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<概要>
 地球温暖化問題の主因は二酸化炭素を中心とした温室効果ガスの人為的排出によるものであり、温暖化による影響を緩和するためには二酸化炭素の排出を抑制することが不可欠と考えられている。そこで、国際的に協力して地球温暖化問題に対応するために国連気候変動枠組条約が締結され、二酸化炭素を中心とした温室効果ガスの排出削減に関する当面の数値目標を定めた京都議定書が採択された。しかし、主要排出国の米国が離脱するなど、京都議定書に基づく排出削減の国際協力体制は困難になるとともに、京都議定書以降の将来枠組みに関する交渉も難航している。そこで、枠組条約プロセスを補完する取り組みも始められている。日本では、2005年に京都議定書目標達成計画が策定され所要の対策が図られたが、温室効果ガスの排出削減が顕著に進まなかったため、2008年に改定京都議定書目標達成計画が策定され、取り組みの強化が図られている。
<更新年月>
2009年01月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1.地球環境問題の概要と対策
 世界の温室効果への寄与の約60%は二酸化炭素によるものとされており、そのうち約80%が化石燃料の燃焼に起因する(図1参照)。
 2007年のIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)第4次評価報告によれば、世界平均地上気温は1906〜2005年の間に0.74(0.56〜0.92)℃上昇し、20世紀を通じて平均海面水位は17(12〜22)cm上昇している(表1)。また、最近50年間の気温上昇の速度は、過去100年間のほぼ2倍に増大し、海面上昇の速度も徐々に増大している。このように気候システムがすでに温暖化しつつあると断定するとともに、20世紀半ば以降に観測された世界平均気温の上昇のほとんどは人為起源の温室効果ガスの増加によってもたらされた可能性が非常に高いとしている。
 他方、将来動向に関しては、世界全体の経済成長や人口、技術開発、経済・エネルギー構造等の変化について複数のシナリオに基づく検討を行っている。これによると、1980年から1999年までの期間の平均気温と比べた場合の21世紀末(2090年〜2099年)の気温上昇は、経済、社会及び環境の持続可能性のための世界的な対策に重点が置かれ、地域間格差が縮小した社会では約1.8(1.1〜2.9)℃、また、高度経済成長が続く中で化石エネルギー源に依存した社会では約4.0(2.4〜6.4)℃と予測している。第3次評価以降の新しい知見として、大気中の二酸化炭素濃度の上昇に伴ってすでに海洋の平均酸性度(pH)が約0.1低下(酸性化)しており、21世紀中には世界平均の海洋表層pHがさらに0.14〜0.35低下すると予測されている。
 この地球温暖化問題に国際的に協力して対応するために、1992年5月に国連気候変動枠組条約を採択するとともに、具体的な対策を定めた京都議定書を1997年12月に採択し2005年2月に発効した。京都議定書は、先進国全体の2008年〜2012年の期間(以下、第1約束期間)における年平均温室効果ガス排出量を1990年比で少なくとも5%削減することを目的として、国ごとに排出削減の数値目標を定めている。主要国・地域の削減目標として、日本は6%、欧州連合(EU、旧15カ国)は8%、米国は7%を約束した。(詳細はATOMICAデータ「京都議定書(1997年)」を参照。)
 しかし、米国は2001年に議定書からの離脱を宣言し、オーストラリア(8%増加水準に抑制)は批准に至らず、また、カナダ(6%削減)は2007年に京都議定書の目標達成を断念したことを表明するなど、京都議定書の下での排出削減の国際的協力体制の維持は難しくなっている。また、国連気候変動枠組条約の締約国会議では第1約束期間以降の将来枠組みに関する議論も行われているが、途上国の削減努力に関する取決めなどを巡って激しい意見対立があり、交渉は難航している。
 こうした中で、より長期的視野に立って実効性のある排出削減の枠組みを模索する動きも出てきており、主要国首脳会議(G8)が主導する途上国を含めた対話プロセス(主要20カ国と世界銀行、IEAが参加)、米国の提唱で始まったアジア太平洋パートナーシップ(APP)などが国連枠組条約プロセスを補完する取り組みとして実施されている。このうちAPPは、日本、米国、オーストラリア、韓国、中国、インドの政府・民間企業が参加し、技術開発・普及・移転を通じてエネルギー需要の増加、エネルギー安全保障の確保、気候変動問題への対応を協力して行うものであり、2006年1月の第1回閣僚会議以降、分野ごとにタスクフォースを設置して行動計画を策定し、具体的な協力活動を行っている。
2.日本における二酸化炭素放出抑制対策
 日本では、削減約束を達成するために必要な対策・施策を定めた京都議定書目標達成計画が、2005年4月に閣議決定された。京都議定書目標達成計画では、目標達成のための対策・施策として、1)温室効果ガスの排出削減、吸収等に関する対策・施策、2)国民運動の展開や公的機関の率先的取組など横断的施策、3)技術開発の推進や国際的連携の確保など基盤的施策、4)京都メカニズムに関する対策・施策が具体的に盛り込まれている(表2)。1)では、森林吸収源対策について、3)では、二酸化炭素の回収・貯留(CCS)や適応策などの対策についても言及している。
 我が国の温室効果ガス排出量の約9割はエネルギー起源の二酸化炭素であり、その削減のための対策・施策としては、技術を利用した「エネルギー関連機器の対策」、「事業所など施設・主体単位の対策」や、「都市・地域の構造や公共交通インフラを含む社会経済システムを省CO2型に変革する対策」などが挙げられている。これらの内容を更に具体的に示したのが、表3エネルギー起源二酸化炭素に関する対策の全体像)及び表4(エネルギー起源二酸化炭素に関する対策と技術の関連)である。
 しかし、これらの対策によって温室効果ガスの排出量が顕著に削減するには至らなかったため、京都議定書の6%削減目標達成を確実なものとする目的で、改定京都議定書目標達成計画が2008年3月に閣議決定された。これは、産業界による自主行動計画の一層の推進、住宅・建築物の省エネ性能の更なる向上、トップランナー機器等の対策の強化、工場・事業所の省エネルギー対策の徹底、自動車の燃費の改善、中小企業の排出削減対策推進などの対策・施策の追加・強化を盛り込み、排出抑制対策・施策の推進によって排出量を基準年比0.8%〜1.8%削減し、さらに森林吸収源、京都メカニズムを合わせて6%削減の達成を目指したものである。この計画を着実に推進するため、地球温暖化対策推進本部において、個々の対策について政府が講じた施策の進捗状況等の点検を毎年厳格に行っている。さらに、第1約束期間の中間年度である2010年度以降速やかに、目標達成のために実効性のある追加的対策・施策を実施できるよう、2009年度には、第1約束期間全体の我が国の温室効果ガス排出量見通しを示し、本計画に定める対策・施策の進捗状況・排出状況等を総合的に評価し、必要な措置を講じることとしている。
(前回更新:2004年2月)
<図/表>
表1 地球温暖化の現状
表1  地球温暖化の現状
表2 京都議定書目標達成計画の骨子
表2  京都議定書目標達成計画の骨子
表3 エネルギー起源二酸化炭素に関する対策の全体像
表3  エネルギー起源二酸化炭素に関する対策の全体像
表4 エネルギー起源二酸化炭素に関する対策と技術の関連
表4  エネルギー起源二酸化炭素に関する対策と技術の関連
図1 温室効果ガスの地球温暖化への寄与度
図1  温室効果ガスの地球温暖化への寄与度

<関連タイトル>
地球の温暖化問題 (01-08-05-01)
温室効果ガス (01-08-05-02)
地球の炭素循環 (01-08-05-03)
二酸化炭素放出量の推計 (01-08-05-12)
運輸部門における炭酸ガス排出量と今後の温暖化防止対策 (01-08-05-31)
地球温暖化防止対策のためのエネルギー・環境関連税 (01-08-05-33)
京都議定書(1997年) (01-08-05-16)
京都議定書目標達成計画 (01-08-05-17)

<参考文献>
(1)環境省ホームページ:地球温暖化対策
(2)環境省ホームページ:平成19年版環境・循環型社会白書
(3)環境省ホームページ:平成20年版 環境・循環型社会白書
(4) 電気事業連合会ホームページ:原子力・エネルギー図面集2008年版
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