<大項目> エネルギーと地球環境
<中項目> エネルギー政策
<小項目> 電力政策
<タイトル>
電力需要の変遷と需要構造 (01-09-05-03)

<概要>
 電力需要は経済成長と密接な関係がある。電力需要は、一次的な停滞を別にすれば、年々一貫して増加している。特に、最近、民生用電力需要は、国民生活の向上を反映して、数十年来、マイナス成長を記録した年はない。民生用需要が電力需要全体に占める割合も、1960(昭和35)年代には約30%程度であったものが、その後着実に上昇し、1981(昭和56)年度には40%を突破した。そして1992(平成4)年度には、産業用需要との構成比が逆転し、その後も産業用を上回る伸びを示し、1990年代後半には50%を超えた。
<更新年月>
2005年11月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1.電力需要の変遷
 電力需要は最終エネルギー消費の伸び率を上回るぺースで堅調に伸びており、2003年度は717兆kcal(3,003兆kJ、8,343億kWh)で最終エネルギー消費の約21.2%を占めるまでになった(1973年度は約13%)。省エネルギーや機器効率の改善が進む一方で家電機器の普及やオフィスビルにおけるOA機器の普及が需要の伸びを支えている。最終エネルギー消費と電力需要の推移を表1に示す。
2.契約種別とエネルギー需要部門の対応
 電力の需要データは契約種別ごとに掲載されていることがあるが、エネルギー需要部門との対応は、大略、表2のようになる。
 電力需要は、電灯と電力に大別できるが電力の中で業務用電力を除き規模の小さいものを小口電力、規模の大きいものを大口電力とよぶ。小口は、低圧電力と高圧Aを加えたもの、大口は、高圧Bと特定規模需要の一部を加えたものになる。
 特定規模需要は、電力事業の自由化対象となる大規模な需要で2003年度末までは従来(平成11年度改正前)の業務用電力の一部(原則2,000kW以上)と大口電力の中の特別高圧電力、及びその他電力の一部(原則2,000kW以上)の合計である。特定規模需要が業務用と特別高圧(産業)とに分かれていない契約種別データだけでは業務部門、産業部門の動向を見ることはできないが、産業部門については大口電力の統計データが別途公表されている。
 参考までに、契約種別は用途・使用形態によって以下のように区分されている。
電灯:
  一般家庭、街灯など電灯・小型機器を使用する需要で、低圧で供給される。さらに契約電力や契約期間によって従量電灯、定額電灯、公衆街路灯、臨時電灯に区分される。
業務用電力:
  事務所、ビル、デパート、飲食店、学校、病院など高圧または特別高圧で電気の供給を受ける、電灯や動力を併せて使用する需要で、契約電力が50kW以上のもの。2000年4月以降の区分では従来の業務用電力のうち特定規模需要を除いたものを業務用電力としている。
小口電力:
  商店の動力や小規模工場などの需要である。さらに規模(契約電力)により50kW未満の低圧電力と50kW以上500kw未満の高圧電力Aの2つに区分できる。
大口電力:
  大規模工場や鉄道の動力・熱源需要である。規模(契約電力)により500kW以上2,000kW未満の高圧電力Bと2,000kW以上の特別高圧電力に区分できる。
 特定規模需要は、2003年度末までは原則2,000kW以上2万ボルト未満の特別高圧電力、その他電力を加えたものになる。2004年度からは契約電力500kW以上、2005年度からはすべての高圧需要家となる。
2.1 電力需要の部門別推移
 電力需要の長期的な推移を家庭用(電灯)、業務用(業務用電力)、産業用(大口電力)の3部門に分けてみる(図1図2)。
 業務用電力は石油危機の1973年度から1999年度までに5.9倍、電灯も3.4倍と高い伸びとなっているのに対し産業用大口電力は、1.5倍と低い伸びに止まっている。またその結果家庭用(電灯)シェアは20%から30%へと上昇、業務用シェアも8%から21%へと拡大し、これら民生用需要が52%を占めるに至っている。一方産業用大口需要はシェアを47%から31%へと低下させている。このように電力需要の増加は長期的に見て電灯と業務用電力の合計である民生用需要によって牽引されてきた。
 これは家庭におけるアメニティ指向の高まりを反映して、冷暖房機器を中心に家電機器の普及が進展していること、経済の情報化・サービス化の進展を反映して、オフィスビルにおけるOA機器の普及が急速に進展していることなどによるものである。
2.2 産業部門の電力需要
 産業用需要の内訳(図3)を見ると、鉄鋼、紙・パルプ、化学、窯業・土石、石油・石炭製品といった電力多消費産業は、高度成長期には電力需要が上昇を続けていた。しかし第一次石油危機(1973年)以降、円高などを背景とした国際競争力の低下のため、素材型産業が不振となり、伸びは横ばいで推移した。第二次石油危機(1979年)以降はアルミ精錬産業の急速な衰退もあって、いっそう低下傾向が強まった。一方、食料品、繊維、ゴム、非鉄金属、機械その他製造業などの電力寡消費産業は、産業の高付加価値化が進展する中で、情報、エレクトロニクス関連などの機械産業の電力消費原単位が上昇した。また加工組立型産業では輸出に支えられた自動車・電気機械などの成長が著しかったことも電力寡消費産業の需要増大につながった。このような状況のため1980年代後半には電力寡消費産業の電力消費が電力多消費産業の電力消費量を上回りその後も現在に至るまで格差は拡大傾向にある。
2.3 自家発自家消費
 自家発自家消費電力量は、2002年度時点で約1,223億kWhである。自家発等の電力需要は増加を続けており、製造業全体の自家発比率は30%に達している。自家発比率を業種別に見ると(図4)、もっとも自家発比率が高いのは石油・石炭製品で84%で、以下紙・パルプ70%、化学56%、窯業・土石38%、鉄鋼33%と続く。素材産業で自家発比率が高くなっている。
2.4 最大電力負荷率の推移
 近年電力需要は堅調に伸びているが、最大電力の伸びは電力需要の伸びを上回る傾向にある。つまり需要のピークの山が生じている。電力会社は予備分を考慮してこの最大電力を上回る供給設備を確保する必要がある。しかし、ピークの山が大きくなるということは莫大なコストを費やして設置した設備の利用率が低下することになるため、ピークシフト対策や設備点検時期の工夫が必要となる。
 最大電力とは、ある期間(日、月、年など)の中でもっとも多く使用した電力のことである。一般には1時間ごとの電力量のうち最大のものをいう。最大電力は気温の影響を大きく受けつつもほぼ一貫して毎年増加を続けている(図5-1図5-2)。最大電力増加の要因としては、べース需要の増加に加えて夏季の冷房需要の増加があげられる。冷房需要が最大電力に占める割合は、1973年度に25%であったのが1985年度には約32%にさらに1994年度は38%と大きく増加しているという。これは家庭用エアコンの普及率が一貫して上昇していること、業務用でも高層ビル等、冷房を必要とする気密性の高い建築物の増加やコンピューター専用室のために冷房需要が増加していることによる。
 また負荷率とは設備の有効利用度を測るための指標の1つで、ある期間(日、月、年など)における平均電力(kW)の最大電力に対する比率を指す。図6によると、年負荷率は1970年代にはほぼ60%を上回る水準で推移していたが、1980年代以降低下し、1990年代以降は猛暑・冷夏などにより変動しているものの、50%台後半へとその水準が下がっていることがわかる。このように年負荷率が低下している要因は、冷房需要の増加、用途構成の変化、産業用需要における業種構成の変化などがあげられる。
2.5 2004年度の需要と2005年度の推定
(1)需要電力量
 2004年度の需要電力量は、生産や設備投資の増加等、緩やかな経済の回復に加え、猛暑の影響による冷房需要の増加等から8,606億kWh、対前年度(2003年度の実績8,343億kwWh)に対し3.2%増(気温・閏補正後1.5%増)の伸びとなる見込みである。特定規模需要以外の需要を用途別に見ると、電灯については、需要数の伸びの鈍化や省エネルギー機器の普及による影響があるものの、猛暑の影響による冷房需要の増加や個人消費の増加等から、対前年度(2003年度の実績2,597億kWh)に対し4.6%増(気温・閏補正後1.4%増)の2,715億kWhとなる見込みである。低圧電力については、猛暑の影響による冷房需要の増加はあるものの、需要数の減少等から、対前年度(2003年度の実績385億kWh)に対し5.1%増(気温・閏補正後1.0%減)の405億kWhとなる見込みである。
特定規模需要(50kW以上)については、緩やかな経済の回復に加え、猛暑の影響による一部業種の生産増の影響等から、業務用需要・産業用需要ともに堅調に推移し、対前年度(2003年度の実績5,224億kWh)に対し2.5%増(気温・閏補正後1.9%増)の5,354億kWhとなる見込みである。
 2005年度の需要電力量は、生産や設備投資が引き続き増加すること等を背景に、緩やかな経済の回復が継続することが見込まれるものの、前年度の猛暑の影響による冷房需要の反動減や一部業種の生産の反動減等から8,541億kWh、対前年度0.8%減(気温補正後0.5%増)となる見込みである。
 特定規模需要以外の需要を用途別に見ると、電灯については、住宅着工戸数が低水準で推移することから需要数の伸びが低調と見込まれることに加え、前年の猛暑の影響による冷房需要の反動減も見込まれるものの、個人消費が引き続き増加すること等から、0.0%(気温補正後2.1%増)の2,714億kWhとなる見込みである。低圧電力については、需要数の減少や前年の猛暑の影響による冷房需要の反動減等から、5.9%減(気温補正後1.4%減)の381億kWhとなる見込みである。特定規模需要(50kWh)については、緩やかな経済の回復が継続することが見込まれるものの、前年度の猛暑の影響による一部業種の生産の反動減等から、産業用需要の減少が見込まれ、対前年度伸び率は0.7%減(気温補正後0.1%減)の5,314億kWhとなる見込みである。
(2)最大需要電力
 2004年度の最大需要電力(夏季におけるピーク電力)は、夏季の最高気温が平年に比べ大きく上回る猛暑の影響により冷房需要が増加し、電力会社4社で日量の過去最大の記録を更新したものの、最大需要電力の過去最大の記録は更新しなかった。この要因としてはエアコンや冷蔵庫等の省電力型機器の普及増(図7)や負荷平準化を目的とした多様な料金メニューの効果が寄与したこと等が考えられる。合成値では1億7,182万kWと、2003年度に対し4.8%増(気温補正後2.0%増)の伸びとなった。
 2005年度の最大需要電力は、引き続き経済の緩やかな回復基調が見込まれるものの、前年度の猛暑の影響による冷房需要の反動減や一部業種の生産の反動減等から、1億7,250万kWと、2004年度に対し0.4%増(気温補正後1.2%増)の伸びとなる見込みである。
<図/表>
表1 最終エネルギー消費と電力需要の推移
表2 契約種別とエネルギー需要部門の対応
図1 部門別電力需要の推移(電気事業用)
図2 部門別電力需要の推移(1973年以降)
図3 産業部門の電力需要推移
図4 大口需要に占める自家発比率
図5-1 夏季一日の電気の使われ方(年間最大出力を記録した日)(10電力計)
図5-2 一年間の電気の使われ方(10電力計)
図6 年負荷率の推移(10電力)
図7 家庭用電力の伸び

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<関連タイトル>
日本の各種電源の特徴と位置付け(2002年) (01-04-01-15)
平成17年度電力供給計画 (01-09-05-22)

<参考文献>
(1)資源エネルギー庁(編集発行):平成17年度電力供給計画の概要(2005年3月)、p.2-4
(2)資源エネルギー庁(編):エネルギー2002、(株)エネルギーフォーラム(2001年12月10日)、p.160-164
(3)(財)日本エネルギー経済研究所計量分析部(編):エネルギー・経済データの読み方入門、(財)省エネルギーセンター(2001年2月23日)、p.243-248
(4)電気事業連合会統計委員会(編):電気事業便覧 平成13年度版、(社)日本電気協会(2001年10月1日)、p.41-126(III需給)
(5)資源エネルギー庁:平成16年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書)
http://www.enecho.meti.go.jp/hokoku/index.html
(6)電気事業連合会ホームページ:原子力・エネルギー図面集 第1章「世界および日本のエネルギー事情」http://www.fepc-atomic.jp/library/zumen/pdf-data/all01.pdf
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