<大項目> エネルギーと地球環境
<中項目> 日本の新エネルギー
<小項目> リサイクル型新エネルギー
<タイトル>
未利用エネルギーの導入 (01-05-03-01)

<概要>
 都市部や工場等において、未利用エネルギーは、それを活用したエネルギー供給システムを経済的に相当程度利用でき、生活向上、快適指向を満たしながらエネルギー需要を緩和することが可能となる。したがって、熱供給システム機器・設備のコストダウンと効率化、熱供給事業の推進等により、未利用エネルギーを活用した100℃以下の熱需要に対応する地域熱供給システムの積極的導入を図ることが、極めて重要かつ緊急の課題である。
<更新年月>
2004年02月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 未利用エネルギー(Unutilized Energy)とは、河川水・下水等の温度差エネルギー(夏は大気よりも冷たく、冬は大気よりも暖かい水)や、工場等の排熱といった、今まで捨てていたり見過ごしたりしていた、質の低いエネルギー(表1)を総称して、「未利用エネルギー」と呼ぶが、これらをヒートポンプ技術等の活用、また、地域の特性に応じて、熱の利用を高温域から低温域にわたる各段階において、発電用途も含め、無駄なく組合わせるエネルギーシステムの整備により、民生用の熱需要に対応させていくことが、近年可能となっている。
 未利用エネルギーの種類としては、(1)生活排水や中・下水の熱、(2)清掃工場の排熱、(3)超高圧地中送電線からの排熱、(4)変電所の排熱、(5)河川水・海水の熱、(6)工場の排熱、(7)地下鉄や地下街の冷暖房排熱、(8)雪氷熱等がある。最近のエネルギー需給動向は、民生部門の伸びが顕著であり、このような需要動向に対処しながら、「国民生活の快適さ指向」と「エネルギー制約・地球環境への対応」との両立を図るため、沮度差エネルギー(海水、河川水、下水等の利用)、ゴミ処理廃熱等の未利用エネルギーの有効活用は急務の課題である。
 このため、適切に対処すれば、未利用エネルギーを活用したエネルギー供給システム(図1)を経済的に相当程度導入でき、生活向上、快適指向を満たしながらエネルギー需要を緩和することが可能となる。すでに、スウェーデン、フィンランド、フランス等では、数百キロメートルの熱パイプライン網を整備し、未利用エネルギーによる地域熱供給システムにより、都市の熱需要の大半をまかなっている。これに対し、日本では、まだこのような設備の整備は極めて低い水準にあり、今後は、積極的な対応が求められている。
 表2に未利用エネルギー活用型の地域熱供給事業一覧を示す。
1.導入のための課題と対応策
 実際に、未利用エネルギー活用システムを導入するための課題と対応策は以下のとおりである。
(1)イニシャルコストが極めて高い(ヒートポンプ、パイプライン、蓄熱槽等)ので負担軽減のために、システムの設備についての公的資金援助、規格化、標準化・大量生産によるコストダウンを図る。
(2)熱源から需要地までの、熱輸送用のパイプラインを社会資本の一環として積極的に整備する。
(3)熱源の不安定性、熱源と熱需要の時間的ずれ(熱が発生するピーク時と利用するピーク時がずれる)への対応のため、大規模蓄熱槽などの助成、熱源間の連携による相互補助を推進し、熱供給ネットワークのようなものを整備する。
(4)まとまった需要の確保のために、未利用エネルギーを有効に活用できる地域では、地方公共団体などが未利用エネルギー活用システムに加入するよう需要家を指導する。また、需要家への恩典として、未利用エネルギー導入にかかわる、需要家側設備の容積率の緩和、負担軽減など必要な措置をとる。
(5)熱供給事業者を育成するために、熱源の所有者・管理者と、需要家への熱販売業者との事業連携を推進する。また、事業のノウハウ不足、偏在が著しいので、事業者間の情報交換、情報の蓄積を行うための組織整備を行う。
(6)未利用エネルギーによる地域熱供給システムの実現は、一事業者、地方自治体の一部局だけでは進まないから、計画段階から自治体の関係部局、エネルギー事業者、デベロッパー、関係省庁の協議機関を設置する。
(7)システムの一層の効率向上、多様な熱源の系統管理、熱源に対応した機器の開発等を行うため、官民一体の総合的・計画的研究開発を進める。
(8)熱源の所有者・管理者の熱利用に対する認識が、必ずしも十分とはいえないため、その有効性を理解してもらうとともに、積極的活用を求める。
(9)工場等においては、現状でも排出されるエネルギーを相当量回収して再利用しているが、今後も未利用のまま大気中、海水中に放出されているエネルギーの利用を促進する。また、自工場では利用の用途のない未利用エネルギーについては、産業間、産業・民生間等自工場外での広域的な利用を具体化する。
 以上のような方策を講ずれば未利用エネルギーは、国民生活を犠牲にすることなく、省エネルギーを推進できる有効な手段となる。したがって、極めて重要かつ緊急の課題として未利用エネルギーを活用した地域熱供給システムの積極的な導入を図るべきである。
 図2に民生家庭部門エネルギー消費及び世帯当りエネルギー消費(原単位)の推移を、図3に民生業務部門エネルギー消費及び床面積当りエネルギー消費(原単位)のを示す。
 最近のエネルギー需給動向は、民生部門の需要の伸びが顕著であり、このような需要動向に対処しながら、「国民生活の快適さ指向」と「エネルギー制約・地球環境への対応」との両立を図るため、温度差エネルギー(海水、河川水、下水道等の利用)、ゴミ処理廃熱等の未利用エネルギーの有効活用は急務な課題である。しかしながら、熱源と需要地の地理的ミスマッチ、温度のミスマッチ、時間的ミスマッチといった課題を克服する必要がある。このため、従来からの未利用エネルギー活用地域熱供給システム事業の導入に対する助成の他、エネルギ−の供給段階から最終需要段階までを一つのシステムとして位置づけ、需要の特性に応じて熱の利用を高温域から低温域にわたる各段階において、発電用途も含めた効率的に組み合わせるエネルギー有効利用システムの構築に対する助成制度が設けられた。1993年度から、カスケード利用型工業団地、工場等余剰エネルギー周辺供給施設を始めとする環境調和的なエネルギーシステムに関するモデル事業および実施可能性調査を行う者に対する助成を行なっている。
2.国の方針と技術開発
 1997年度から、エネルギー・セキュリティの確保、二酸化炭素排出抑制対策等環境問題への積極的な対応の観点から「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法」に基づき認定を受けた計画に従って新エネルギー導入事業(熱供給事業関係においては、例えば、温度差エネルギー、天然ガスコージェネレーション、廃棄物熱利用等がある)を行う者に対する助成および地域におけるエネルギ−賦存状況に応じてきめ細かな対策を講じることができる地方自治体の積極的な取組が重要であることから、地方自治体に対する助成も行っている。
 助成にあたっては大規模、高効率等一定の新エネルギー効果が期待できることとしている。また、1998年度の税制改正において、エネルギー需給構造改革投資促進税制の対象設備に「未利用エネルギー利用設備」が追加されたことにより、初年度基準取得価格の30%の特別償却を選択できる税制上の優遇措置により未利用エネルギー利用の導入促進を図る。
 金融面においては、熱供給事業法に基づく地域冷暖房に対する長期・低利融資の措置を講じている。
 技術開発についても、海水・河川水や都市排熱等の未利用エネルギーを有効に活用し高効率な地域熱供給システムを実現するため、1991年度から7力年計画で「未利用エネルギー高度活用負荷平準化冷暖房技術開発」プロジェクトとしてこれまで「高性能熱交換技術」、「高効率冷・温熱製造技術」、「高密度熱輸送技術」、「大規模都市型蓄熱技術」、「高効率熱供給技術」および「プラント最適計画・最適運転技術」の6項目(15テーマ)の技術開発に取り組んできたところである。その結果、各項目において、概ね開発目的を達成し、実用化可能の見通しを得ることができたので、今後、その結果の活用が期待される。
 現在、海水、河川水、下水道の温度差、工場排熱等の未利用エネルギー活用型の地域熱供給事業が、全国38地点において実施されており、エネルギー・環境問題への対策の一環として、エネルギーの供給段階から最終消費段階に至るエネルギーシステム全体のエネルギー利用効率の向上がなされ、省エネルギー、二酸化炭素発生量の抑制等の面で大きな効果を有しているところである。今後も地域内のエネルギー有効利用システムの構築を促進するための各種助成制度を利用されて、未利用エネルギー活用や新エネルギー利用による地域熱供給システムの導入進展が期待されるところである。
 さらに、北海道、東北地方日本海沿岸部を中心とした豪雪地域において、近年、地方自治体が中心となって、雪氷を必要な時期まで保存し、農産物の保冷や公共施設の冷房等の熱源として利用する取り組みが活発化しつつある、雪や氷のエネルギー利用について、新エネ法上の新エネルギーとして明確に位置付けたところであり、現在、実証施設設置や大規模・集中的に導入する事業者への助成、また、前記税制の対象設備に追加する等積極的に導入促進を図っている。
<図/表>
表1 未利用エネルギーとは
表2 未利用エネルギー活用型の地域熱供給事業一覧
図1 未利用エネルギー活用地域熱供給システム概念図
図2 民生家庭部門エネルギー消費及び世帯当りエネルギー消費(原単位)の推移
図3 民生業務部門エネルギー消費及び床面積当りエネルギー消費(原単位)の推移

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<関連タイトル>
海洋エネルギーによる発電 (01-05-01-07)
コージェネレーション技術(原理) (01-05-02-15)
廃棄物による発電 (01-05-03-02)

<参考文献>
(1)資源エネルギー庁(編):「地球規模のエネルギー新潮流への挑戦」総合エネルギー調査会中間報告総論、通商産業調査会(1990年6月)
(2)資源エネルギー庁(編):エネルギー「新世紀へのシナリオ」総合エネルギー調査会需要部会中間報告、通商産業調査会(1994年9月)
(3)資源エネルギー庁(編):新エネルギー便覧 平成10年度版、通商産業調査会(1999年3月)、p.58
(4)資源エネルギー庁(編):エネルギー2004、エネルギーフォーラム(2004年1月21日)、p.130-132、p.151
(5)資源エネルギー庁:エネルギー情勢、新エネルギー、未利用エネルギー、http://www.enecho.meti.go.jp/energy/newenergy/newene07.htm
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