<大項目> 原子力の行政・制度・政策
<中項目> 原子力関係法規・法令
<小項目> 原子力関係法令
<タイトル>
原子炉等規制法(平成24年改正前) (10-07-01-04)

<概要>
 「原子炉等規制法」は、正しくは、
核原料物質核燃料物質および原子炉の規制に関する法律」といい、原子炉だけではなく、広く、核物質の取扱い全般の規制に係るものである。また、安全性の確保だけでなく、核物質管理に係る規定も目的とし、関連して制定された施行令、各種の府又は省令および各種の省庁告示を含めると、核物質に係る網羅的な大規定をなしている。原子炉等規制法自身の構成としては、製錬、加工、原子炉の設置・運転等、貯蔵、再処理、廃棄といった事業別の規定が中心をなしており、さらに核燃料物質ならびに国際規制物資の使用に関する規制等も記されている。最初の制定・公布は1957年(法律第166号)であるが、2007年6月までに30回を超える改正が行われている。特に1999年のJCOウラン加工工場臨界事故の発生を受けて「原子炉等規制法」は直ちに改正され、保安規制が強化された。

(注)東北地方太平洋沖地震(2011年3月11日)に伴う福島第一原発事故を契機に原子力安全規制の体制が抜本的に改革され、規制行政を一元的に担う新たな組織として原子力規制委員会が2012年9月19日に発足した。また、原子力規制委員会の設置と同時に原子炉等規制法が改正され、規制行政の責任機関を一律に原子力規制委員会とするとともに、発電用原子炉に関して、重大事故対策の強化、最新の技術的知見を既存の施設・運用に反映する制度の導入、運転期間の制限等の規定が追加された。これらの追加規定は原子力規制委員会設置法施行日以降、段階的に施行していくこととなっている。なお、改正の具体的内容に関してはATOMICAデータ「原子炉等規制法(平成24年改正)の概要(10-07-01-05)」にまとめた。
<更新年月>
2008年12月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1.はじめに
 「原子炉等規制法」は、正しくは、「核原料物質、核燃料物質および原子炉の規制に関する法律」といい、核物質の取扱い全般の規制に係るものであって、原子炉の規制は、その一部にすぎない。「炉規法」または「炉規制法」とも略称される。核物質の取扱いに関しても、安全性の確保の観点からの規制が主であるが、核物質管理に係る規制もこの法律によって大本が規定されており、巾広い内容を持っている。こうした内容に至るまでには、数多くの改正を経ており、今後も、国内および海外の動きを反映した改正があるものと予想される。最初の制定・公布は1957年6月10日(法律第166号)で、2007年6月までに30回を超える改正が行われている。
 特に、1999年9月30日に茨城県東海村で起きたJCOウラン加工工場臨界事故(INESレベル:4、作業者の死亡:2名)を受けて、1999年12月22日に「原子炉等規制法」の改正が行われ、保安規制が強化された。さらに、2001年1月の中央省庁再編によって原子力規制体制にも大幅な変更があった。
2.原子炉等規制法の構成
 表1-1および表1-2に原子炉等規制法の規制体系全体概要を示す。全体は9つの章および附則から成っており、附則は施行期日・経過措置等を定めたものなので、内容的には第九章までであるが、実質的な内容としては第六章までである。第一章が総則、第二章が製錬の事業、第三章が加工の事業、第四章が原子炉の設置・運転等および貯蔵の事業(貯蔵の事業は1999年6月の改正により追加)、第五章が再処理の事業、廃棄の事業および核燃料物質等の使用等、第六章が原子力事業者等に関する規制、国際規制物質の使用等および機構の行う溶接検査等、第七章が雑則、第八章が罰則、および第九章が外国船舶に係る担保金等の提供による釈放等に関する規制となっており、規制される事業の形態別の書き方になっている。
3.各章の要点
 原子炉に関する規制は、製錬、加工、貯蔵、再処理、廃棄の5事業および核燃料物質等の使用等に関する規制と並んで一翼を形成しており、各事業に係る規定が、共通的なパターンになっている。原子炉に関しては、安全と核物質管理の両面からの規制がかけられていて、事業者は原子炉主任技術者と核物質防護管理者の選任と届出、並びに保安規定と核物質防護規定の設定とその認可取得を行わなければならない。
3.1 第一章 総則
 第一条(目的)では、この法律の目的が原子力基本法の精神に則っていること、平和目的に限られること、原子力の利用が計画的に行われること、および原子力による災害を防止すること、核燃料物質を防護すること、国際規制物質の使用等に関して必要な規制を行うことを謳っている。第二条(定義)では、原子力、核燃料物質、核原料物質、原子炉、特定核燃料物質、製錬、加工、再処理および国際規制物資を定義している。
3.2 第二章 製錬の事業に関する規制
 製錬の事業を行う者は、製錬の事業に対する指定の認可、変更の許可、保安規定の認可などを経済産業大臣から受けなければならない。また事業開始等の届出を経済産業大臣にしなければならない。
3.3 第三章 加工の事業に関する規制
 加工の事業を行う者は、加工の事業に対する許可、変更の許可、設計と工事の方法の認可、保安規定の認可などを経済産業大臣から受けなければならない、また事業開始等の届出を経済産業大臣にしなければならない。
3.4 第四章 原子炉の設置・運転等に関する規制
 原子炉施設の設置(あるいは原子炉施設の変更)をしようとする者は、実用発電用原子炉および研究開発段階にある発電用原子炉に対する設置許可を経済産業大臣から(図1および図2参照)、実用舶用原子炉に対する設置許可を国土交通大臣から、試験研究用および研究開発段階にある非発電用の原子炉に対する設置許可を文部科学大臣から(図3参照)、および外国原子力船(軍艦を除く)に設置した原子炉に係わる許可を国土交通大臣から受けなければならない。原子炉施設設置者は、原子炉施設の工事に着手する前に、設計と工事の方法の認可を所管の主務大臣から受けなければならない。また原子炉施設の運転開始前に、保安規定(あるいは保安規定の変更)の認可を所管の主務大臣から受けなければならない。運転計画の届出および原子炉解体の届出についても同様に、所管の主務大臣に届け出なければならない。原子炉施設設置者は、主務大臣が毎年1回行う定期検査を受けなければならない。
3.5 第四章の2 貯蔵の事業に関する規制
 実用発電用原子炉および研究開発段階にある発電用の原子炉からの使用済燃料を貯蔵(または貯蔵の変更)しようとする者は経済産業大臣から許可を受けなければならない。使用済燃料貯蔵施設の工事に着手する前に、設計と工事の方法の認可を経済産業大臣から受けなければならない。
3.6 第五章 再処理の事業に関する規制
 再処理の事業を行おうとする者は、経済産業大臣から指定を受けなければならない。設計と工事の方法の認可、保安規定の認可についても、実用発電用原子炉の設置・運転等に関する規制のときと同様、経済産業大臣から受けなければならない(図4参照)。
3.7 第五章の2 廃棄の事業に関する規制
 廃棄物の埋設あるいは管理の事業をしようとする者は経済産業大臣から許可を受けなければならない。
3.8 第五章の3 核燃料物質等の使用等に関する規制
 核燃料物質を使用する者は、製錬事業者、加工事業者、原子炉設置者、再処理事業者が、所管の事業で使用する場合および政令で定める種類と数量の核燃料物質を使用する場合を除いては、文部科学大臣から許可を受けなければならない。
3.9 第六章 原子力事業者等に関する規制等
 原子力事業者等(製錬事業者、加工事業者、原子炉設置者、外国原子力船運航者、使用済燃料貯蔵事業者、再処理事業者、廃棄事業者および使用者)が核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物を工場又は事業所の外において廃棄する場合、運搬する場合、原子力事業者等から受託貯蔵者が核燃料物質の貯蔵を委託された場合においては、主務省令で定めるところにより保安のために必要な措置を講じなければならない。
3.10 第六章の2 国際規制物資の使用等に関する規制等
(1)国際規制物資の使用に関する規制
 国際規制物資を使用する者は文部科学大臣から許可を受けなければならない。使用済燃料貯蔵事業者は国際規制物資を貯蔵する場合、文部科学大臣に届けなければならない。廃棄事業者は国際規制物資を廃棄する場合、文部科学大臣に届けなければならない。
(2)指定情報処理機関の委託
 国際規制物資の使用状況に関する情報の解析等を行う情報処理業務については、文部科学大臣は認可を受けた指定情報処理機関に業務を行わせることができる。
(3)指定保障措置検査等実施機関
 保障措置検査等実施業務については、文部科学大臣は認可を受けた指定保障措置検査等実施機関に業務の全部または一部を行なわせることができる。
3.11 第六章の3 機構の行う溶接検査等
 主務大臣は、機構に、所管の原子力施設の溶接検査業務、廃棄確認業務および所管の承認による運搬物に係わる確認業務を行わせることができる。
3.12 第七章 雑則
 原子炉設置者を含む各事業者、および核燃料物質等の使用の許可を受けた者がいずれも、この章のほとんどの条の適用を受けることになる。その内容の主なものは、指定または許可の条件、事故の届出、危険時の措置、事業の廃止等の届出、指定または許可の取消し、事業の廃止に伴う措置、報告徴収、原子力施設検査官、立入検査等、聴聞の特例、不服申立て等、処分等についての同意等である。これらにより、この法律の目的の達成のために必要な各種の規定がなされている。
(前回更新:2002年1月)
<図/表>
表1-1 原子炉等規制法の規制体系全体概要(1/2)
表1-2 原子炉等規制法の規制体系全体概要(2/2)
図1 実用発電用原子炉施設の規制の流れ
図2 研究開発段階の発電用原子炉施設の規制の流れ
図3 試験研究用および研究開発段階の原子炉施設(発電用は除く)の規制の流れ
図4 再処理事業の規制の流れ

・図表を一括してダウンロードする場合は ここをクリックして下さい。


<関連タイトル>
原子炉等規制法(平成24年改正)の概要 (10-07-01-05)
原子力安全委員会の安全規制に関する活動(2001年) (11-01-01-02)
発電用原子炉の安全規制の概要(原子力規制委員会発足まで) (11-02-01-01)
試験研究用および研究開発段階にある原子炉施設(発電用を除く)の安全規制の概要 (11-02-02-01)
原子力船の法体系 (11-02-02-04)
核燃料施設の安全規制の概要 (11-02-03-02)
再処理施設の安全規制の概要 (11-02-04-05)

<参考文献>
(1)原子力規制関係法令研究会(編):原子力規制関係法令集 2008年版、大成出版社(2008年)
(2)原子力安全委員会(編):原子力安全白書 平成18年版、佐伯印刷(2007年7月)
(3)原子力安全・保安院(編):科学技術六法 平成12年版、大成出版社(2000年3月)
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