<大項目> 核燃料リサイクル施設
<中項目> 高速増殖炉燃料の再処理
<小項目> 高速増殖炉燃料の再処理
<タイトル>
海外の高速炉燃料再処理の研究開発 (04-08-01-05)

<概要>
 仏国および英国における高速炉燃料再処理の技術開発は、1960年代より高速炉開発と呼応して進められそれぞれ着実に進展した。また欧州共同の高速炉燃料再処理施設の構想が提示された。米国は高速炉開発計画の中断(1984年)の影響もあったが、ORNL等の国立研究所を中心につい最近まで研究開発が維持された。独国では旧西ドイツカールスルーエ原子センタ(KfK)を中心に精力的な研究開発がなされた。欧州(英国を除く)における最近の研究動向は、1991年以降フランスを核とした環境負荷低減のための核種分離研究に指向している。
<更新年月>
2004年10月   

<本文>
 表1に世界各国における再処理施設一覧を示す。
1.アメリカ
 高速増殖炉クリンチリバー建設計画の中止で、高速炉燃料再処理施設の建設が無期延期されることになり、技術開発計画が大幅に見直された。しかしながらオークリッジ国立研究所(ORNL)では統合再処理開発計画(Consolidated Fuel Reprocessing Program)のもとに広範囲な技術開発が維持された。ORNLのSETF(Solvent Extraction Test Facility)では、溶媒抽出化学やオフガス挙動の研究が進められた。また実規模モックアップ試験施設IET(Integrated Equipment Test Facility)では、レーザ解体装置、剪断装置、連続溶解槽、遠心抽出器などのプロセス機器やラック設備、両腕マニプレータ、自動サンプリングシステム等の遠隔保守機器の開発が行われた。これらの技術は1987〜1994年にかけてのORNL−サイクル機構(旧動燃(現日本原子力研究開発機構))間の技術協力においてサイクル機構に技術移転された。また日本との間で共同の臨界実験がなされた。
 また、アルゴンヌ国立研究所(ANL)では、IFR計画に基づく金属燃料サイクルの研究開発が進められたが、1995年に計画が中止され、現在、EBR-IIの使用済燃料の処理(conditioning)が行われており、1996年から5年間の間にEBR-II使用済燃料(ドライバー、ブランケット)1.6トンを処理している。
 2001年5月に、ブッシュ大統領が発表した「国家エネルギー政策(NEP)」を受けて、2003年1月に米国エネルギー省(DOE)は、「先進的燃料サイクルイニシアチブ(AFCI)」に関する報告書を議会へ提出した。この施策の目指しているものは、(a)使用済燃料の減容、(b)使用済燃料中の超寿命・高毒性核種の分離・核変換、(c)使用済燃料中の有効エネルギーの回収であり、2015年までに既存の軽水炉で先進燃料を利用するシリーズ1と、2030年までに第4世代炉/高速炉、新型加速器で先進燃料を利用するシリーズ2の2つの開発目標から成っている。この中で、再処理技術としては、Purex法に比べて環境面と核拡散抵抗性の面で大きな利点を有するUREX+プロセス(湿式法)と、PYROXプロセス(高温化学乾式処理)の開発が進められている。この内、UREX+プロセスは、溶解液からウランとテクネチウムを分離後、更にセシウム/ストロンチウム、プルトニウム/ネプチニウムを分離し、最終的にアメリシウム/キュリウムを分離するものである。
2.英国
 英国ではBNFL(英国原子燃料会社)の協力のもとUKAEA(英国原子力公社)が中心となり研究開発が進められた。UKAEAのドーンレイ研究所のD1206施設では、DFR(Dounreay Fast Reactor)燃料(高濃縮ウラン合金燃料)の再処理試験が1960〜1975年にかけて行われ、約10トンの高速炉使用済燃料が処理された。その後、D1206施設は高速原型炉PFR(Prototype Fast Reactor;1994年閉鎖)の照射済燃料(MOX燃料)の再処理用に改造され、1980年9月からPFR燃料の再処理キャンペーンが開始された(設計最大処理量:1日あたり5kgのプルトニウムを処理)。その後、1996年の溶解槽の腐食故障のために運転停止するまでに約25トンの燃料を処理した。年間最大処理量は、1993年の約4.8トンであった。この施設では、燃料缶、ラッパ管の切断にレーザビームをいち早く導入し、遠心清澄機も導入した。また12基の遠心抽出器が共除染工程に設置された。一時、PFR高速炉燃料再処理施設の経験と技術開発の成果を集約するかたちで、ヨーロッパの高速炉から発生する使用済燃料を集中処理するための、再処理プラントEDRPの構想(60〜80t/y)が検討された。
 1998年にUKAEAは、経済的理由からドーンレイにおける商業再処理は、既契約分をもって終了することを発表した。また、2000年10月にドーンレイ・サイトの環境復旧計画を発表した。この中で、ドーンレイ・サイトに貯蔵しているPFR燃料(照射済燃料:13.3t、未照射燃料:11.4t)の処理については、次の3通りの選択肢が考えられている。
(a)燃料はドーンレイで再処理
(b)照射燃料はセラフィールドの軽水炉酸化物燃料再処理プラント(THORP)で再処理し、未照射燃料はドーンレイまたは国外で処理する。
(c)すべてのPFR燃料をドーンレイで中間貯蔵用または最終直接処分用に処理する。
 また、1996年、BNFLは、新型再処理技術の研究開発施設として、セラフィールド・サイトにBNFLテクノロジーセンター(BTC)を建設することを決定し、1997年から建設を開始した。施設は、高レベルα・β・γセル、プルトニウム取扱施設、化学ラボ(ホット、コールド)、フルスケールモックアップ施設等から構成され、この内、コールド化学ラボは既に運用が開始されている。ホット関連施設は2004年秋頃から運用開始が予定されている。
3.フランス
 フランスでは、CEA(フランス原子力庁)が中心となりグループを構成するCOGEMA社(現AREVA NC社)およびエンジニアリング会社SGNの協力のもと幅広い研究開発を進めている。CEAは1960年より高速炉燃料再処理の研究に着手、1965年からはフォンテネ・オ・ローズ研究所(CYRANOセル)で基礎化学研究を開始した。
 実際に1969〜1979年にかけてラ・アーグのAT1施設(1kg/d)で高速実験炉Rapsodie及びPHENIX燃料が約1トン処理された。またマルクールには1962年にAPM施設(10kg/d)が建設され、1974〜1983年にかけてPHENIXやKNKの燃料約11トンが処理され。またラ・アーグのUP2-HAOヘッドエンド施設においても約10トンのPHENIX燃料が処理されている(1979〜1984年)。1983年にはAPMが5t/yに増強され1988年から処理運転が行われているが、1997年に閉鎖された。APMでの処理量は計19トンで、フランスにおける高速炉燃料の処理量は総計30トンとなる。
 なお80年代後半にはSUPERPHENIX等の商用高速増殖炉から生ずる使用済燃料を再処理するためのMAR-600と呼ばれる再処理プラントの構想(50t/y)が検討された。
 2003年1月に、政府はCOGEMAのラ・アーグ再処理施設の操業に関する許認可変更に伴う4件の行政命令を発給した。この発給で、UP2、UP3共に再処理能力が800→1,000トン/年に引上げられた他(ただし、合計1,700トン/年)、処理対象燃料の種類が多様化された。この中には、最高燃焼度12万MWD/tの高速炉MOX燃料も含まれている。
 また、高速炉燃料再処理のためではないが、CEAは、1991年12月に制定された「放射性廃棄物管理の研究に関する法律」(廃棄物法)に基づく研究開発を実施している。この内、再処理に関しては、マルクール・サイトのATALANTEにおいて、マイナーアクチニド(アメリシウム/キュリウム)及び長寿命核分裂生成物(セシウム等)の分離、高温化学プロセス等の研究開発を実施している。この内、使用済燃料取扱量が5kgのATALANTE-1は1992年に操業を開始し、また、使用済燃料取扱量が20kgのATALANTE-2は2003年に操業を開始し、遠心抽出器を用いたマイナーアクチニドの分離プロセスの研究開発を進めている。
4.ドイツ
 ドイツでの高速炉燃料再処理に関する研究は旧西ドイツKfK(カールスルーエ原子核センタ)内のIHCh(高放射性化学研究所;1959年建設)が主体となり進められてきた。研究の目的はプロセスの選定、廃棄物の低減化及びプロセスの最適化であった。
 IHChは実験室規模のホット施設MILLI(1kg/d;1971年建設)、電気化学プロセス研究施設PUTE(100kgU+Pu/d;1981年建設)、小型パルスカラム試験施設MINKA(20kgU+Pu/d;1984年建設)等の施設を擁し、溶解特性や抽出フローシート研究を行ったほか、電解還元ミキサセトラ(EMMA)電解還元パルスカラム(ELKE)、電解酸化槽(ROXI)等種々の独創的な電解装置を開発し世界をリードした。また抽出シミュレーションコードVISCOを開発している。なおEMMA及びROXIはカールスルーエ再処理工場(WAK;1971〜1991年)に組み込まれ、実再処理試験に供された。彼等の目指した、「高除染」「ソルト・フリー」、「短縮」抽出プロセス技術は「IMPUREX」法として結実した。
5.インド
 インドではカルパッカムで重水炉燃料及び高速炉燃料兼用の再処理施設(100t/y)が建設途上にある。
 なお、カルパッカムにはインディラ・ガンジー研究所(IGCAR)があり、照射済FBTR混合炭化物燃料等の再処理研究を行っている。
6.ロシア
 ロシアでは生産合同「マヤーク」(オゼルスク、旧チェリャビンスク−65)内にある使用済燃料再処理プラントRT-1は1976年に本格操業を開始し、VVER-440、高速炉、船舶用炉の使用済燃料の再処理を行っている。回収ウランはRBMK用燃料に用いられている。
 また、デミトロフグラードにある原子炉科学炉研究所(RIAR)では、乾式再処理プロセス(酸化物電解法)により、BOR-60の燃料を1972〜1973年に2.5kg及び1995年に3.5kgを処理し、1991年にはBN-350燃料を4.1kg処理したとの報告がある。
<図/表>
表1 世界各国における再処理施設一覧

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<関連タイトル>
再処理の前処理工程 (04-07-02-02)
溶媒抽出工程 (04-07-02-03)
高速炉使用済燃料の特徴 (04-08-01-01)
高速炉使用済燃料の再処理 (04-08-01-02)
わが国の高速炉燃料再処理の研究開発 (04-08-01-04)

<参考文献>
(1)火力原子力発電技術協会(編):やさしい原子力発電、火力原子力発電技術協会(平成2年6月)
(2)清瀬量平:原子力化学工学(第4分冊)燃料再処理と放射性廃棄物の化学工学、日刊工業新聞社(1983)
(3)日本原子力産業会議(編):原子力年鑑 平成9年版(平成7年10月)、p341−342
(4)H.Schmieder,G.Petrich:IMPUREX;a concept for an improved PUREX process, Radiochimica Acta, vol.48, p.181−192(1989)
(5)日本原子力産業会議(編):原子力ポケットブック1997年版、日本原子力産業会議(1997年5月)、p188
(6)JNC TJ8420 2000−014「海外再処理技術の現状調査」、(株)アイ・イー・エー・ジャパン(2000年3月)
(7)日本原子力産業会議(編):原子力年鑑 2004年版(2003年11月)
(8)R. W. Benedict, H. F. McFarlane, K. M. Goff, “Electrometallurgical Treatment of Sodium−Bonded Spent Nuclear Fuel,” Proc. Intl. Conf. “Back−End of the Fuel Cycle: from Research to Solutions” (GLOBAL 2001), Paris, France, Sept. 9−13, 2001 (2001).
(9)“Dounreay site restoration plan”, Nucl. Eng. Inter., Vol.46,No.559,(2001)
(10)“Fast Reactor Reprocessing”, Nucl. Ener.,1981,Vol.2038,No.1(1981)
(11)”History of the UK Nuclear Fuel Cycle”, Nucl. Eng., Vol.25,No.3(1984)
(12)”Fuel Cycle operations at Dounreay”,Atom348(1985)
(13)”Reprocessing the Fuel from the Prototype Fast Reactor(PFR)”, Nucl. Eng.,Vol.35, No.4(1994)
(14)”Management of the Dounreay Site over forty years”, Nucl. Eng., Vol.40,No.5(1999)
(15)DOUNREAY SITE RESTORATION PLAN ,Volume6−DOUNREAY NUCLEAR FUELS INVENTORY AND MANAGEMENT PLAN,http://www.ukaea.org.uk/dounreay/index.htm(2000)
(16) COGEMAプレスリリース(January 7, 2003).Updated operating licenses for COGEMA La Hague
(17)ラ・アーグ再処理工場操業変更に係るデクレ(2003年1月11日付官報第9号622ページ )
(18)Status and trends in spent fuel reprocessing, IAEA−TECDOC−1103(August 1999)
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