.オーストラリアのウラン鉱床
 オーストラリアでは、様々なタイプのウラン鉱床が確認されているが、地域的に大きな偏りがある(図4参照)。資源量としてもっとも大きな割合を占める角礫岩複合タイプや鉱石を採掘せずに原位置でのウラン回収(In-situ Leaching)が可能な砂岩タイプは、南オーストラリア州南部Gawler Craton地域に多く分布している。一方、国内で早くからウラン生産を開始したRanger鉱山など不整合タイプは、北部準州北部のAlligator Rivers地域に多く分布している。また、表成タイプ(カルクリート)は西オーストラリア州に、交代岩・変成岩に伴うタイプはクィーンズランド州Mount Isa 地域周辺に多く分布している。
●鉱床の用語解説
(1)不整合関連型鉱床:
 不整合関連型鉱床は、大規模な不整合面に近い場所に産するものであり、約18億年前〜8億年前の剛塊内の堆積盆地に形成されたが、顕生代に形成されたものもある。
(2)角礫岩複合型鉱床:
 このタイプの鉱床は非造山期に原生代の大陸で形成したものである。母岩は、珪長質の火山砕屑岩と堆積岩類である。ウラン鉱化作用は花崗岩質の基盤複合岩類直上の層準中に見出される。ウランは、銅、金、銀、レアアースを伴う赤鉄鉱に富んだ花崗岩・角礫岩に含まれる。
(3)表成型鉱床:
 表成タイプのウラン鉱床は、新生代第三紀以降のカルクリート、ラテライト、黒色土壌・沖積層など地表付近の地層の中で、二次的に方解石、石膏、ドロマイト、鉄酸化物などに固定されて胚胎する。同タイプのウラン鉱床は、全世界のウラン鉱床の4%を占める。
3.生産中の鉱山
 現在ウラン酸化物の生産はRangerとOlympic Dam、Beverley、Honeymoon、Four Mileの5つの鉱山・製錬所で行われている。
(1)Ranger鉱山
 Ranger鉱山は北部準州、ダーウィン(Darwin)東方230kmに位置し、周囲をカカドゥー(Kakadu)国立公園に取り囲まれている。
 本鉱山はEnergy Resources of Australia Ltd.(ERA)社により運営され、収益の約68.4%をRio Tinto社が、約10.6%を日豪ウラン資源開発(株)が保有している。
 ウラン生産は1981年に始まった。鉱石は露天採掘法により採掘されている。1994年末には第一鉱体の採掘を終了し、1996年から第三鉱体の採掘に取り掛かり、2012年11月で終了した。Ranger鉱山の生産量は2008年の5,678tU3O8をピークに減少しており、2013年には1,113tU3O8を生産した。2013年から、Ranger No.3のさらに深部の坑内採掘に関する実現可能性調査を開始している。2013年1月現在のウラン鉱石の平均品位は0.06%U、埋蔵量は約58,200tUである。Rangerサイトの外観図を図5に示す。
(2)Olympic Dam鉱山
 Olympic Dam鉱山は南オーストラリア州、アデレイド(Adelaide)の北方560kmに位置している。本鉱山は豪州の鉱山会社と南アフリカで大規模操業を行う英国の鉱山会社が合併したBHB Billiton社が所有し、1988年より生産を継続している。
 Olympic Dam鉱床は大規模な銅(75%)・ウラン(20%)・金及び銀(5%)鉱床で、世界最大の低品位ウラン鉱床である。鉱床は地表下350mより深部に存在し、坑内採掘により採掘されている。ウランは銅の共産物として生産されている。試錐(ボーリング)と探鉱により鉱体の南西部に露天採掘が可能な新たな鉱床が確認されている。Olympic Dam鉱山の2013年の採掘量は3,988tU3O8、2013年1月現在のウラン鉱石平均品位は0.023%U、埋蔵量は約1,109,500tUと見積られている。
(3)Beverley鉱山
 Beverley鉱山は南オーストラリア州、アデレイド(Adelaide)の北方520kmに位置している。本鉱山は1990年に米国のGeneral Atomics社の子会社であるHeathgate Resources社が保有した。1999年に連邦政府による環境影響審査が終了し、オーストラリアで最初のインシチュリーチング(ISL)鉱山として、2000年11月から年間約800tU3O8の生産を開始したが、次第に減少し2012年には422tU3O8、2013年には188tU3O8になった。鉱区はBeverleyの北12kmに位置するPepegoonaと北西10kmに位置するPannikan鉱床に移行している。Beverleyプラントの外観図を図6に示す。なお、インシチュリーチング(In-situleaching:ISL)とは鉱石を採掘することなく、鉱床自体に直接浸出溶液を送り込み、ウラン溶出後の溶液を取り出す採掘法をいう。
(4)Honeymoon鉱山
 Honeymoon鉱山は南オーストラリア州、アデレイド(Adelaide)の北方380km、ブロークンヒル(Broken Hill)の北西75kmに位置している。カナダのSouthern Cross Resources社が開発を進めた。本鉱山は1981年に環境影響審査を終了、ISL法による年間1,000tU3O8の生産準備を行っていたが、生産開始直前の1983年に「三鉱山政策」の導入により生産許可の発給が中止された。2007年、「三鉱山政策」の政策転換後、開発が進み、本格操業が始まった2012年には140tU3O8を生産した。本鉱山は現在カナダのUranium One(ウラニウム・ワン)が保有する。ウラン鉱石平均品位は0.17%U、埋蔵量は約2,667tUと見積られている。
(5)Four Mile鉱山
 Four Mile鉱山は南オーストラリア州、アデレイド(Adelaide)から北東550kmに位置する。オーストラリアのQuasar Resources社(権益保有率:75%)とAlliance Resources社(同:25%)によるジョイントベンチャーにより、2014年6月から操業を開始した。Alliance Resourcesの発表によると、資源量は9,800tU(ウラン品位0.44%)と推定されている。ウラン生産方法はISL法で、年間定格生産量は960tUである。
4.開発計画中の鉱山
(1)エーリーリー(Yeelirrie)鉱山
 Yeelirrie鉱山は西オーストラリア州、ウィルナ(Wiluna)の南西70kmに位置し、BHP Billitonによる試錐の結果、オーストラリアで2番目に大きな鉱床と見られている。2012年12月にカナダのCameco社に売却され、鉱床開発が進められている。Yeelirrieの総資源量は44,520tU、平均品位は0.13%Uである。
(2)ウィルナ(Wiluna)鉱山
 Wiluna鉱山は西オーストラリア州ミッド・ウェスト地域のカルクリート型鉱床で、トロ・エネジー(Toro Energy)社が開発を行っている。Toro Energy社はWiluna近隣にMillipede、Dawson Hinkler WellとNowthannaの3つの同タイプの鉱床を持つ。2013年4月、連邦政府から環境許可が下りたことにより、トロ・ウィナ(Toro Wiluna)鉱山が西オーストラリア州初のウラン事業となっている。
4.環境への配慮
 連邦政府機関である監督科学事務所(OSS:Office of the Supervising Scientist)は、1980年代初めからAlligator River地方のウラン鉱山(Ranger及びNabarlek)で採掘が開始されて以来、環境面において鉱山を監督している。1988年にNabarlek鉱山の生産停止に伴い、環境回復が行われた。サイトの環境モニタリングは現在も継続して行われている。
 またOlympic Damプロジェクトは改正Roxby Downs法(Roxby Downs(IndentUre Ratification)Act 1982 as amended(the IndentUre))に基づき、南オーストラリア州政府の規制下に置かれ、環境管理マニュアルとそれをサポートする環境管理プログラム(EMPS)を3年ごとに更新している。
(前回更新:2004年12月)
<図/表>
表1 オーストラリアのウラン鉱山の操業状況
図1 オーストラリアのウラン鉱山配置図
図2 ウラニウム価格の推移
図3 オーストラリアのウラン鉱山における生産量の推移
図4 オーストラリアのウラン鉱床
図5 RANGERサイト外観図
図6 Beverleyプラント外観図

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<関連タイトル>
ウラン生産国と資源状況 (04-02-01-06)
ウラン粗製錬 (04-04-01-01)

<参考文献>
(1)OECD/NEA, IAEA:Uranium 2014 Resources, Production and Demand (2014年9月)
(2)ENERGY RESOURCES OF AUSTRALIA Ltd.、http://www.energyres.com.au/
(3)URANIUM INFORMATION CENTRE Ltdホームページ、http://trove.nla.gov.au/people/621687?c=people
(4)IAEA Nuclear Fuel Cycle Information System(INFCIS)ホームページ、https://infcis.iaea.org/NFCIS/Facilities
(5)世界原子力協会(WNA):Australia’s Uranium、http://www.world-nuclear.org/info/Country-Profiles/Countries-A-F/Australia/
(6)JOCMEC(独)石油天然ガス:2008.1 金属資源レポートオーストラリアのウラン鉱床(1)、2008年1月、http://mric.jogmec.go.jp/public/kogyojoho/2008-01/MRv37n5-04.pdf
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