<大項目> 原子力発電
<中項目> 原子力発電所の事故・故障
<小項目> 海外の原子力発電所の事故・故障・トラブル
<タイトル>
TMI事故の現状と調査研究 (02-07-04-09)

<概要>
 TMI-2は事故収束後、施設の除染放射能を含む冷却水、燃料を含む固体放射性物質の撤去が行われ、この作業は1990年に完了した。またこれと並行して事故の過程、程度等を解明するための調査、研究が行われた。研究には米国独自で行ったものもあるが、国際協力としてはTMI-2/R&D、デブリ分析、TMI-2解析演習、TMI-2/VIPがある。現在は監視保管状態に入っている。
<更新年月>
1998年05月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 事故収束後、復旧作業がGPU-Nuclear社によって行われた( 図1 参照)。この作業では、施設の除染、液体及び燃料を含む固体廃棄物の撤去、施設の監視保管状態への移行が行われた。
 補助建屋の一部除染は事故直後の1979年から始まったが、高放射線下の原子炉建屋については放射線レベルの遠隔測定、ロボット開発を含む除染技術の開発、除染作業、廃棄物の移送を行って、1990年に完了した。
 事故及び除染作業で発生した液体廃棄物は8706立方メートルであったが、樹脂で脱塩処理後、蒸発、再凝縮によって除染された液体はサスケハンナ川に放流された。
 圧力容器蓋及び上部構造物は燃料装荷canalに保管された。固体放射性廃棄物は放射能レベルで区別され、低いものはハンフォ−ドの商業処分場に処分され、基準を超えるものはアイダホホ−ルスの貯蔵所に運ばれた。
 燃料及び燃料を主体とする溶融−凝固物は容器に詰めてアイダホホ−ルスの水ピットに貯蔵された。このうち炉心に存在した物は1987年に取り出しを完了したが、下部ヘッド、コアホ−マ−、下部構造物等に移行した物は取り出しに先だって構造物の切断、撤去を行わなければならなかったので、取り出し完了は1989年になり、合計134トンが上記の貯蔵所に輸送、貯蔵された。
 上記の作業と並行して、事故の過程、程度等を解明するための調査、研究が行われ、それに伴って、炉心及び圧力容器下部ヘッドから試料の採取が行われた。これらの作業完了後、監視保管状態に入っている。
 事故の調査、研究は、(1)USDOEと日米WR研究日本委員会との共同研究であるTMI-2 R&D計画、(2)USDOEとOECD/NEAの共同研究としてCSNIに設置された、TMI-2標準問題タスクグル−プによる事故解析、(3)TMI-2デブリ分析タスクグル−プによる採取試料の分析、(4)USNRCとOECD/NEAの共同研究であるTMI-VIP計画がある。

(1)TMI-2 R&D計画
 USDOEと日本WR研究日本委員会(10電力、原子力関連5社、原工試、原研(現日本原子力研究開発機構)で構成)の共同研究で、事故状況の把握、採取試料の分析、原子炉及び機器の状況分析、放射性廃棄物の処理、処分技術の開発を目的とした。本計画は1984年から1989年迄実施された。
 成果は、a)事故シナリオの解明、b)FP挙動、c)解析コ−ドの検証、d)除染技術の開発、e)原子炉検査、炉心及び炉内構造物の撤去技術の開発、f)廃棄物の処理、処分技術の開発である。

(2)TMI-2標準問題タスクグル−プによる事故解析
 8カ国、13機関が参加し、アイダホ国立研究所が整備したTMI-2デ−タベ−スを用いて事故解析を行い、事故事象の解明を行うと共に、各国のシビアアクシデント解析用コ−ドの検証を行った。事故の初期についてはいずれのコ−ドも現象をよく記述できていたが、事故の進展に伴って解析結果が悪くなった。特に炉心に融体とこれを包むクラストができることを記述できたコ−ドはなかった。しかし各コ−ドともに自己のモデルの問題点を明かにすることができた。この報告書は1991年8月に完成した。

(3)TMI-2デブリ分析タスクグル−プによる採取試料の分析
 8カ国と1国際研究機関から10機関が参加し、炉心及び下部プレナムから採取した試料を金相試験、化学分析、放射化学分析、ミクロ分析を主体とする機器分析等を行った。この作業から、溶融炉心の最高温度は2800k以上に達したこと、Ag,In,Cd,Ni,Sn,Feは酸化されないがU,Zr,Crは酸化される雰囲気であったこと、蒸発しにくいFPのうち貴金属は金属相、ランタノイドは(U,Zr)O2 酸化物中でもZrの多い相に含まれやすいことなどが見いだされた。これらの成果は1992年4月に報告書にまとめられた。

(4)TMI-VIP計画
 11カ国から各1機関が代表として参加し、圧力容器下部ヘッドの損傷状況解明と圧力容器破損までの裕度を明らかにすることを目的として実施された。
 この研究では、圧力容器下部ヘッドの観察、容器から鋼材、ノズル、案内管の採取試料の試験、容器の温度/応力の解析を行って損傷の程度と破損までの裕度を推定した。この研究で、圧力容器下部ヘッドで局部的に高温になった場所があり、その到達最高温度は1050-1100℃と推定されたこと、容器内表面にクラックが発見されたがステンレス鋼内張り(約5mm厚)内でほぼ留まっていたこと、もっとも起こる可能性の高い圧力容器貫通のモードは容器の局部破損であるがこのモードでも破損までにかなりの裕度があったこと等が明らかになった。この計画は1993年3月に終了し、報告書は同年10月に完成した。
<図/表>
図1 TMI-2復旧に関する工程

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<関連タイトル>
米国スリー・マイル・アイランド原子力発電所事故の概要 (02-07-04-01)
TMI事故の経過 (02-07-04-02)
TMI事故時の避難措置 (02-07-04-03)
TMI事故直後の評価 (02-07-04-05)
TMI事故の我が国における対応 (02-07-04-06)
TMI事故直後の米国における対応 (02-07-04-07)
TMI事故直後の諸外国等における対応 (02-07-04-08)

<参考文献>
(1) Nuclear Technology, 89, No.1-4(1989)
(2)「TMI-2の事故調査・復旧に関する成果と教訓」翻訳グル−プ(訳):TMI-2の事故調査・復旧に関する成果と教訓、JAERI-M93-111(1993)
(3) 度会偵佑他:TMI2号機の調査研究成果、日本原子力学会誌、Vol.32,No.4(1990)
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