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<概要>
 ペレット製造工程から入手した二酸化ウラン・ペレットをジルカロイ被覆管に挿入し、ヘリウムガスを充填して溶接密封して、燃料棒を製作する。この燃料棒は溶接部の健全性や寸法などの検査を受けて集合体組立工程へ送られる。
<更新年月>
1998年05月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1.BWR 燃料棒
 BWR燃料棒の製造工程を 図1 に示す。受入れ検査に合格したジルカロイ-2の被覆管は、洗浄し、履歴に異常がないか検査したのち所定の長さに仕上げる。被覆管の一端に下部端栓を取りつけ、不活性雰囲気の気密チャンバ中でTIG 溶接する。
 検査に合格したペレットを所定のスタック長さとし、重量を確認し、下部端栓付き被覆管に挿入し、さらに真空および不活性雰囲気中で加熱して乾燥する。抜き取りサンプルを分析し、水素量が規定値以下であることを確認する。次に、プレナム部にスプリングを挿入し、真空引きののちヘリウムガスを充填し、所定の圧力下で上部端栓を取りつけ、TIG 溶接する。
 溶接部全数について外観・寸法・溶接部X線透視検査を実施する。また燃料棒内部のペレットのウラン濃縮度ガドリニア濃度などを非破壊検査方式で確認する。
2.PWR 燃料棒
 PWR燃料棒の製造工程を 図2 に示す。ジルカロイ-4の被覆管を被覆管製造工場において所定の長さに仕上げ、検査に合格した被覆管を燃料工場に受入れる。被覆管の内面を洗浄してから、検査に合格し乾燥したペレットを所定のスタック長さ分挿入する。次に、プレナム部にコイルばねを挿入し、上部端栓と下部端栓を圧入し、両端栓部をそれぞれの溶接チャンバ内てTIG 溶接する。続いて、上部端栓に設けてある貫通小孔からヘリウムガスを被覆管内に約30気圧充填し、小孔をTIG 溶接で密封する。
 完成した燃料棒は、端栓溶接部の外観・寸法・溶接部X線透視検査・ヘリウム漏洩検査を受ける。また、ペレット間の空隙の有無、プレナム長さ、ペレットのウラン濃縮度を非破壊検査方式で確認する。さらに全長、曲り、外観についても全数検査する。
<図/表>
図1 BWR燃料棒の製造工程
図1  BWR燃料棒の製造工程
図2 PWR燃料棒の製造工程
図2  PWR燃料棒の製造工程

<関連タイトル>
六フッ化ウランから二酸化ウランへの再転換 (04-06-02-01)
燃料棒加工工程 (04-06-02-04)
集合体組立工程 (04-06-02-05)
燃料加工における検査工程及び品質保証 (04-06-02-06)

<参考文献>
(1)火力原子力発電技術協会(編):原子燃料サイクルと廃棄物処理、火力原子力発電技術協会(昭和61年6月)
(2)原子力安全研究協会(編):軽水炉燃料のふるまい(改定新版)、 原子力安全研究協会(平成2年7月)
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