<大項目> 核燃料リサイクル施設
<中項目> ウラン濃縮
<小項目> ウラン濃縮方法
<タイトル>
ウラン濃縮法 (04-05-01-02)

<概要>
 ウラン濃縮法は、天然ウラン中の燃えるウラン(ウラン−235)が0.7%と燃えないウラン(ウラン−238)が99.3%の比率から、燃えるウラン(ウラン−235)の含有率を高めるために行う方法をいう。ウラン−235とウラン−238は、物理的にも化学的にもほとんど同じ性質を持ち、わずかの性質の差、すなわち、質量の差、あるいは酸化還元時の化学的な差などにより、できるだけ電力消費量が小さく、低コストで濃縮できる技術の開発が進められている。
<更新年月>
2009年01月   

<本文>
 天然ウラン中には燃えるウラン(ウラン−235)が0.7%、燃えないウラン(ウラン−238)が99.3%、その他の微量の同位体で構成されている。この同位体である燃えるウラン(ウラン−235)の比率を天然のものより高めることを「ウラン濃縮」といい、その高める方法を「ウラン濃縮法」という。
 これらウラン同位体は、物理的にも化学的にもほとんど同じ性質を持っているが、わずかな違いを見出して、ウラン濃縮法の開発がなされてきた。すなわち、ウラン同位体であるウラン−235とウラン−238との質量差を利用する方法として、微細穴を透過するときの拡散速度の違いを用いる「ガス拡散法」、遠心力の場で質量差による違いを用いる「遠心分離法」、電磁場で質量差による違いを用いる「電磁法」、およびノズルから吹き出す速度差を利用する「ノズル法」等が考え出された。また化学的に酸化還元時の反応差を利用した「イオン交換法」、光化学反応速度差を利用した「光化学的分離法」等がある。これらの方法は、すでに第二次世界大戦以前から原理的に可能であることが知られていたが、1960年に米国のメイマンがレーザーを発明すると、レーザー光線を照射して分離する「レーザー法」が提案され、1970年代から世界各国でガス拡散法および遠心分離法に代わる次世代のウラン濃縮法として研究開発が行われた。レーザー法には、ガス拡散法、遠心分離法等で利用される六フッ化ウランを使用する「分子レーザー法」と「サイレックス法」、金属ウランを高温にして発生させたウラン蒸気を使用する「原子レーザー法」がある。また、塩酸ウラン溶液を使用するイオン交換法についても次世代濃縮法として開発が行われた。各種のウラン濃縮法を表1に示す。
 現在、商業用ウラン濃縮工場に採用されているのはガス拡散法と遠心分離法であり、ガス拡散法については、米国とフランスに、遠心分離法については、英国、オランダ、ドイツ、中国、ロシア、日本に商業用ウラン濃縮工場がある。他の方法については、実験室規模からパイロットプラントに至る色々な段階まで研究開発が行われたが、サイレックス法を除いて全て開発は中止された。開発内容については機密措置が取られていて不明である。
 商業用のウラン濃縮技術としては、電力消費量がガス拡散法の約1/50と大幅に少ない遠心分離法が主流となりつつあり、米国とフランスも商業用の遠心分離法ウラン濃縮工場を建設中で、2010年代にはガス拡散法による既存の商業用ウラン濃縮工場は全てなくなると予想されている。
 これらウラン濃縮法については、原理は判っているが、濃縮に用いる微細な穴のあいた隔膜や遠心分離機、作業物質として用いる腐食性の高い六フッ化ウランガスを取り扱うための機器等を含めたシステムには各国の独自の技術が利用され、核拡散防止上および商業上の両方の観点から厳重な機密保持が行われている。したがって、技術交流はなく、他国へ技術導入を行う場合でも、濃縮用機器は輸入国が一切内部の構造を見ることができないブラック・ボックスとすることで技術の流出を防いでいる。このため、商業ウラン濃縮技術の主流になりつつある遠心分離法については、遠心分離機の開発に各国ともしのぎを削っており、英国、オランダ、ドイツの国際共同企業体ウレンコ(URENCO)、ロシアの国営企業ロスアトム(ROSATOM)、米国のUSEC、わが国の日本原燃はそれぞれ低コストでかつ高性能、長寿命な新型遠心機の開発を継続している。フランスについては独自開発をあきらめ、ウレンコの子会社の遠心分離機等製造会社に資本参加し、ウレンコの技術を導入し商業用ウラン濃縮工場を建設中である。
<図/表>
表1 各種のウラン濃縮法

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<関連タイトル>
濃縮ウラン (04-05-01-01)
分離作業量(SWU) (04-05-01-03)

<参考文献>
(1)三島良績(編著):核燃料工学、同文書院(昭和47年10月)
(2)火力原子力発電協会(編):原子燃料サイクルと廃棄物処理、昭和61年6月
(3)火力原子力発電協会(編):やさしい原子力発電、平成2年6月
(4)USEC:http://www.usec.com/
(5)URENCO:http://www.urenco.com/
(6)AREVA:http://www.areva.com/
(7)AREVA Reference Document 2007:http://www.areva.com/servlet/ContentServer?pagename=arevagroup_en/common/gotopage&assetid=1033542611878&type=Page&callingpage=1028798800664?xtor=EPR−15,89/425−92/425
(8)Silex:http://www.silex.com.au/
(9)Nuclear Information World Nuclear Association:http://www.world−nuclear.org/info/info.html
(10)Oleg Bukharin,“Understanding Russia’s Uranium enrichment Complex”,Science and Global Security,Princeton University,January 12,2004
(11)World Nuclear Association:The Global Nuclear Fuel Market Supply and Demand 2007−2030
(12)日本原燃(株):新型遠心機の開発状況について、http://www.jnfl.co.jp/cycle−noshuku/dev−centrifuge.html
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