<大項目> 国際協力・原子力関連機関
<中項目> 海外の原子力関連機関
<小項目> 政府関連機関(NRC・EPA・ORNL等)
<タイトル>
中国原子能機構、中国核工業集団公司及び国家核安全局 (13-01-02-03)

<概要>
 中国の原子力の研究開発と利用では、中枢としての中国国家原子能機構(CAEA)が日本の原子力委員会、原子力安全委員会、及び原子力安全・保安院の殆どの業務を合わせ所掌している。したがってその業務範囲は、原子力平和利用の政策立案、利用・開発計画、実施計画及び工業規格(基準)の策定、主な研究・開発計画の審査・認可、核物質の管理監督とその輸出入の監督、事故対応、国際協力等と多岐にわたる。中国核工業集団公司(CNNC)は巨大な国有会社で中国の原子力工業の中心であり、その業務は原子力利用の科学・技術開発、原子力施設の設計と建設、発電事業、核燃料工業、原子力利用、国際経済協力、さらに軍事産業等を含んでいる。国家核安全局(NNSA)は、原子力・放射能安全に関する政策、計画、法律・法規、規則、基準等の立案・起草、原子力発電所の運転許可申請の審査・認可、核燃料サイクルや放射性物質の安全、放射性廃棄物の処理・処分、原子炉の安全・管理監督、事故時及び緊急時対応等の原子力利用の安全に関する多くの業務を分担する。
<更新年月>
2011年12月   

<本文>
1.原子力開発・利用の歴史
 表1に中国の原子力開発・利用の歴史を示す。中華人民共和国の建国の翌年(1950年)には、中国科学院近代物理研究所が設置され基礎的研究が開始された。1955年には、旧ソ連と原子力協定を締結し、1956年には国務院の第三機械工業部で原子力研究が開始された。当工業部は1958年に第二機械工業部に改組され、1982年には核工業部となった。この間、1964年に核実験が開始され、1980年まで22回を数える。1984年、国家科学技術委員会に原子力安全の主管官庁として国家核安全局(National Nuclear Safety Administration:NNSA)が設置された。
 核工業部に一元化されていた原子力利用は、1988年に電力部門を管轄する「能源部」、軍事利用の「国防科学技術工業委員会」及び原子力平和利用の「中国核工業総公司」の3組織に分割された。1994年に、原子力対外政府機関として、国防科学技術委員会に「中国国家原子能機構(China Atomic Energy Authority:CAEA)」が設置された。
 1999年、原子力利用の「中国核工業総公司」は、「中国核工業集団公司(China National Nuclear Corporation:CNNC)」と「中国核工業建設集団公司(建設集団公司)」に分割・改組された。
 2008年に、国家エネルギー局が発足した。当局は、原子力発電計画、承認条件や技術基準の制定・実施、科学技術研究事業の組織・調整、原子力事故の緊急管理業務等を所掌する。2010年に「国家エネルギー委員会」が発足し、第12次5ヵ年計画のエネルギー計画を検討した。2011年、第12次5ヵ年計画(2011〜15)が発表された。原子力発電では、2015年までに総設備容量4,000万kWの原発を建設する計画である。以下に、原子力の民生利用を進める「中国国家原子能機構」、原子力工業の「中国核工業集団公司」及び原子力の安全を担当する「国家核安全局」について述べる。
2.中国国家原子能機構(China Atomic Energy Authority:CAEA)
2.1 主な業務
 日本の原子力委員会、原子力安全委員会、原子力安全・保安院の業務を合わせ所掌する。
 1) 原子力平和利用の政策立案
 2) 利用・開発計画、実施計画及び工業規格(基準)の策定
 3) 主な研究・開発計画の審査・認可
 4) 核物質の管理監督、その輸出入の監督
 5) 各国原子力機関との提携、国際機関との連携、IAEA活動への参加
 6) 原子力事故への対応
2.2 組織と業務
1) 管理部(Administration Department)
 業務管理、保障措置核物質防護、原子力発電所の防火
2) 技術管理部(System Engineering Department)
 主な研究開発や原子炉・核燃料の開発計画、建設管理等の管理監督、原子力事故の管理
3) 国際協力部(Department of International Cooperation)
 諸外国や国際機関との協力、原子力技術等の輸出入の許認可、政府保証の発行
4) 総合計画部(General Planning Department)
 年次計画の策定、実施計画の管理
 5) 科学・技術・技術保証部(Science, Technology and Quality Control Department)
 新技術の開発、技術基準の検討
3.中国核工業集団公司(China National Nuclear Corporation:CNNC)
3.1 概要
 CNNCは巨大な国有会社である。歴史的には、その前身の時代から核開発、発電炉開発などの経験を有している。CNNCは、中国の原子力工業の中心であり、原子力開発と原子炉建設の主力であり、また核抑止力の中核であり、中国の経済と国防の両面を支えている。
 CNNCの業務は、主として原子力に関する科学・技術開発、施設の設計と建設、原子炉、発電事業、核燃料工業、原子力利用、国際経済協力、軍事産業等と広範囲であり、その傘下には国内、自治領、地方自治体に100以上の関連会社と10万人の労働者を率いる。
3.2 組織
 図1に組織図を示す。本部の下に17部と科学技術委員会がある。以下に傘下の主な4研究所の研究開発を示す。
(1)核工業北京化工冶金研究院(Beijing Research Institute of Chemical Engineering and Metallurgy:BRICEM)
 1958年に設立された。当研究所は、原子力開発利用の要であるウランの自給を目的に、50年以上に亘ってウラン鉱の様々な処理技術、湿式処理技術、設備・施設等を開発してきた。また、その成果は非鉄金属の湿式処理技術にも利用されている。
(2)中国西南物理研究院(Southwestern Institute of Physics:SWIP)、核融合科学センター(Center for Fusion Science:CFS)
 1965年に設立されたプラズマ物理と核融合の主力研究所である。1995〜1997年にトカマク装置を設置した。CNNCは核融合研究に力を注いでおり、施設は国内外に開放されている。中国はITERの正式メンバーである。
(3)核工業北京地質研究院(Beijing Geological Research Institute:BGRIまたはBeijing Research Institute of Uranium Geology:BRIUG)
 1959年に設立。中国のウラン鉱の研究センターであり、放射性廃棄物の処理処分の技術の開発、さらに、20年間に亘る大気分析やイメージ分析技術によるリモートセンシング技術の開発がある。
(4)核工業放射線防護研究院(China Institute for Radiation Protection:CIRP)
 1988年に設立された。研究は、放射性物質の大気拡散、地表拡散(地表水、地中水)、及びそのシミュレーションと生物影響である。さらに、発電炉周辺での平常時及び事故時の物質拡散の研究とともに、施設の解役、放射性廃棄物の処理・処分、環境保全の研究を進めている。
4.国家核安全局(National Nuclear Safety Administration:NNSA)
4.1 設立の経緯
 1984年に国家科学技術委員会の下に設立された国家核安全局(NNSA)は、民生用の原子力施設の安全を監督する。1988年には、国家環境保護総局が発足し、国家核安全局(NNSA)はその「核安全・輻射環境管理司」となったが、対外的には国家核安全局(NNSA)と称された。2008年に国家環境保護総局は、環境保護部(日本の省相当)となった。当局の対外的名称は変わらなかったが、国内では「核安全管理司」又は「輻射環境管理司」と称される。
4.2 業務
 国家核安全局(NNSA)には12の「処」(日本の部相当)がある。表2はそれぞれの名称と業務の概要を示す。当局は、第12次5ヵ年計画(2011〜2015)の中で、民生用の原子力開発・利用及び原子力施設を管理する。
 2010年の中国の全発電設備容量9.62億kWのうち、原子力部門は908万kW(1.0%)である。2011年発表の第12次計画では、原子力発電設備容量は4,000万kW以上を目指している。一方では、国家核安全局(NNSA)の職員数は約300人(2010年)で、急速な原子力開発に合わせた管理監督の強化、その為の人材の不足、技術の未熟、原子力安全監督・管理の弱体化が指摘されている。
(前回更新:205年10月)
<図/表>
表1 中国の原子力開発・利用の歴史概要
表2 国家核安全局NNSAの業務
図1 中国核工業集団公司CNNCの組織図

・図表を一括してダウンロードする場合は ここをクリックして下さい。


<関連タイトル>
中国のエネルギー資源、エネルギー需給、エネルギー政策 (14-02-03-01)
中国の電力事情と発電計画 (14-02-03-02)
中国の原子力発電開発 (14-02-03-03)
中国の核燃料サイクル (14-02-03-04)
中国の原子力国際協力 (14-02-03-05)
中国のエネルギー事情 (14-02-03-06)
中国の原子力開発体制 (14-02-03-07)
中国の再処理施設 (04-07-03-12)

<参考文献>
(1)富窪高志、中国における原子力の安全性−原子力発電関連法規を中心に−、外国の立法、244、115-128(2010)、国立国会図書館調査及び立法考査局
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/legis/pdf/024409.pdf
(2)中国原子能機構、CAEA、ホームページ、
http://www.caea.gov.cn/n360680/index.html
(3)中国核工業集団公司 CNNC、ホームページ
http://www.cnnc.com.cn/tabid/141/Default.aspx
(4)核工業北京化工冶金研究院、BRICEM、ホームページ
http://bricem.com.cn/en/
(5)中国西南物理研究院、核融合科学センター、CFS、ホームページ、http://www.swip.ac.cn/cfs/english/aboutcfs.htm
(6)核工業北京地質研究院、BRIUG、ホームページ、
http://www.briug.cn/en/
RIST RISTトップページへ ATOMICA ATOMICAトップページへ