<大項目> 原子力発電
<中項目> 軽水炉(BWR型)原子力発電所
<小項目> 原子炉冷却設備
<タイトル>
BWR原子炉容器 (02-03-03-01)

<概要>
 BWR原子力発電所の原子炉容器本体は、上部および底部が半球状の立型円筒形で、原子炉容器蓋(上蓋)と原子炉容器胴から構成される。原子炉容器は、原子炉容器本体、制御棒駆動機構ハウジング、炉内計装ハウジング、原子炉容器支持スカートおよびスタビライザなどで構成されている。ABWRの原子炉容器についても付記する。
<更新年月>
2010年01月   

<本文>
 図1に110万kW(1100MWe)級のBWR原子力発電所の原子炉容器(以下、炉容器と称す)内構造図を示す。炉容器は、炉心(核燃料)、制御棒、炉内構造物などを収容する高圧容器で、炉心で発生した蒸気は気水分離器を通り、炉容器上部の主蒸気ノズルから主蒸気管によりタービンへ導かれる。炉容器は、炉容器本体、制御棒駆動機構ハウジング、炉内計装ハウジング、炉容器支持スカートおよびスタビライザなどで構成されている。
1.BWR原子炉容器の構造
 表1にBWRの炉容器の主要仕様の例を、図2に炉容器本体説明図を、図3に炉容器内の原子炉冷却材の流れを示す。炉容器本体は、溶接構造の立置き円筒型であり、上部および底部が半球状で、炉容器蓋(上蓋)と炉容器胴から構成される。
 炉容器本体は、円筒状殻と下鏡は低温靱性の優れた低合金鋼で、その内面は上蓋および主要ノズル近傍を除いて、ステンレス鋼またはニッケル基合金の溶接肉盛りで被覆されている。炉容器の上蓋は、スタッドボルトとナットで炉容器胴部に締付けられる。上蓋と胴部のフランジ間のシールは二重Oリング構造であり、その二重Oリングの間からの漏洩検出が可能である。シュラウド・サポートは、シュラウド、シュラウド・ヘッド、周辺燃料要素、中性子源、炉心支持板、上部格子板、気水分離器、ジェット・ポンプディフューザの重量を支え、さらに燃料集合体の横方向の支持を行うもので、炉容器内壁に溶接される円板と下鏡に溶接されるサポートレグなどから構成されている。炉容器の内外には、炉内構造物の取り付けおよび地震時等の反力を受けるためのブラケット類が溶接されている。
 図4にABWR原子炉容器内構造図を、図5にABWR原子炉容器内の原子炉冷却材の流れを示す。ABWRにおいては、従来BWRにおけるジェットポンプおよび炉容器外設置の再循環ポンプに代えてインターナルポンプを採用したので、下鏡の形状が従来BWRの半球型から皿型に変わっている。また従来BWRで炉容器の下部で支持していた支持スカートは、インターナルポンプとの干渉を避けるため、円錐型の支持スカートを円筒胴部に設置している。さらに主蒸気ノズルについては、セーフエンド部に流量制限器を持たせたことから、その形状は従来BWRとは大きく異なっている。またABWRでは、インターナルポンプを採用することにより、従来BWRで見られた炉容器外再循環ポンプへの大口径配管を有しないので、原子炉冷却材喪失事故の事故解析でも常に炉心が冠水維持できている(ATOMICA <02-03-13-02>事故(BWRの場合)を参照)。
2.原子炉容器の設計
 炉容器とその付属機器は、次の方針に基づき設計されている。
 a.通常運転状態に加え、全ての過渡状態および事故状態を組合せた荷重条件に耐える設計とする。
 b.中性子照射を考慮した材料の脆性破壊を防止する設計とする。
 c.供用期間中検査を考慮した設計とする。
 炉容器材料は、BWRの場合、炉心シュラウドと炉容器内壁との間(ダウンカマ部)の間隔が大きいことから、炉心より受ける中性子照射量は少なく、脆性破壊に対して十分余裕がある。なお、この照射量に関する監視用の試験片が炉容器内の必要な箇所にホルダにより取付けられている。
<図/表>
表1 BWR原子炉容器の主要仕様の例
図1 BWR原子炉容器内の構造図
図2 BWR原子炉容器本体説明図
図3 BWR原子炉容器内の原子炉冷却材の流れ
図4 ABWR原子炉容器内構造図
図5 ABWR原子炉容器内の原子炉冷却材の流れ

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<関連タイトル>
原子炉機器(BWR)の原理と構造 (02-03-01-02)
BWRの原子炉冷却系統 (02-03-03-02)
BWRの工学的安全施設 (02-03-04-01)
事故(BWRの場合) (02-03-13-02)
改良型BWR(ABWR) (02-08-02-03)

<参考文献>
(1)火力原子力発電技術協会(編):原子力発電所−全体計画と設備−(改定版)、火力原子力発電技術協会(平成14年6月)
(2)原子力安全研究協会(編):軽水炉発電所のあらまし(改訂3版)、原子力安全研究協会(平成20年9月)
(3)火力原子力発電技術協会(編):やさしい原子力発電、火力原子力発電技術協会(平成2年10月)
(4)東京電力(株):福島第二原子力発電所 原子炉設置変更許可申請書(3、4号原子炉の増設および1、2号原子炉施設の変更、昭和53年8月
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