<大項目> 核燃料リサイクル施設
<中項目> 燃料加工
<小項目> 発電所用燃料
<タイトル>
BWRにおける高燃焼度燃料 (04-06-03-06)

<概要>
 高燃焼度燃料とは、従来の燃料より燃料集合体当たり取り出す総熱量を大きくした燃料のことである。燃料サイクル経済性向上の観点から、ウラン濃縮度を高めて運転サイクル期間を延長し、プラントの燃料費の削減、使用済み燃料の発生量の低減などを目標として燃料の高燃焼度化が進められている。
<更新年月>
2006年11月   

<本文>
 近年、軽水炉燃料はウラン濃縮度を高めて、高燃焼度化へ向かう傾向にある。これは発電炉運転サイクルの長期化、および使用済み燃料の取り出し量低減化により、原子力発電の経済性向上を目指しているからである。ここで高燃焼度とは、BWRにあっては燃料集合体最高燃焼度が40,000MWd/t(40GWd/t)を超えるものをいう。
 BWR燃料の高燃焼度化は、ステップを踏んで進められており、ステップ1燃料は1987年に、ステップ2燃料は1991年に、ステップ3燃料は1999年に実用化された。表1にBWR燃料の高燃焼度化の各開発ステップの概要を示す。
 BWR燃料の高燃焼度化にともなう課題と対応策を図1に、高燃焼度燃料集合体の主要構造を図2および図3に示す。
1.ステップ1燃料
 ステップ1燃料は、ウラン平均濃縮度・燃料構造や寸法などの基本仕様は従来燃料と同じとし、ペレット被覆管相互作用の特性改善を図ったジルコニウムライナ燃料を使用している。ステップ1燃料は、ウラン燃焼度を従来燃料の取り出し平均燃焼度29GWd/tから33GWd/tまで高め、12か月連続運転で燃料サイクル費10%低減、使用済燃料10%低減を目標として開発された。ウラン濃縮度は平均3.0wt%である。
2.ステップ2燃料
 ステップ2燃料は、ステップ1燃料にウラン濃縮度増加、初期ヘリウム加圧量増加などの設計改良を加え、取り出し平均燃焼度を39.5GWd/tに上げ、燃料サイクル費の20%低減、使用済み燃料25%低減を目標に開発された。ウラン235濃縮度は平均3.4wt%である。
3.ステップ3燃料
 ステップ3燃料は、取り出し平均燃焼度を45GWd/tに、燃料サイクル費の30%低減、使用済燃料33%低減を目標に開発されている。目標燃焼度を達成するために、従来の8×8格子燃料に換えて9×9格子燃料を採用した。ウラン235濃縮度は平均3.8wt%である。ステップ3燃料の主な設計改良点は以下のとおりである。
(1)燃料棒直径、およびウォータロッドなどの格子形状の最適化
 9×9格子燃料に変更することで、燃料の表面積の増加から中性子経済の悪化、燃料集合体での冷却材の流れの悪化を考慮して格子形状を最適化する。
(2)2本の太径ウォータロッド(A型)または角型ウォータチャンネル(B型)採用
 集合体の水対燃料比を最適化する。
(3)通常燃料の約2/3の長さの8本の部分長燃料棒の配置(A型)
 集合体の上部での冷却材を流れ易くすることで、燃料上部での冷却材を増加させることで炉停止余裕を増大させる。
(4)9×9格子用低圧損型スペーサ採用
 燃料集合体の除熱効率を示す燃料限界出力比の余裕を向上させる。
(5)燃料上部タイプレート改良
 燃料上部タイプレートの流路面積を大きくして冷却材を流れやすくする。
(6)燃料下部タイプレート改良(A型)
 燃料下部タイプレートの流路面積を小さくして高圧損化し、炉心の熱水力安定性を改善するとともに異物の侵入を防止する。
 このステップ3燃料は現在、BWRプラントの取り替え燃料として装荷されている。
4.海外における高燃焼度燃料
 BWRの高経済性のニーズは、海外においても強く、各メーカーで燃料の高燃焼度化計画が進められている。
 それらの目標燃焼度レベルは、いずれも国内のBWR燃料高燃焼度化計画と同様、燃料集合体最高で50〜60GWd/tである。燃料集合体の燃料配列は、9×9格子(SIEMENS社(現在AREVA NP社),GE社(現在GNF社))あるいは10×10格子(GNF社,AREVA NP社,ABB−ATOM社(現在BNFL/WH社))となり、燃料棒の負荷低減化が図られている。また、核熱的裕度を確保するための集合体中央部に配置された、水充填部(ウォータロッド、ウォータチャンネル、ウォータクロス)の構造にメーカーの特徴が現れている。
(前回更新:2002年10月)
<図/表>
表1 BWR燃料の高燃焼度化の開発ステップ
図1 BWR燃料の高燃焼度化にともなう課題と対応策
図2 BWR高燃焼度燃料集合体の主要構造(ステップ1、2)
図3 BWR高燃焼度燃料集合体の主要構造(ステップ3)

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<関連タイトル>
BWR用ウラン燃料 (04-06-03-01)

<参考文献>
(1)日本原子力産業会議(編):原子力年鑑1999−2000(1999年10月)、p.146−147
(2)山本有紀ほか:原子力発電BWRの燃料・炉心技術、東芝レビュー、50(11)(1995)、p.815−818
(3)下重孝則ほか:炉心燃料技術と原子燃料サイクルへの対応、日立評論、10(1992)、p.733−738
(4)S.Sasaki and S.Kuwabara: Utility Perspective on Commercial Light Water Reactor Fuel in JAPAN,ANS Topical Mtg.Portland USA(March 1997),p.11−20
(5)K.Ogata et al.,:BWR Fuel Performance and Recent R&D Activities in Japan,ANS Topical Mtg. Portland USA(March 1997),p.287−295
(6)K.Une et al.,:Effect of Irradiation −Induced Microstructural Evolution on High Burnup Fuel Behavior,ANS Topical Mtg.Portland USA(March 1997),p.478−489
(7)M.Hirai et al.,:Performance of Improved UO2 Pellets at High Burnup,ANS Topical Mtg.Portland USA(March 1997),p.490−498
(8)科学技術庁原子力安全局原子力安全調査室(監修):改訂9版原子力委員会安全審査指針集、大成出版(1998年6月)
(9)極限燃料技術研究専門委員会:核燃料工学−現状と展望、日本原子力学会(1993年11月)
(10)次世代燃料研究専門委員会:プルトニウム燃料工学、日本原子力学会(1998年1月)
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