<大項目> 国際協力・原子力関連機関
<中項目> 海外の原子力関連機関
<小項目> 政府関連機関(NRC・EPA・ORNL等)
<タイトル>
米国原子力規制委員会(NRC) (13-01-02-06)

<概要>
 1974年、米国議会は原子力の利用について国民の生活の安全、環境の保全、および国の防衛と保安が本務の原子力規制委員会(NRC:Nuclear Regulatory Commission)を設立した。業務の多くは許認可と規制であり、国内の原子炉の許認可、放射線防護、施設の核的安全放射性物質利用の安全と保安に責任がある。また、放射性物質の輸出入の許認可、国際的な原子力の平和利用活動と国際協力による安全と保安も担当する。
 2008年末に2008〜13年計画を発表した。計画では、今後の原子力発電所の新設、核燃料施設の拡大、使用済燃料中間貯蔵、RI利用の増加、さらに、高レベル放射性廃棄物の処分問題を視野に置いて原子力利用の拡大に対応し、知的情報を整理し、規制や許認可を一貫性、透明性、効率的なものにする。そのための人材を確保し、NRC特有の専門性に見合った教育・訓練を進める予定となっている。
<更新年月>
2009年01月   

<本文>
1.原子力規制委員会の構成
 1974年、米国議会は原子力の利用について国民の生活の安全、環境の保全、および国の防衛と保安の観点から、原子力規制委員会(NRC:Nuclear Regulatory Commission)を独立機関として設立した。
 図1は組織の概要を示す。原子力委員は定員5名であり、委員と委員長は大統領に任命される。委員会は、政策、規制、許認可、法的な裁定に係る。
 総局長は、委員会の政策と決定を実施し、計画の進行を管理する。三人の副局長は、それぞれ1)原子炉と緊急時対策、2)放射性物質、廃棄物、研究開発及び法令順守、及び3)マネージメントを担当する。マネージメントの中でコンピュータ保安室が高位に在るのは、今日の情報社会を反映している。
 図2は、本部と支所の配置を示す。本部はメリーランド州ロックビルにある。予算は約917百万ドル(2007年)、多くが許認可の業務費で,職員3,535人(2007年)。
2.原子力規制委員会の本務(Mission)と業務
(1)本務:国内の原子力の民生利用について、国民の生活の安全、環境の保全、および国の防衛と保安が本務である。そのため、高い倫理観と独立性、計画・審査・許認可の公開、専門官による高効率、一貫性と論理的な明解さ、高い信頼性を旨としている。
(2)業務:図1に業務の分担の概要を示す。多くは許認可と規制であり、国内の原子炉の許認可、放射線防護、施設の核的安全、放射性物質利用の安全と保安に責任がある。また、放射性物質の輸出入を許認可し、国際的な原子力の平和利用活動に参加し、国際協力の下に原子力利用の安全と保安を守る。
3.原子力規制委員会(NRC)の2008〜13年計画
 国民の安全(健康と環境保護)と保安(緊急時への対応)を確保する。このため、高度なNRCの知的情報マネージメントが必要である。
3.1 計画の背景
(1)原子力利用の拡大:国内には、既に104の原子力発電所、33の研究炉、4,500人以上の運転員、9の燃料サイクル施設、4の新しい原子炉デザイン、関連する4,400以上の許認可等に関連する業務がある。さらに、今後数年間のうちに、原子力発電所の新設、核燃料施設の拡大、使用済燃料の中間貯蔵、RI利用の増加、さらに、高レベル放射性廃棄物の処分問題の処理がある。
(2)合理的な管理監督:原子力利用の拡大に対応し、知的情報を整理し、規制や許認可を一貫性、透明性、効率的なものにし、必要に応じて検査、管理、監督する。そのための人材を確保し、NRC特有の専門性に見合った教育・訓練を進める必要がある。
3.2 安全の確保に関する計画
 当計画では、原子炉事故の防止、臨界事故の防止、放射線被ばく事故の防止、放射性物質の漏洩の防止、漏洩した放射性物質による被ばくの防止に力点を置く。このため、以下の計画を進める。
(1)原子炉、核燃料施設、核燃料物質の利用者、使用済燃料の管理、ウラン回収、施設の解体等に対する許認可と規制に関する法規の制定、施行と遵守、
(2)運転中の原子炉の安全運転方法を新規原子炉に適用、
(3)安全、保安、緊急時への包括的対応、
(4)諸問題の解決に安全研究を進め、規制方法を改善、
(5)最新の科学技術を利用し、課題が判り易く実行し易い規制を検討、
(6)重点注意事項への注意を喚起、
(7)意思決定への内外の経験の利用、
(8)監査、調査などによる安全確認励行を監督、
(9)臨界事故を含む事故への適切な対応と情報伝達。
3.3 保安の確保に関する計画
 当計画では、許認可された国内の放射性物質の悪意による使用の防止に重点を置く。このため以下の計画を進める。
(1)信頼性の高い安全情報の交流と安全評価技術の利用、
(2)国内及び国際関係者で安全情報の共有、
(3)保安体制の対面調査と実地検査による監督、
(4)保安に関する機微情報等の取扱制限、
(5)原子力施設の保安体制利用に関する国の対応計画(Federal response plan)の支援、
(6)放射性物質の移動に関する危険情報の通達(Risk informed approach)の利用、
(7)放射線源や戦略特別核物質の保安プログラムの充実、
(8)放射線源、戦略特別核物質や装置に関するNPTや国の保安の推進。
3.4 NRCの専門性向上に関する計画
 NRCを、公開の下、効果的かつ効率的に運営する。以下の計画がある。
(1)公衆にNRCの活動に関する情報を提供、
(2)原子力関係者への適切な情報の適時提供、
(3)許認可への適切な対応、法規の重複の回避、法規の改正への適切な対応、
(4)国内外の関連機関との放射性物質の適切な利用に関する協力、
(5)職員の資質の向上策の検討。
(前回更新:2004年2月)
<図/表>
図1 原子力規制委員会(NRC)(2008年)
図2 原子力規制委員会(NRC)の活動拠点と管区

・図表を一括してダウンロードする場合は ここをクリックして下さい。


<関連タイトル>
米国環境保護庁(EPA) (13-01-02-05)
米国放射線防護審議会(NCRP) (13-01-02-07)
米国NRCの原子力施設防衛強化(2001年9月11日以降) (14-04-01-33)

<参考文献>
(1) USNRC ホームページ,About NRC,http://www.nrc.gov/about―nrc.html
(2) USNRC Strategic Plan Fiscal Years 2008−2013, NUREG−1614, Vol.4,http://www.nrc.gov/reading−rm/doc−collections/nuregs/staff/sr1614/v4/sr1614v4.pdf
RIST RISTトップページへ ATOMICA ATOMICAトップページへ