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<概要>
 国際連合気候変動枠組条約(以下、枠組条約)の第3回締約国会議である1997年の京都会議で、京都議定書(以下、議定書)が採択された。議定書は、気候変動の原因とされる温室効果ガス排出量の、先進国における削減目標を定量的に示した文書である。2008年から2012年までの第一約束期間について、先進地域に義務づけられた削減目標は、基準年の約5%減となっている。削減対象となる温室効果ガスは二酸化炭素等の6種類である。
 議定書には、国際協調により削減目標を達成するためのメカニズム(排出量取引共同実施クリーン開発メカニズム)の導入が盛り込まれたが、途上地域に対しては数値目標等の義務はない。排出削減量算出基準となる基準年は、1990年であるが、フロン代替物質等は1995年を基準年とすることも許されている。また、森林等の吸収源の算入も可能となっている。
 2001年3月のアメリカの議定書離脱声明により、アメリカに同調国が出た場合の発効が危ぶまれたが、マラケッシュで開催された枠組条約第7回締約国会議でのマラケッシュ合意により、アメリカ抜きでの発効に向かって動き出した。
<更新年月>
2001年12月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 京都議定書は、国際連合気候変動枠組条約(以下、枠組条約)の第3回締約国会議である1997年の京都会議で採択されたものである。その内容は28条から構成される議定書本文、および削減対象となるガス・発生部門を定めた附属書A、および各国の基準年に対する削減比率を定めた附属書Bからなる。以下には、主要な内容をその記載箇所とあわせてまとめる。
(1)数値目標の定義(第3条)
 削減数値目標の概要は以下のようなものである。
・対象ガス:二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、パーフルオロカーボン(PFC)、六フッ化硫黄(SF66)の6種類
・基準年:1990年(ただし、HFC、PFC、SF6 は、1995年としてもよい)
・目標年:2008年〜2012年(この期間を第1約束期間と呼んでいる)
・バンキング:目標期間中の割当量に比べて排出量が下回る場合には、その差を次期約束期間以降の割当量に繰り越し可能
・吸収源:森林等の吸収源による温室効果ガス吸収量を算入可能(3条3項)。土地利用管理等による人為的な吸収源の拡大(3条4項)は、別途決定(*注1)
・基準年に対する削減率:
 基準年比較で、附属書Bにある比率までの削減を目標とする(表1参照)。
(*注1) マラケッシュで開催された第7回気候変動枠組条約締約国会議で、土地利用管理等の活動によって得られる吸収量の上限が合意された。
(2)排出・吸収量の把握(第5条)、報告(第7条)及びレビュー(第8条)
 数値目標等の議定書遵守状況を評価するため、以下を規定。
・各国が排出量・吸収量推計のための国内制度を2006年末までに整備(第5条1項)
・各国が条約に基づき行う毎年の排出吸収目録の報告や、国別報告に、必要な追加的情報を含める(第7条1、2項)
・各国により報告された情報は、専門家による審査チームの技術審査を受ける(第8条)
(3)京都メカニズム関連
 国際協調により削減目標を達成するためのメカニズムには、以下の排出量取引、共同実施、クリーン開発メカニズムの3種類がある。
・共同実施(第6条)
 先進国(市場経済移行国を含む)間で、温室効果ガスの排出削減又は吸収増進の事業を実施し、その結果生じた排出削減単位を関係国間で移転(又は獲得)することを認める。
・クリーン開発メカニズム(CDM)(第12条)
 途上国(非附属書I国)が持続可能な開発を実現するため、先進国が温室効果ガスの排出削減事業から生じたものとして認証された排出削減量を獲得することを認める制度。2000年以降の認証排出削減量の利用を認めている。
・排出量取引(第17条)
 排出枠(割当量)が設定されている附属書I国(先進国)の間で、排出枠の一部の移転(又は獲得)を認める
(4)共同達成(バブル)(第4条)
 数値目標を共同して達成することに議定書締結時に合意した附属書I国は、これら諸国の総排出量が各締約国の割当量の合計量を上回らない限り、各国の目標達成の有無によらず、目標が達成されたと見なされる制度(EUが導入予定)
(5)不遵守(第18条)
 議定書発効直後の締約国会合で、議定書の不遵守に対する適正かつ効果的な手続及び仕組みについて決定。「法的拘束力を有する措置」を含む本条の手続及び仕組みは、議定書の改正により採択。
(6)発効要件(第25条)
 以下の両方の条件を満たした後、90日後に発効。
・55ヶ国以上の国が締結
・締結した附属書I国の合計の二酸化炭素の1990年の排出量が、全附属書I国の合計排出量の55%以上
 このように京都議定書は、55か国以上の批准、気候変動枠組条約附属書I国(削減義務のある諸国)の1990年の二酸化炭素排出量の55%以上を占める国の締結、の2つを発効要件としている。2001年3月のアメリカの議定書離脱声明により、アメリカに同調国が出た場合の発効が危ぶまれたが、マラケッシュで開催された枠組条約第7回締約国会議(COP 7)でのマラケッシュ合意により、アメリカ抜きでの発効に向かって動き出した。なお、京都議定書の運用ルールに関してCOP7までに合意された主要な事項を表2にまとめた。
<図/表>
表1 京都議定書 付属書Bに示された削減比率(基準年に対する増減比率)
表1  京都議定書 付属書Bに示された削減比率(基準年に対する増減比率)
表2 京都議定書の運用ルールに関する主な合意事項(COP7まで)
表2  京都議定書の運用ルールに関する主な合意事項(COP7まで)

<参考文献>
(1) The Kyoto Protocol,to the Convention on Climate Change,国連気候変動枠組条約事務局ホームページ2001年11月12日
(2) 京都議定書の概要、環境省ホームページ2001年11月12日
(3) 気候変動枠組条約第7回締約国会議(概要と評価)、(http://www.env.go.jp/earth/cop7/gaiyo-hyoka.html)2001年11月12日
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