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<概要>
 2001年のエネルギーの総消費量は、世界全体で石油換算約91億トンである。エネルギー源別には、石油が38.5%で最も大きな割合を占め約35億トン、ついで石炭約23億トン24.7%、天然ガス約22億トン23.7%、原子力約6億トン6.6%、水力約6億トン6.5%である。二度の石油危機を経験して、石油依存度は低下してきたものの、それでもまだ依存度は高く、石油は依然として最大のエネルギー源である。
 世界のエネルギー需給量は、石油危機までは急増していたが、石油危機以降、一転して緩やかな上昇に変わった。近年のエネルギー構成比の変化をみると、石油・石炭の比重が低下し、代わって天然ガス・原子力が伸びている。
<更新年月>
2004年02月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 2001年のエネルギーの総消費量は、世界全体で石油換算約91億トンである。エネルギー源別には、石油が38.5%で最も大きな割合を占め約35億トン、ついで石炭約23億トン24.7%、天然ガス約22億トン23.7%、原子力約6億トン6.6%、水力約6億トン6.5%である
表1)。二度の石油危機を経験して、OECD(Organization for Economic Co-operation and Development:経済協力開発機構)の石油依存度は低下してきたものの、それでもまだ依存度は約44%もあり、石油は依然として最大のエネルギー源である(表2)。
 世界のエネルギー需給量は、石油危機までは急増していたが、石油危機以降、一転して緩やかな上昇に変わった。近年のエネルギー構成比の変化をみると、石油・石炭の比重が低下し、代わって天然ガス・原子力が伸びている。
 地域別にみれば、世界の一次エネルギー消費の過半が先進地域のOECD諸国で占められている(表3)。しかし、OECD諸国の供給力は消費量に比べ小さく、途上国の供給力に頼っている。
(1) 石油の需給
 エネルギー消費全体の4割弱(2001)を占める石油は、先進諸国によってその過半が消費されている。石油消費の多い国を順にあげれば、2000年時点でアメリカが世界石油需要の約26%を占め、ついで日本約8%、中国約6%となっている。
 一方、供給側の生産割合(1997年)をみると、OPEC全体で41.8%が生産されており、その中でも中東地域は27.0%、中東以外では13.6%となっている(表4-1表4-2)。
 中東地域の生産量が世界に占めるシェアは、かつて、第一次石油危機時(1974年)に4割弱もあったが、資源保護政策や非OPEC地域の供給量増大等により、1985年時点では2割弱まで低下した。その後増加に転じ、1997年には27.0%となっている。
 ロシアを中心とした旧ソ連邦は、崩壊前の1974年にはアメリカを抜いて世界最大の産油国になり、1987年には日量1248万バレル(世界生産量の22.3%)の生産量を誇っていた。しかし、崩壊の混乱から生産量は減少し、1997年には日量約710万バレルとなっている。既存油田の老朽化、資機材の不足等によりこの減産傾向は続いているが、近年、カスピ海周辺地域でサウジアラビアにも匹敵する埋蔵量といわれる規模の石油・ガス資源に注目が高まるなど、世界のエネルギー市場にその需給が及ぼす影響は無視できない。
(2) 天然ガスの需給
 世界のエネルギー消費の23.7%(2001)を占める天然ガスは、その半分以上が先進国のOECD諸国で消費されている。天然ガス消費量の大きな国を順にあげれば、最大はアメリカで26%、次いでロシアが15%、イギリスが4%(2001)となっている。
 天然ガスは約2兆3000億m3(1997)の生産量であり、最大の供給地は旧ソ連およびアメリカで、それぞれ世界全体の29.3%、24.5%(1997)を生産している。
 天然ガスの輸送手段はパイプラインが主流であり、パイプラインを建設できる距離内に天然ガス生産地を持つ国では消費量が多くなっている。ただし、わが国は現状ではパイプラインを利用できず、液化天然ガス(LNG:Liguefied Natural Gas)として輸入されており、世界平均に比べ天然ガスの消費は非常に少ないといえる。
(3) 石炭の需給
 2001年の世界の石炭需要量は約23億トン(石油換算)で、これは世界のエネルギー消費の24.7%を占める。ほとんどが生産国近隣で消費されている。石炭の主要消費地域は中国、アメリカ、旧ソ連、東欧、インド、ドイツである。この5地域で世界の石炭消費の78%を占めている。なかでも中国とアメリカはそれぞれ6.6および5.4億トン(石油換算)の消費量で、2か国だけで世界の51%を消費している。
 賦存地域が全世界に広がっていて身近にあることと、石炭の価格が安いという理由から、発展途上国での利用が多くなっており、中国ではエネルギー消費の71%に達している。
 世界の石炭(瀝青炭・無煙炭)生産量は、IEA(International Energy Agency:国際エネルギー機関)によれば2000年に約36億tであり、最大の生産国は中国(32%)、続いてアメリカ(25%)と、この2国の生産量が多く、次いでインド、旧ソ連が10%弱の生産を行っている。
 わが国は、鉄鋼、電力、セメント等の利用増大により輸入量が伸び、抜きん出た第1位の輸入国となっている。
(4)原子力の需給
 原子力は世界全体のエネルギー消費量の6.6%(2001)を占める。国別にみると、アメリカ、フランス、日本、ドイツ、ロシア、カナダ、イギリス、ウクライナ、スウェーデン等が主要な保有国となっており、この9ヶ国で世界全体の発電設備容量の80%を占めている。2001年12月末現在において、運転中の原子力発電は31カ国で432基、3億6628万kWであり、建設中のものが43基、4127万kW、計画中のものが35基、2660万kWとなっており、これらを合計すれば運転中のものを含め、510基、4億3415万kWとなる。
<図/表>
表1 世界の一次エネルギー消費の推移
表1  世界の一次エネルギー消費の推移
表2 OECD一次エネルギー供給構成
表2  OECD一次エネルギー供給構成
表3 世界主要地域のエネルギー別消費量(2001年)
表3  世界主要地域のエネルギー別消費量(2001年)
表4-1 世界の原油生産実績(1/2)
表4-1  世界の原油生産実績(1/2)
表4-2 世界の原油生産実績(2/2)
表4-2  世界の原油生産実績(2/2)

<参考文献>
(1)資源エネルギー庁石油部(監修):平成11年 石油資料、石油通信社(1999年8月)
(2)資源エネルギー庁石油部(監修):平成14年 石油資料、石油通信社(2002年10月)
(3)資源エネルギー庁(監修):1999/2000資源エネルギー年鑑、通産資料調査会(1999年1月)
(4)日本原子力産業会議(編):原子力年鑑2003年版、日本原子力産業会議(2002年11月)
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