<大項目> 核燃料リサイクル施設
<中項目> 採鉱
<小項目> 採鉱法とその実施
<タイトル>
ウラン採鉱法とその特色 (04-03-01-01)

<概要>
 ウラン採鉱の方法としては、大きく分けて露天掘と坑内掘およびインシチュリーチング(ISL)による方法がある。基本的には他の金属資源と同様であるが、ウラン採鉱の場合は、放射線防護上の管理・対策および特殊な採掘技術(遠隔操作など)が不可欠である点と、インシチュリーチング法が特に普及している点において、他の金属資源の採掘技術とは大きく異なっている。それぞれの採鉱法の特徴と具体例を示す。
<更新年月>
2009年02月   

<本文>
1.ウラン採鉱法の種類と選択
 ウラン資源の採掘技術は、基本的には他の金属資源と同様であるが、放射線防護上の管理・対策および特殊な採掘技術(遠隔操作など)が不可欠である点と、ウランが酸化状態で水に溶けやすい性質を利用したインシチュリーチング(ISL)法が特に普及している点において、他の金属資源の採掘技術とは大きく異なっている。また、一部のウランは銅や金など他の鉱物資源の共産物または副産物として生産されている。採掘手法別のウラン生産量比率を図1に示す。
 ウラン採鉱法の選択にあたり、考慮すべき条件には以下のものが挙げられる。
(a)鉱床の形、大きさ、硬さ、地表からの深さ、地下水位との関係、褶曲、断層の有無。
(b)鉱石の性質、すなわち、鉱物種、溶解性、風化の程度、共産・副産鉱種の有無。
(c)母岩および上・下磐の硬さ、透水性、破砕・風化の程度など。
(d)ウラン精鉱市場価格の見通し。
 採鉱方法の選択の基準には確定的なものはないため、過去の経験と、他鉱山の実績などを参考にして、各々の鉱山でモデル解析や実際の採鉱試験、回収試験などに基づいて決定しなければならない。
2.露天掘
 鉱床が比較的浅所に分布する場合には、一般に露天採掘法が適用される。一般の土木用採掘技術が適用でき技術上の困難性が少ないこと、大規模採掘により低コストで採掘できることなど利点が大きい。最近では、開発対象となる鉱床深度がより深くなりつつあり、露天掘で採掘可能な鉱床は少なくなってきているが、採掘後のピットが周辺の鉱山の鉱滓堆積場に利用できるなど利用価値が高い。
 代表的なウラン露天掘鉱山として、オーストラリアのRanger鉱山(図2)、ナミビアのRoessing鉱山、ニジェールのArlit鉱山、カナダのMcClean Lake鉱山などが挙げられる。
3.坑内掘
 鉱床が一定以上の地下深部に位置する場合には、地表から鉱床まで坑道を掘り、鉱床を地下で採掘する方が経済的である。
 ウラン鉱山の坑内採掘では、特にラドンガス対策が重要であり坑内労働者の放射線被爆管理も必要であるが、ウラン品位が1〜2%U以下であれば金属鉱山と同様の坑内採鉱技術が適用できる。しかし、カナダのアサバスカ地域の不整合関連型鉱床のように、ウラン鉱石品位が数%以上になる高品位鉱床の場合は、坑内作業者の放射線被爆を避けるため、作業者が鉱体に近づかないで採掘する技術が不可欠となっている。その主要な工法例は以下のとおりである。変質作用・破砕作用により鉱体・母岩が著しく脆弱化している場合には、岩盤の強度を高めて出水を防止するために、人工凍結採鉱法を組み合わせて用いることが多い。
1)レイズ・ボーリング法(Raise Boring)
 鉱体の上下に作業空間を確保し、上方から鉱体を貫いてパイロットボーリングを掘削し、下部においてリーミングビットを組み立て、リーミングビットを引き上げつつ鉱体を掘削し、鉱石を下部で回収する工法である(図3)。カナダのMcArthur River鉱山ではこの工法が用いられている。
2)ボックスホール・ボーリング法(Box−hole Boring)
 鉱体の下部に作業空間を確保し、下部から拡張可変リーマーヘッドを押し上げつつ鉱体を掘削し、鉱石を下部で回収する工法である。(図4
3)遠隔ボックスホール・ストーピング法(Remote Box−hole Stoping)
 ボックスホール・ボーリング法とブラストストーピング法を組み合わせて、生産性をより向上させる工法である。(図5
4)ジェット・ボーリング法(Jet Boring)
 鉱体の下部に作業空間を確保し、下部から鉱体に向けてパイロットボーリングを掘削しケーシングを設置。先端に噴射ノズルがついたロッドをケーシングに通して、鉱体上方から高圧水ジェット噴射により鉱石を掘削し、スラリー状の鉱石を下部で回収しポンプ輸送する工法である(図6)。カナダのCigar Lake鉱山ではこの工法と人口凍結を組み合わせた採鉱が計画されている。
4.インシチュリーチング(ISL)法
 地上から試錐井を通してウラン鉱体に水溶液(酸またはアルカリ溶液、または酸素と炭酸ガスを混入した水)を注入し、原位置(in situ)においてウランを溶かして、溶液の形で試錐井から地上に回収する方法である。なお、この方法はかつてはインプレースリーチング法とも呼ばれていたが、現在では、インプレースリーチング法という用語は坑内で同様技術を使用する場合に限定して用いられているので、インシチュリーチングの名称を用いるのが適切である。
 カザフスタン、ウズベキスタン、米国、オーストラリア等に存在する透水性が良好なロールフロントタイプの砂岩型鉱床のほとんどは、この方法により採掘されている。インシチュリーチングの詳細に関しては、ATOMICAデータ「インシチュリーチング法の実際例(04−03−01−02)」に解説されている。
<図/表>
図1 採鉱手法別のウラン生産量比率
図2 オーストラリアRanger鉱山の露天掘
図3 レイズ・ボーリング法
図4 ボックスホール・ボーリング法
図5 遠隔ボックスホール・ストーピング法
図6 ジェット・ボーリング法

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<関連タイトル>
ウランの地殻中での挙動とその分布 (04-02-01-01)
インシチュリーチング法の実際例 (04-03-01-02)

<参考文献>
(1)WNA(World Nuclear Association),The Global Nuclear Fuel Market−Supply and Demand 2007−2030(2007),p.104
(2)Jamieson and Frost, The McArthur River Project;High grade uranium mining(1997),The Uranium Institute,p.10 http://www.world−nuclear.org/sym/1997/pdfs/jami.pdf
(3)Barry W. Schmitke,Cigar Lake’s Jet Boring Mining Method,WNA Annual Symposium 2004,http://www.world−nuclear.org/sym/2004/schmitke.htm
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