<大項目> 国際協力・原子力関連機関
<中項目> わが国の原子力関連機関
<小項目> 政府関連機関
<タイトル>
原子力安全基盤機構 (13-02-01-34)

<概要>
 (独)原子力安全基盤機構(JNES)は、行政改革の一環として原子力事業者の安全に関する自主検査体制を審査するため、2003年10月1日に発足した。主な業務は、原子力施設及び原子炉施設に関する検査、その安全性に関する解析・評価、原子力災害の予防、原子力災害の拡大防止及び復旧に関すること、原子力安全の確保に関する調査・試験・研究及び研修、原子力安全情報の収集・整理及び提供等であった。
 2011年3月の東北地方太平洋沖地震によって発生した東京電力福島第一原子力発電所事故は、4基の発電プラントの損壊、放射性物質の広域飛散、環境汚染及び周辺住民の放射線被ばくを伴う「深刻な事故」であった。政府は、事故の再発防止に向けて、原子力安全規制に関する体制と関連法令の大幅な見直しを行った。かくして、原子力安全委員会原子力安全・保安院は廃止され、安全規制を一元的に担う新たな組織として原子力規制委員会(事務局:原子力規制庁)が2012年9月19日に発足した。2014年2月28日に原子力安全基盤機構は活動を終了し、2014年3月1日に原子力規制庁に統合された。
<更新年月>
2014年10月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1.原子力安全基盤機構の設立目的
 (独)原子力安全基盤機構(JNES:Japan Nuclear Energy Safety Organization)は、原子力施設及び原子炉施設に関する検査、原子力施設及び原子炉施設の設計に関する安全性の解析・評価、原子力災害の予防、原子力災害の拡大防止及び原子力災害の復旧に関する業務を行うなど、原子力利用の安全確保のための基盤整備を図る目的で設立された。
 業務は次に示す事項であった:1)原子力施設及び原子炉施設の安全性と設計の解析・評価及び立入検査、2)原子力災害の予防、拡大防止及び復旧に関する業務、3)原子力安全に関する情報調査、その整理・提供、試験・研究及び研修、4)原子力に関し国の行政機関に協力。
 当機構は2003年10月1日〜2014年2月28日の期間にわたって存続し、2014年3月1日に原子力規制庁に統合された。

2.経緯と法律(表1図1
 2002年3月28日、行政改革の一環として「公益法人に関する行政の関与のあり方の改革実施計画」が閣議決定された。原子力安全に関しては、原子力施設及び原子炉施設の安全に関し原子力事業者の自主検査体制を審査するための(独)原子力安全基盤機構を2004年4月に発足させる予定となった。
 こうした中で2002年8月、電力会社の自主点検記録の不正記録問題が発覚した。原子力安全・保安院の総点検により、更に複数の問題が明らかになり、原子炉等規制法及び電気事業法の一部が改正された。そこで、予定よりも早い2003年10月1日、「独立行政法人原子力安全基盤機構法」に基づき(独)原子力安全基盤機構(JNES)が発足した。当機構は、国(原子力安全・保安院)、(財)原子力発電技術機構、(財)発電設備技術検査協会及び(財)原子力安全技術センターが分担していた立入検査、安全解析・評価、原子力防災支援、安全関連情報の調査、試験・研究、研修等の業務の移管を受けた。
 2011年3月11日、東北地方太平洋沖地震とこれに伴う津波により東京電力福島第一原子力発電所において事故が発生した。この事故で4基の発電プラントが損壊し、放射性物質の外部放出により広範囲にわたって環境が汚染するとともに、周辺地域の住民が避難を余儀なくされる事態となった。国際原子力事象評価尺度INES)ではレベル7の「深刻な事故」であった。
 この事故を契機に、政府は2011年8月15日に閣議で「原子力安全規制に関する組織等の改革の基本方針」を決定。2011年12月13日には、「原子力事故再発防止顧問会議」から、事故の再発防止のため原子力安全規制体系の再構築に関する7原則(規制と利用の分離、規制の一元化、危機管理体制の整備、人材育成、新安全規制、規制の透明性及び国際標準化)が提言された。
 2012年9月19日、原子力安全委員会に代わり、環境省の外局として原子力規制委員会と原子力規制庁が発足した。また、(独)原子力安全基盤機構(JNES)は原子力規制庁に統合する予定となった。
 2013年11月22日、独立行政法人原子力安全基盤機構の解散に関する法律が制定され、2014年2月28日に当機構は活動を終了し、同年3月1日に原子力規制庁に統合された。

3.原子力安全基盤機構(JNES)の業務と組織
3.1 主な業務
 JNESの主な業務は以下の5項目であった(図2)。
 1)施設検査:原子力施設及び原子炉施設に関する検査とその他これに類する業務
 2)施設評価:原子力施設及び原子炉施設の安全性に関する解析及び評価
 3)防災・災害対策:原子力災害の予防、原子力災害(原子力災害が生ずる蓋然性を含む)の拡大防止及び原子力災害の復旧に関する業務
 4)調査・試験・研究と研修:原子力安全の確保に関する調査・試験・研究及び研修 5)情報収集・整理及び提供:原子力安全の確保に関する情報の収集・整理及び提供
 図3は、2013年における原子力事業者、原子力規制委員会及び原子力安全基盤機構(JNES)の関連と役割を示す。当機構は、規制委員会を専門的立場で支援するとともに、事業者の施設等の自主検査や安全管理評価等を支援した。
3.2 組織
 図4は、2014年2月時点の原子力安全基盤機構の組織を示す。理事会は 4名(理事長と理事 3名)、幹事 2名及び常勤職員 401名(平25年4月1日)であった。予算は約201億円(平成25年度運営費交付金)。その他、受託収入と検査手数料収入があった。
 表2-1表2-2は、原子力安全に関連した主な部署と業務の概要を示す。
(1)検査評価部:安全規制法令に基づく原子力発電所等の検査及び安全管理審査及び安全性の確認。また、原子力発電所の営繕計画、保安活動総合評価、健全性評価、高経年化対策等について、国に技術支援。
(2)原子力システム安全部:原子力発電所等の原子力システムの安全性評価、事故・トラブルの原因究明と対策の技術的検討。また、規格基準の整備やこれらの基盤となる安全研究。
(3)緊急事態対策部:国や地方公共団体の原子力防災訓練の支援、オフサイトセンター等にある防災設備の維持・管理。また、緊急事態における緊急時対策支援システム(ERSS)の運用等により国の対応を支援。
(4)燃料廃棄物安全部:放射性廃棄物の処理処分と核燃料サイクルの安全規制を支援。
(5)耐震安全部:耐震・構造に関するクロスチェック解析評価、事故・トラブルの解析評価、地震・津波リスクの評価、規格基準類の作成支援。また、原子力発電所等の耐震試験及び耐震解析コード整備など。
(6)核物質防護対策支援室:海外の動向調査・研究及び法令による審査・検査に関して、原子力規制委員会を支援。
(7)国際室:原子力利用の安全性向上のため、世界の関連機関と協力。

4.業務計画と成果
4.1 事業計画、事業報告と事業評価
 JNESの業務は、中期事業計画に基づいて計画的に進められた。設立から統合までの計画と実績は、三期の事業計画(中期計画)、中期目標、年度計画及び事業報告にまとめられ公開された。第三期(平24〜25年度)の業務実績評価は、平成26年6月から「原子力規制委員会旧独立行政法人原子力安全基盤機構評価委員会」で進められている。
4.2 技術情報と広報誌
 表3は、当機構が公開した主な審査・技術関連の情報である。そのほか、委託関連の報告書、委員会や検討会関連の書類等が公開された。また、社会の理解促進のため、原子力安全基盤機構パンフレット、規制関係パンフレット、安全性評価関係パンフレット、防災関係パンフレット、事故・故障関係パンフレット、ビデオライブラリ等を発行した。

5.原子力規制委員会への統合
 上記のとおり、原子力安全基盤機構(JNES)は、2014年3月1日に原子力規制庁に統合された。
 図5は、原子力規制委員会の発足前後における原子力規制体制の変化を示す。原子力委員会は、原子力規制委員会の発足前には核セキュリティの総合調整を所掌したが、発足後は改正原子力委員会設置法(平成26年6月27日)第2条(四)及び第26条により、原子力安全の確保のうち実施に関することは所掌から除かれた。
 図6は、原子力規制庁と原子力安全基盤機構とが統合した後の原子力規制委員会の組織を示す。当機構の安全に関する殆どの業務は、原子力規制庁の原子炉規制部と放射線防護対策部に整理・統合された。
(前回更新:2008年12月)
<図/表>
表1 (独)原子力安全基盤機構(JNES)の発足から統合までの経緯
表2-1 原子力安全基盤機構の主な組織と業務内容(1)
表2-2 原子力安全基盤機構の主な組織と業務内容(2)
表3 原子力安全基盤機構の技術情報
図1 原子力安全基盤機構の概要
図2 原子力安全基盤機構の主な業務
図3 原子力事業者、原子力規制委員会と原子力安全基盤機構の役割
図4 原子力安全基盤機構の組織
図5 原子力規制体制の変革
図6 原子力規制委員会組織図

・図表を一括してダウンロードする場合は ここをクリックして下さい。


<関連タイトル>
福島第一原発事故の概要 (02-07-03-01)
原子力施設の検査制度の改正(平成15年改正の概要) (02-02-03-17)
原子力規制委員会 (10-04-03-02)
原子力安全技術センター (13-02-01-04)
原子力発電技術機構 (13-02-01-06)
発電設備技術検査協会 (13-02-01-22)
原子力発電所の定期検査 (02-02-03-07)

<参考文献>
(1)原子力安全基盤機構ホームページ、JNESのご紹介、広報誌・年報、技術情報、https://www.nsr.go.jp/archive/jnes/
(2)独立行政法人原子力安全基盤機構法、(平成十四年十二月十八日法律第百七十九号)、http://law.e-gov.go.jp/haishi/H14HO179.html
(3)独立行政法人原子力安全基盤機構(JNES)の概要、平成20年10月、
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/senmon/kenkyuukaihatu/siryo/kenkyuu04/
siryo4-1.pdf
(4)原子力安全基盤機構パンフレット(2013)、
https://www.nsr.go.jp/archive/jnes/atom-library/jnes/jnes_j/book1/#page=1
(5)資源エネルギー庁、「今後の原子力政策について」、平成25年10月、
http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/007/
pdf/007_002.pdf
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