<大項目> 核燃料リサイクル施設
<中項目> 製錬・転換
<小項目> 転換
<タイトル>
六フッ化ウランの製造(ウランの転換) (04-04-02-01)

<概要>
 ウラン精鉱(イエローケーキ)から六フッ化ウランを製造する過程をウランの転換という。イエローケーキ、二酸化ウラン、四フッ化ウランの形態を経て製造される。
 六フッ化ウランは、温度、圧力の条件に応じて、気体、液体、固体に変化する。
<更新年月>
2009年03月   

<本文>
 ウラン精鉱から六フッ化ウランを製造する過程を、一般に転換という。
 六フッ化ウランは、ウラン精鉱から二酸化ウラン、四フッ化ウランを経て製造される。
 六フッ化ウランは、温度と圧力の条件によって、気体、液体、または固体に変化し、三形態が共存する三重点(64.02℃,1137,5mm−Hg)を有する(図1参照)。常温、大気圧では個体であるが、約56℃で昇華して気体となる。
 主要工程は上述のとおりであるが、具体的な製造方法は4種類あり、詳細において異なっている。それらについて、次に述べる。なお、参考までに世界の転換工場の容量と生産実績を表1表2に示す。
●方法(1)
 イエローケーキをまず精製して不純物を除いてから六フッ化ウランを作る方法である。
 イエローケーキを硝酸に溶解し、トリブチルフォスフェイト(TBP)をヘキサンまたはケロシンなどの石油エーテル系溶剤に溶かしたウラン抽出剤で溶媒抽出をおこない、水で逆抽出して、精製した硝酸ウラニル溶液が得られる。この溶液を加熱、脱硝して、表3の(1)式に示すように、三酸化ウランを得る。
 この工程で生じる排出ガスは、硝酸吸着塔で硝酸として回収され、ウラン精鉱溶解用として使用される。
 三酸化ウランを粉砕後、流動床炉などの反応炉中で水素(アンモニアを分解したガスを用いる)を吹き込んで、550〜600℃で反応(発熱反応)させ、三酸化ウランを二酸化ウランに還元する。装置の材質は、ステンレスが使用される。
 排気は、フイルタを通して微粉の二酸化ウランを回収後、排気中に残る水素は、バーナで焼却され、高性能フイルタを通して大気中に放出される。
 次いで、二酸化ウランを流動床などの反応炉でフッ化水素ガスを吹き込んで反応させる。この反応も発熱反応で、前工程よりも多量の熱を発生するので、温度を400〜450℃に保つように管理する。装置の材質としては、ニッケル合金のモネルが耐蝕性に優れているので用いられる。この工程での反応を表3の(3)式に示す。
 四フッ化ウランは、緑色の固体のため、グリーンソルトとも呼ばれている。
 排気は残留フッ化水素ガスを含むので、コンデンサとアルカリスクラバを通して、フッ化水素を回収、そして除去した後、高性能フイルタを通して大気中に放出される。
 八三酸化ウランやフッ化ウラニルからフッ素で直接、六フッ化ウランを製造することや、四フッ化ウランに酸素を白金触媒の下で反応させて六フッ化ウランを製造することができるが、経済的ではない。一般には表3の(4)式のように、四フッ化ウランにフッ素を反応させて、六フッ化ウランを製造する(図2参照)。
 排気は、残留したフッ素ガスおよび微量の六フッ化ウランなどを含むので、フッ化ナトリウムおよび活性アルミナ中を通して、六フッ化ウランおよびフッ素を吸着させ、除去した後、アルカリスクラバと高性能フイルタを通して大気に放出する。またはフッ素生産の際に生成される水素ガスと共に焼却した後、アルカリスクラバを通して大気中に放出される。
 六フッ化ウラン生成は、発熱反応であるが、温度を450〜500℃に管理する。反応装置は、フレーム型や流動床型が用いられ、材質はモネルである。生成した六フッ化ウランはガス状で、コールドトラップで約−18℃に冷却され、固体として回収される。コールドトラップ中の六フッ化ウランを液化してボンベに充填するために、温度と圧力をあげる。充填された六フッ化ウランは自然冷却され、出荷される。
 この方式による生産工場の例として 英国のウェスティングハウス(NDA)社[生産容量、6,000t−U/y]がある。
●方法(2)
 (1)法と同様にイエローケーキを硝酸に溶解して、TBPで溶媒抽出をおこない、精製された硝酸ウラニル溶液を作る。次いでアンモニアガスで重ウラン酸アンモニウムの沈澱を作り、仮焼して三酸化ウランとする。これ以後の工程は(1)法と同じである。
 この方式による生産工場の例として、フランスのコミュレックス社[生産容量、14,500t−U/y]がある。
がある。
●方法(3)
 この方法は、最初にウラン精鉱の不純物を除去する(1)および(2)法と異なり、不純物を除去しないまま、(1)法のように水素ガスによる還元で二酸化ウランを作り、次いでフッ化水素ガスと反応させて四フッ化ウランとし、フッ素ガスで六フッ化ウランにして、コールドトラップに固体として捕集する。加熱して液体とし、蒸留塔で分別蒸留をおこなって六フッ化ウランを精製する(図2参照)。
 この方法では、使用するウラン精鉱に制限があり、一般にはアンモニアで沈澱させたウラン精鉱に限定される。
 この方式による生産工場の例として、米国のコンバーダイン社[生産容量、17,600t−U/y]がある。
●方法(4)
 鉱石からイエローケーキを作らずに六フッ化ウランまでを作る方法で、鉱石からのウラン浸出は硫酸でおこない、アミンでの溶媒抽出、硫酸での逆抽出の後、一般法ではここで強アルカリを加えてウラン精鉱を沈澱させるが、それをおこなわずに、溶液のままで電解還元し、フッ化水素酸溶液を加えて四フッ化ウランの沈澱を作る。沈澱を洗浄、乾燥した後の工程である六フッ化ウランの製造は前述した(1)法と同じ方法でおこなう。この方法では、アミンでの溶媒抽出と四フッ化ウラン沈澱の際に不純物が除去される(図2参照)。
 この方法は、過去に動燃事業団(現日本原子力研究開発機構)においてパイロットプラントによる実証が行われた。商業プラントでおこなわれている所はない。
<図/表>
表1 世界のUF6転換容量
表2 商業転換工場の生産量
表3 反応式
図1 六フッ化ウランの状態図
図2 六フッ化ウランの製造法

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<関連タイトル>
ウラン粗製錬 (04-04-01-01)
イエローケーキ(ウラン精鉱)の性質 (04-04-01-03)

<参考文献>
(1)火力原子力発電技術協会(編):原子燃料サイクルと廃棄物処理、火力原子力発電技術協会(昭和61年)
(2)世界原子力協会(WNA):「世界核燃料市場:需給 2007−2030」、p.137
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