<大項目> エネルギーと地球環境
<中項目> 日本の新エネルギー
<小項目> 再生可能型新エネルギー
<タイトル>
太陽熱発電システム (01-05-01-02)

<概要>
 太陽エネルギーは、エネルギー量が膨大で、環境汚染のないクリーンなエネルギー源である。太陽エネルギーの利用方法には、太陽光発電、太陽熱発電、太陽熱冷暖房および給湯などがあるが、太陽熱発電による電力生産も有望な方法の一つである。太陽熱発電は、集光集熱部、熱伝達系、蓄熱・熱交換器および発電部で構成され、太陽光を集光器で集めた熱エネルギーで蒸気を発生させ発電を行う。太陽エネルギーは、密度が薄く、日射量も季節や気候などに影響されるため、これらの欠点を克服するため、パイロットプラントによる研究開発、および太陽熱を発電と熱供給に利用する熱・電気複合システムの原型実験施設による研究開発が行われている。各国でも開発が進められており、日射条件の良い地域において実用化され商業発電を行っている例もある。
<更新年月>
2005年06月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 太陽エネルギーが直接的・間接的に人類に与える恩恵は計り知れないものがある。また、太陽エネルギーは、地域的に偏在せず全地球上に注がれ、そのエネルギー量は膨大なものであるとともに環境汚染のないクリーンな枯渇することのないエネルギー源である。しかしながら、太陽エネルギーの密度は低く、天候・時間に左右されるエネルギー源であるため、従来のエネルギー源に比べて極めて不安定な要素がある。太陽エネルギーを有効に活用するためには、このような特性を十分に認識し、用途に応じた適切な利用技術を開発する必要がある。太陽エネルギーの利用方法には、(1)太陽光発電による電力生産、(2)太陽熱発電による電力生産、(3)太陽熱冷暖房および給湯等の方法がある。
1.太陽熱発電システムの構成
 太陽熱発電システムは、図1に示すように、太陽光を集光して熱を吸収する集光集熱部、その熱を熱伝達媒体によって輸送する熱伝達系、熱を蓄えると同時に発電に必要な蒸気を発生させる蓄熱・熱交換器およびその蒸気によって電気を発生させる発電部の4つのシステムから構成されている。したがって、太陽熱発電システムは火力発電所と本質的な相違はなく、熱源として希薄な太陽エネルギーを集めて利用する点が主な相違点である。すなわち、集光集熱部を除けば、ほぼ従来実用化されている技術を応用することができる。しかし、太陽エネルギーは希薄であり、時間や天候に左右される不安定なエネルギーであるため、これらの欠点を克服するために必要な技術的課題は、従来の技術と大きく異なったものとなる。
 以下に太陽熱発電システムを構成する要素機器について述べる。
(1)集光集熱部
 太陽エネルギーを効率良く収集し、高温の熱エネルギーとして変換する集光集熱部は最も重要な技術の1つであり、システム全体の性能に大きく影響する。図2に集光方式を示す。太陽は時々刻々位置を変えるため、集光部には太陽を追尾する装置が設けられている。また、太陽光を効率良く吸収するため、集光部の表面には選択吸収膜処理等が施されている。
(2)熱伝達系
 熱伝達系は、熱伝達媒体によって熱を集光集熱部から蓄熱器に輸送し、蓄熱・熱交換器で発生した蒸気を蒸気タービン発電機に供給する系統である。圧送動力、熱損失を小さくする必要があるため、一般には作動流体として水が用いられ、配管には断熱材が施工される。
(3)蓄熱・熱交換器
 蓄熱・熱交換器は、熱伝達系から送られてきた熱を蓄えると同時に、蒸気タービンを駆動させる蒸気を発生させる役目をもっている。集熱した熱エネルギーを利用し、安定した発電を行うためには蓄熱システムの整備が必要である。蓄熱システムの開発は今後の課題である。
 蓄熱法には、温度レベル、蓄熱量、保持時間、コスト等により、種々の材料と方式が考えられる。蓄熱方式は、熱の形のまま蓄える方式と、他の形のエネルギー、例えば、化学エネルギー等の形で蓄える方式とに二大区分される。前者の場合には、断熱方式と伝熱方式に技術的問題点がある。顕熱方式、すなわち物質の比熱を利用する場合、多量の熱エネルギーを蓄えようとすると、蓄熱器の容量が大となることと、蓄熱材中の熱移動が熱伝導によって律速されていることなどの欠点を有する。物質の相転移による潜熱を利用する場合、潜熱蓄熱材料には、相転移の温度により、種々の材料の利用が考えられる。ただし、相転移に際して体積の変化する場合が多いので、蓄熱器の設計には種々の問題がある。熱エネルギーを化学エネルギー等の形にして蓄える技術は、化学反応等が進行しなければ、蓄えたエネルギーは減少せず、断熱不良によるロス等を考える必要はなく、エネルギーの輸送も比較的容易であるなどの長所を有している。しかし、実用化するためのデータは少ないため、データ取得の基礎研究が行われている。熱エネルギーの貯蔵技術は、今後の研究開発に期待するところが大きい。
(4)発電部
 発電方式は、火力発電のように蒸気タービンを使用するのが一般的である。しかし、集熱器の効率は高温で急激に低下し、また、熱損失も高温で急激に増加するため、太陽熱発電システムを高温で作動させることは得策でない。低温でも効率の良い発電機の開発が必要であり、フレオン、ブタン、トルエンあるいはアンモニアなど低沸点熱媒体によるタービン駆動の発電の研究が行われている。
2.太陽熱発電システムの現状
2.1 わが国の現状
 すでに太陽熱を利用した民生用給湯システムについては、技術開発を終了し、一般家庭に普及している。このため、産業用ソーラーシステム等の技術開発を積極的に進めている。太陽熱温水器は、わが国では、1973年の第一次石油危機以降に本格的普及が始まり、2004年(平成16年度)までに約620万台が導入されている。1974年にスタートしたサンシャイン計画では、給湯と冷暖房を行うソーラーシステムの研究が行われ、2004年(平成16年度)までに約60万台が導入されている。
 香川県仁尾町において研究が進められてきたパイロットプラント(曲面集光方式およびタワー集光方式、それぞれ定格出力1000kW)は、1981〜1983年度の間運転研究が行われた。1984年度には、運転データの総合解析が行われ、タワー方式が曲面集光方式より効率の点で優れていることが明かとなった。タワー方式による発電システムの概略を図3に示す。
 太陽熱を発電のみでなく熱供給にも利用する熱・電気複合システムの開発研究も行われた。太陽熱を多目的(この場合は発電と熱供給)に利用することによってシステムの効率と経済性の向上を図るものである。日射変動と需要形態に応じて熱と電気を安定にかつ経済的に供給するには、需要に応じて最適なシステムの構成と運用制御を行う必要がある。このため、原型実験施設(図4参照)によるシミュレーションを1988年度まで行い、複合システムがシステム利用効率と経済性の点で優位であることを実証した。
 現在このような太陽エネルギーと他の熱エネルギー源と組み合わせたISCCS(Integrated-Solar Combined Cycle System)は、化石燃料あるいはバイオマス、水素といった再生可能エネルギーの燃焼熱によるガスタービンでの発電と、その排熱と太陽熱により蒸気タービンで発電を行うソーラー複合発電システムとして、安定した発電電力が供給できるものとして期待されている。
2.2 海外の現状
 諸外国でもMW級の太陽熱を利用したパイロットプラントの開発を実施しており、特に日射条件の良い地中海沿岸諸国や米国の砂漠地域では1980年代から発電システムが稼働している。表1-1および表1-2にその概要を示す。特に米国カリフォルニア州モハベ砂漠に設置されたSEGS (Solar Electric Generating System)プラントは世界最大級であり、172万m2の土地に1985年から1991年にかけて9機が建設され、1991年には350MWの能力に到達している。集熱効率は60%、発電コストは約8¢/kWhである。表2にSEGSプラントの性能を、図5にSEGSプラントの概観を、図6に発電コスト推移を示す。またSEGSに隣接してSOLAR TWOが建設されている。ヘリオスタット(タワー型集光設備自動追尾装置)を38万m2の敷地に約1800台設置し、10MWの発電実験を行ったが、1999年8月に運転を終了した。その他Dish Stirling JVのシステム、ConSolar プロジェクト(SOLAR/GTCC 発電プラント)が米国内で推進され、欧州ではドイツ、スペイン、ギリシャは地中海側サンベルト地域での太陽熱発電所計画を推進中であり、共同推進するTHESEUS プロジェクトでは太陽光55%、LPG 45%を用いた複合システム(ISCCS,55MW)をクレタ島で稼働し、THERMIEプロジェクトに引き継がれて実証試験を行っている。
<図/表>
表1-1 海外における太陽熱発電システムの開発状況(1/2)
表1-2 海外における太陽熱発電システムの開発状況(2/2)
表2 太陽熱発電プラント(SEGS)の性能
図1 太陽熱発電システムの基本構成図
図2 太陽熱発電の集光方式の比較
図3 タワー集光方式
図4 熱・電気複合システム原型実験設備
図5 米国太陽熱発電システム(SEGS)
図6 太陽熱発電システムの発電コスト推移

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<関連タイトル>
太陽光発電システム (01-05-01-01)
太陽電池の原理 (01-05-01-03)
サンシャイン/ニューサンシャイン計画 (01-05-02-01)
新エネルギー開発における国際協力 (01-09-07-03)

<参考文献>
(1) 関根 泰次:エネルギー工学概論、電気学会
(2) 資源エネルギー庁(監修):2005/2006 資源エネルギー年鑑、資源エネルギー年鑑編集委員会(2005年4月)、p.178-189
(3) 資源エネルギー庁(編):新エネルギー便覧 平成15年度版、(財)経済産業調査会(2004年3月)、p.29-31
(4)新エネルギー・産業技術総合開発機構:NEDOホームページ、http://www.nedo.go.jp
(5) 新エネルギー・産業技術総合開発機構:新エネルギー海外情報 00-2号、2000年2月
(6) Fraunhofer-Institut for Solare Energiesysteme ISEホームページ(http://www.ise.fhg.de/)
(7) DOE and EPRI,Renewable Energy Technology Characterizations,TR-109496,1997(http://www.eere.energy.gov/troughnet/pdfs/cable_frier_calexpr.pdf)
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