<大項目> エネルギーと地球環境
<中項目> 人間活動とエネルギー・地球環境問題
<小項目> 国際エネルギー情勢
<タイトル>
エネルギーに関する国際的取り組み (01-01-01-01)

<概要>
 エネルギー問題は地球温暖化問題等、国際的規模の問題となっているため、多くの国際的取り組みがなされている。例えば、エネルギー全般に関する国際協力の一例としては、IEA国際エネルギー機関)が石油供給不足の事態に備えた対応策や省エネルギー、代替エネルギーの開発等を行っている。また、APEC(アジア太平洋経済協力会議)はアジア太平洋地域の経済社会発展に向け、域内のエネルギー需給動向の把握に努め、エネルギー問題の解決を図っている。他には、エネルギー消費と密接な関係にある地球環境問題を扱うIPCC(気侯変動に関する政府間パネル)等多くの機関がある。
 また、原子力に関する国際協力としては、「核兵器の不拡散に関する条約(NPT)」や原子力の平和利用を積極的に促進・援助する目的のIAEA(国際原子力機関)や原子力の開発をより一層進めることを目的とするOECD/NEA(経済協力開発機構/原子力機関)等がある。
<更新年月>
2005年08月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 エネルギー問題は地球温暖化問題等と同様に、一国で解決できる問題ではなく、既に国際的規模の問題となっている。したがって、この問題を検討するために多くの国際的取り組みがなされている。以下にこれらの取り組みの具体例を示す。
1.エネルギー全般に関する国際協力の現状
(1)IEA(国際エネルギー機関)
 IEA(International Energy Agency)は、1973年10月の第4次中東戦争に端を発した第1次石油危機をきっかけに、アメリカの提唱により、1974年11月にOECD(経済協力開発機構:Organization for Economic Cooperation and Development)理事会決定により設立されたIEP(国際エネルギー計画:International Energy Program)の実施機関である。
 その目的は、IEP参加国が、短期的には石油供給不足の事態に備えて、備蓄・需要抑制、相互融通等の対応策を講ずるとともに、長期的にはエネルギーの節約、代替エネルギーの開発等を行うことにより、輸入石油への依存度の低減を図るというIEP協定を実施することである。
 OECD加盟国は2005年7月現在、30カ国である。このうちIEAに加盟条件(前年の1日当たり石油純輸入量の90日分の備蓄基準)を満たす26カ国がIEAに加盟している。OECD加盟国でIEA未加盟の国はアイスランド、メキシコ、ポーランド、スロバキアの4カ国である。理事会(GB:Governing Board)が最高意思決定機関であり、各種決定・勧告の採択を行っており、2年に1度閣僚レベルでの理事会が行われている。IEAの機構図を図1に示す。
(2)APEC(アジア太平洋経済協力会議)
 APEC(Asian Pacific Economic Cooperation)は、1989年1月、ホーク豪首相(当時)が、世界の成長センターたるアジア太平洋地域の協力のための公式の政府間組織の可能性について言及し、本地域の経済問題に関し、閣僚会議の開催を含むより制度的な協議システムを提唱し、設立された。
 エネルギー分野でのAPECの目的は、アジア太平洋地域の経済社会発展に向けてエネルギー分野の貢献を最大化するため、域内のエネルギー需給動向の把握に努めるとともに、域内に共通のエネルギー問題を解決することである。
 加盟国はASEAN(Association of South-East Asia Nations:東南アジア諸国連合、次の7カ国、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)、米国、カナダ、メキシコ、チリ、豪州、ニュージーランド、パプア・ニューギニア、ペルー、ロシア、韓国、日本、中国、中国香港、チャイニーズ・タイペイの21カ国・地域である。なお、新規参加は、1997年のベトナム、ロシア、ペルーの参加以来、10年間凍結されている。毎年各メンバーの経済担当大臣等が一同に会し、閣僚会議を開催するとともに、高級事務レベル会合、10分野のワーキンググループ等の活動が展開されている。また、1993年以来、首脳レベルによる対話が行われている。APECの機構図を図2に示す。
2.省エネルギー・地球環境に関する国際協力の現状
(1)省エネルギー・地球環境をめぐる国際動向
 国際エネルギー情勢は、今後とも発展途上国を中心に需要が増大し、供給面では中長期的には石油供給の不安定化が予想されるため、世界各国が省エネルギーを推進することは、各国の経済発展のみならず、国際エネルギー需給の安定化のためにも必要である。
 省エネルギーに関する国際協力の一例が国際エネルギースタープログラムである(図3)。この制度は、米国との合意に基づき、スイッチを入れた状態で長時間稼働することの多いOA機器の待機時消費電力(待機電力)の抑制を目的として、1995年10月から実施されている国際マーク制度である。対象製品の製造事業者等は、一定の省エネルギー基準を満たす製品に共通のロゴマーク(国際エネルギースターロゴ)を使用することができる。現在、日本では業務用電気機器にはエネルギースター制度、家電製品には省エネラベリング制度と、省エネに関するラベリングが2種類存在する。
 エネルギー消費は地球環境問題とも密接な関係がある。1997年12月に京都で開催されたCOP3(The 3rd Conference of Parties to the United Nations Framework Convention on Climate Change:気候変動に関する国際連合枠組条約第3回締約国会議)において、先進国の温室効果ガスの排出削減目標について法的拘束力のある数値目標が決定されるとともに、国際協力の仕組みとしてクリーン開発メカニズム、先進国間の共同実施、排出量取引等が合意されている。
 温室効果ガスである二酸化炭素の排出を伴う石炭に関しては、現在、わが国は人材育成等を中心とした協力を実施中である。特に近年、アジア・地域において石炭需要が増大しており、環境問題対策は重要化課題となっているため、わが国は各国のエネルギー環境対策における自助努力を支援するグリーンエイドプランを提唱し、クリーンな石炭利用技術(クリーン・コール・テクノロジー)に関する事業の実施により、当該諸国の自主的・効率的環境対策の推進を支援している。
(2)IPCC(気侯変動に関する政府間パネル)
 IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)は、1988年にUNFP(United Nations Environment Program:国連環境計画)とWMO(World Meteorological Organization:世界気象機関)により組織された。その目的は、気候変動に関わる全ての種類の科学上の最新知見を評価し、IPCCの母体であるWMOUNEPを通じて各国政府にアドバイスとカウンセルを提供することである。
 IPCCは国連の会議体の一つであり、その特徴を次に示す。
・政府間パネルと銘打っているが、その作業部会に世界有数の科学者の参加を求め、科学的な解析を行う。
・IPCC自体は新たな研究を行うのではなく、既に発表された研究を広く調査し、その評価を行う。
・科学的知見を集約し、政策立案者への助言を行うことを目的とし、具体的政策の提案は行わない。
・国連組織が行う評価ということで、世界各国および国際的な政策決定に与える影響が非常に大きい。
 これまでに、1990年8月に第一次評価報告書、1995年12月に第二次評価報告書、2001年9月に第三次評価報告書を発表している。第三次評価報告書によると、21世紀末における全球(全地球)平均気温は1.4〜5.8℃するとしており、第二次報告書の1.0〜3.5℃よりも大きいと予測している。海面水位は9cm〜88cm上昇するとしている。気候変動に関する国際連合枠組条約(United Nations Framework Convention on Climate Change)の概要を図4に示す。
3.原子力に関する国際協力の現状
(1)核不拡散をめぐる国際動向
 1970年に発効した「核兵器の不拡散に関する条約(NPT:Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons)」については、1998年9月現在、87カ国が締約国になっており、1995年に開かれたNPT再検討延長会議では、「条約の無期限延長」、「条約再検討プロセス強化」、「核不拡散と核軍縮に関する原則と目標」について合意された。本条約は1998年5月のインド、パキスタンの核実験によりその有効性に疑問が投げかけられているものの、核不拡散を語る上で極めて普遍性の高い国際的枠組みとなっている。上記以外に核不拡散の国際的枠組みとしては、「包括的核実験禁止条約(CTBT:Comprehensive Nuclear-Test-Ban Treaty)」、「カットオフ条約:兵器用核分裂性物質生産禁止条約(Cut-Off Treaty)」や保障措置がある。
 北朝鮮は、1985年にNPTの締約国になり、1992年にIAEAとの間で保障措置協定を締結したが、1993年に北朝鮮が提供した情報とIAEAの査察結果との間に重大な不一致があることが発覚し、原因究明のためのIAEA特別査察を北朝鮮が拒否したことで、核開発疑惑が高まった。しかし、1994年10月に北朝鮮の黒鉛炉開発の凍結、その代替としての軽水炉の供給等を内容とする「米朝間の合意された枠組み」が合意された。同合意を実施していくため、1995年3月に日米韓が原加盟国となり朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO:The Korean Peninsula Energy Development Organization)が設立され、1995年12月には、KEDOと北朝鮮との間で、軽水炉プロジェクトに関する基本的事項を定める供給取り決めが締結された。さらに、1997年8月には、軽水炉の初期建設工事が開始された。しかし、1998年8月31日の北朝鮮によるミサイル発射を受けて、KEDOについて、日本は、「米韓等と協議の上、当面進行を見合わせることとする」(同年9月1日官房長官発表)との措置を講じることとした。その後、日米韓との関係改善の兆しを受けて、2002年8月7日、北朝鮮の咸鏡南道(ハムギョンナムド)琴湖(クムホ)地区においてKEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)が進めている軽水炉建設工事の一環として、軽水炉建屋基礎部分へのコンクリート初注入が行われた。基礎部分へのコンクリート初注入は、これまで実施されてきた建設現場の整地、掘削作業等が終了した。しかし、北朝鮮は2002年12月、核凍結解除と核施設の稼働、建設の即時再開を発表し、2003年1月10日にはNPT脱退を表明した。IAEAは数次にわたり理事会決議を採択、北朝鮮に対して速やかにかつ検証可能な形で、いかなる核兵器計画も放棄するよう求め、国連安保理もこの問題を取り上げた。このような状況の中、北朝鮮は2003年10月、「8000本あまりの使用済核燃料棒の再処理を成功裏に終了」と表明した。KEDO理事会は、北朝鮮の行動が「合意された枠組」に反するとして同年11月、12月1日より1年間軽水炉建設を停止することを決定した。2003年11月現在、工事の進捗率は34%である。今後の成り行きは「六者会合」にかかっている。
(2)IAEA(国際原子力機関)
 IAEA(International Atomic Energy Agency)は、1957年7月に発足した。
 その目的は、原子力の平和利用を積極的に促進・援助するとともに、この援助が軍事目的に転用されないようにすることである。
 IAEAは、国連の専門機関ではないが、国連の通常総会や安全保障理事会に年次報告を提出する等、国連とは密接な関係を有している。IAEAは年1回開催される総会・理事会等の会合および事務局で構成されており、2005年2月10日現在の加盟国数は138カ国となっている。その活動は、原子力平和利用のための技術援助、各種基準類・協定・規則の作成、科学者・技術者の交換および訓練、核物質・設備等の供与、情報交換の促進、シンポジウム等の開催、核物質等が軍事転用されないようにするための保障措置(査察等)の実施等である。近年のおもな活動として、高級専門家グループによるIAEAプログラム全体のレビューに関する報告書の作成、旧ソ連・中東欧・アジアヘの原子力安全支援、原子力安全条約の策定、放射性廃棄物および使用済燃料の管理の安全に関する条約案の検討、原子力損害の民事責任に関するウィーン条約改正案の検討、核不拡散のための保障措置(査察等)強化策の検討、2000年問題への対応、インターネット等による公報の充実などがあげられる。IAEAの組織図を図5に示す。
(3)OECD/NEA(経済協力開発機構/原子力機関)
 OECD/NEA(Organization for Economic Co-operation and Development/Nuclear Energy Agency)は、1958年2月に欧州原子力機関(ENEA:European Nuclear Energy Agency)として発足し、日本、カナダ、オーストラリア、アメリカの4カ国の加入に伴い、1972年4月に現在の名称となった。加盟国は、1996年6月に旧ソ連ブロックからチェコ共和国、ハンガリーが参加し、2005年6月現在28カ国となっている(ニュージーランド、ポーランドを除くOECD加盟国)。
 その目的は、原子力利用先進国における協力を促進することにより、安全かつ環境的にも受け入れられる経済的なエネルギー資源としての原子力の開発をより一層進めることである。例えば、運転特性の向上といった政策課題に対し、技術的な面からの検討を加え、これを基礎として各国の政策に役立つ情報を提供するという運営が行われている。
 OECD/NEAは、OECD理事会の管理下にあり、NEAの全加盟国、EC(European Community:欧州共同体)およびIAEAの各代表者から構成される運営委員会(年2回、5月、10月に開催)により立案実施されている。OECD内にあって独自性を有する組織であり、全体が委員会組織を中心に運営されており、OECD/NEAの組織そのものはデータバンクを除いて委員会事務局の機能を果たしているため、事務局員の数は約80名と少ない。活動内容は次のとおりである。
原子力施設の安全、人体に対する放射線防護と環境の保全、放射性廃棄物管理、原子力損害賠償責任と保険などに関連した各国の規制方針・運用について調和を促すこと。
・全エネルギー供給において果たすべき原子力の役割を評価するため、原子力開発の技術的・経済的側面を再検討し、核燃料サイクルの諸段階における需要・供給を予測すること。
・科学的・技術的情報の交換を促進すること。
・国際研究開発計画および共同事業を行うこと。
 近年のおもな活動として、1999年から5年間にわたる活動計画とプログラムの実施におけるNEAの方針をまとめた戦略計画案を策定したところである。OECD/NEA事務局の組織図を図6に示す。
<図/表>
図1 IEAの機構図
図2 APRECの機構図(2002年5月)
図3 国際エネルギースタープログラムの実施スキーム(国内実施体制)
図4 気候変動国際連合枠組条約の概要
図5 IAEAの組織図
図6 OECD/NEA事務局の組織図

・図表を一括してダウンロードする場合は ここをクリックして下さい。


<関連タイトル>
国際原子力機関(IAEA) (13-01-01-17)
核兵器の不拡散等をめぐる国際情勢(1998年〜2004年) (13-05-01-05)

<参考文献>
(1) 資源エネルギー庁(編):エネルギー2004、(株)エネルギーフォーラム(2004年1月)、p.21-50、p.209-226
(2) 日本原子力産業会議:原子力ポケットブック 1998/99年版、日本原子力産業会議(1999年2月)、p.332-373
(3) 日本原子力産業会議(編集発行):原子力年鑑2005、各論(2004年10月)、p.40-41
(4) 経済産業省:対外経済政策総合サイト、APEC(アジア太平洋経済協力)、http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/apec/index.html
(5)外務省ホームページ:http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/(スラッシュ以降)energy/iea/iea.html、atom/iaea/iaea_g.html、atom/oecd_nea.html
(6)資源エネルギー年鑑編集委員会(編):資源エネルギー年鑑2005−2006、(株)通産資料出版会(2005年4月)pp.253-278
(7)(社)日本原子力産業会議ホームページ:http://www.jaif.or.jp/ja/iaea/IAEA.pdf
(8)経済協力開発機構/原子力機関ホームページ:http://www.nea.fr/html/pub/activities/ar2004/
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