<大項目> エネルギーと地球環境
<中項目> 日本の新エネルギー
<小項目> 再生可能型新エネルギー
<タイトル>
ソーラーシステムのしくみ (01-05-01-04)

<概要>
 通産省(現経済産業省)のニューサンシャイン計画では太陽エネルギー技術の内、太陽熱を集熱して産業用又は民生用の熱源として利用するシステムをソーラーシステムとしている。
 民生用ソーラーシステムとしては、太陽熱を利用して冷暖房及び給湯を行うものが各要素機器の開発成果により実用化され、補助金制度等により約680万台程度普及している。産業用ソーラーシステムについては、さらに開発が進められている。
 太陽熱発電はわが国では断念され、太陽光発電について個人住宅での分散型電源としての普及につとめているが、2010年度までの導入目標は原油換算439万klと1999年の目標の約4倍で、これを達成するために、他の新エネルギーの技術を取り入れた技術開発及びコスト低減の推進などに取り組んでいくことが期待されている。
<更新年月>
2004年02月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1.太陽エネルギーの特徴とその利用形態
 太陽エネルギーは地球上に普遍的に注がれ、枯渇することがなくクリーンでその量も全体では莫大なものである。しかしその密度が低く、時間や天候に依存するエネルギー源であるため、農業や原始時代からの人間生活習慣の中で利用されるだけで、工業利用や民生に対する積極的な利用方式は発展してこなかった。人類がエネルギー資源の限界や化石エネルギーの大量使用による地球環境の汚染を意識するようになって、太陽エネルギーの有効利用の方策が検討開発されるようになった。
 太陽エネルギー利用の方法としては、第1には、太陽エネルギーにより温水を作りこの温水を直接給湯に、あるいはその熱による暖房または乾燥などの加熱操作に利用する方法と、第2には、太陽の光エネルギーを太陽電池により直接電気エネルギーに転換して利用する方法がある。第1の場合も、太陽エネルギーにより作り出す温水の温度を高くして蒸気タービンを回して発電する利用方法があり、これを太陽熱発電といい、第2の場合を太陽光発電と称して区別する。通産省(現経済産業省)のニューサンシャイン計画では、太陽エネルギーを直接熱として利用する方法をソーラーシステムといって、太陽熱発電および太陽光発電と別の分類としている。
 太陽エネルギーのその他の利用形態として、植物を介する方法があるが、この光合成バイオマス利用は一般には太陽利用とはいわない。また風力、潮力、波力なども元をただせば太陽エネルギーであるが、これも太陽利用とはいわない。
2. 太陽熱利用
 太陽エネルギーを熱として利用することは、原始的には物の乾燥に広く行われている。 太陽の熱エネルギーを利用するという点においては熱発電システムと同様であるが、太陽冷暖房および給湯システムは比較的低温の領域で温度としては約200℃までである。このシステムは居住空間の空調や炊事、風呂、洗濯、洗面等の給湯のためのエネルギーを太陽熱に依存して快適な生活環境を作ろうとするものであり、家庭生活を豊かにするとともに健康を保持することを目標にしたものである。現在では、熱消費量が膨大な産業分野において適用するため、産業用の各種ヒートプロセス用熱源としての利用のための実用化技術開発を行っている。
 ソーラーシステムの基本形態は、図1に示すとおりであり、(1)集熱器(コレクター)、(2)蓄熱槽、(3)冷凍機、(4)熱交換器等がおもな構成機器である。
2.1 国内の現状
 ソーラーシステムは、大別して、住宅や学校に設置する民生用ソーラーシステムと工場等に設置する産業用ソーラーシステムがある。民生用ソーラーシステムについては、サンシャイン計画発足当初から積極的な研究開発が展開され、すでに実用化が進んでいるが、いっそうの効率向上およ経済性向上をめざして、材料、機器および評価方方法の研究が進められている。産業用ソーラーシステムについては、民生用ソーラシステム技術を土台として、複雑な熱工程に対するシステム制御、利用温度領域の拡大等の技術課題を克服する必要があるため、現在要素技術等の開発を行っている。
(1)民生用ソーラーシステムに関するサンシャイン計画の成果と普及
 サンシャイン計画においては、1974年度以来、民生用ソーラーシステムに関して、金属系、ガラス系および合成樹脂系の材料の研究を行い、高効率、低コストの選択透過膜、反射防止膜を開発するとともに、真空管コレクター、ランキンサイクル駆動冷凍機、一重二重効用吸収式冷凍機等の要素機器を開発した。さらにこれらの研究成果をもとに、新築個人住宅、既存個人住宅、集合住宅および大型建物の4方式の実験システムを開発、運転研究を通じて民生用ソーラーシステムの有効性を実証した。
(2)産業用ソーラーシステム実用化技術開発の状況
 要素技衡の研究として、これまでに高効率、低コスト型集熱器、高性能断熱技術、化学エネルギー変換技術の研究開発を行い、現在は、日照条件に恵まれるものの冷却水等の使用が困難な砂漠などの地域においても冷熱を得ることを目的として、金属水素化合物を利用したスタンドアローンタイプの太陽熱冷凍冷蔵技術の開発を行い、太陽エネルギーの新たな利用技術の確立を図っている(図2)。さらに、インドネシア共和国との間で「空気集熱方式による乾燥システム」の共同技術開発を実施するなど,諸外国との太陽熱利用システムの共同開発を進めている。
3. 諸外国の現状
 米、欧を中心として、ソーラーシステムに関する研究が活発に行われており、またその普及も、米国等において進んでいる。
(1)米国におけるソーラーシステム開発状況
 米国においては、NREL(National Renewable Energy Laboratory;米エネルギー省の研究所)を中心に産業用を目指した高度なソーラーシステムを開発している。表1は代表的なプロジェクトの概要を示したものであるが、温度レベルの高いシステムまで幅広く開発しており、技術的蓄積という点で一歩リードしている。
(2)オーストラリアにおけるソーラーシステム開発状況
 オーストラリアでは,太陽熱温水器がかなり普及しており、またプール加熱産業用への応用にも積極的に取り組んでいる。表2に一部の実施例を示した。
(3)ASEAN諸国の開発状況および将来性
 熱利用に関しては、各国とも大都市のホテル、病院、公共建物、工場等に給湯(60℃程度)のために屋外コレクターが設置されている。米、穀物、大豆等の乾燥、かんがい用のポンプ、エアコンの冷房等については研究所、大学等で研究中であるといってよく、実用のためには日本、EU、アメリカ等の技術指導が必要と思われる。
4. 太陽熱利用の動向
 太陽熱利用は、これまで自然循環形、強制循環形のソーラーシステム等の技術開発により、用途が拡大してきた。しかし、1980年代初頭をピークとして導入台数は減少傾向にある。これまでに、家庭用の太陽熱利用機器は約400万台が導入されており、また民生業務用太陽熱利用機器については、病院等公共施設で一定規模以上の熱需要を持つ施設に導入されている。2000年度末のソーラーシステムの累積出荷台数太陽熱温水器が621万台、ソーラーシステムが約56万台となっている。2010年度までの導入目標は原油換算439万klと1999年の目標の約4倍で、これを達成するために、他の新エネルギーの技術を取り入れた技術開発及びコスト低減の推進などに取り組んでいくことが期待されている。
<図/表>
表1 米国における産業用ソーラーシステム開発例
表2 オーストラリアにおける産業用ソーラーシステム実施例
図1 ソーラーシステムの基本形態
図2 なぜ太陽熱で冷房ができるのか

・図表を一括してダウンロードする場合は ここをクリックして下さい。


<関連タイトル>
太陽光発電システム (01-05-01-01)
太陽熱発電システム (01-05-01-02)
太陽電池の原理 (01-05-01-03)
バイオマスエネルギー (01-05-01-06)

<参考文献>
(1)資源エネルギー庁(監修):資源エネルギー年鑑 1999/2000年版、通産資料調査会(1999年1月)、p.660-662
(2)通商産業省(編):エネルギー'98、電力新報社(1998年10月)、p.128-129
(3)新エネルギー・産業技術総合開発機構:データベース>新エネデータ>fy14>太陽熱利用の動向、http://www.nedo.go.jp/nedata/14fy/02/a/0002a001.htm
(4)資源エネルギー年鑑編集委員会(編):2003/2004資源エネルギー年鑑、通産資料出版会(2003年1月)、p.186-190
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